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落水
ー
ー風雅
俺を引き止める音楽が憎い
どうすればいい
あの人の声が嫌いだ
吐きそうだ
ー
ー
僕をここから掬い取って
なんて、ああきっと僕は
掬い取れるような場所にいないから
水面に手を触れているだけの
小さな独り言を溢した
どうしようもない日々を
一つ、一つ、また一つと沈めて
濁ったここをどうしたものか
風さえふくけど、君はいない
一人を望んだ僕はまだ
一人になり切れていない
夏を嫌う音もいずれ流れていく
明日は雨が降って
一層ここは濁るだろうけど
君が何処かで笑ってるなら
それでいいんだって思う
もういいんだって思う
大切な人よ
自分のことを考えて生きて
別れはさようならと言おう
置き換える嘘は何も知らない
心はどうか声を零して
大切な人よ
僕の大切な人よ
死なないでくれ
大切な君のままでいてくれ
どうか心を殺さないで
君を守ってくれ