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遺書日誌  作者: あやと
11/218

肉

2020年10月××日

ー

ー

タピオカなんていらない

流行なんて知らない

立場なんてない

自分こそ何処にもいない

何にもない

ー

ー

狂わないよう本当の自分を

必死に押さえ込みながら

ずっと苦しかった

もう嫌と叫びたかった

狂ってしまいたかった

胃液も食べ物も内臓も心も

全て吐き出して

形がなくなるまで潰したかった

頭が痛くて 光が眩しくて

音が鬱陶しくて 息をしたくなくて

ただただもうおわりたかった

いつからだろう

何も苦しくなくて

心が助けてと叫んでいるのを

ただ傍観していて

胃液も内臓もどうにでもなればいい

頭が回転を止めて 目を閉じて

音から意識を遠ざけて 息を止めて

微笑む自分が誰か分からない

自分がどこにいるのか分からない

ー

ー

頭から爪先まで糸を通した

僕の気持ちとは別に

動くための一本

ー

ー

僕のなかの僕が

僕の邪魔をしてくる

僕の中の僕を

クランベリーの実のように

指先で潰した

ー

ー

言いたくても 言葉がない

泣きたくても 涙がない

叫びたくても 声がない

死にたくても 死んじゃだめだから

死にそうでも 死なない


例えば細胞が口を開いて

暖かい体液が流れでて

独特の死臭を望んで

筋肉が収縮して

生きることをやめたとしても

私は消えることができない

ー

ー

足の指を

一つづつもいで

足の甲を五つに割いて

骨を抜き出して

ふくらはぎを切り取って

膝の皿を取り出して

ハムストリングを削り取って

お尻のお肉を剥がして

骨盤を引き抜いて

内臓を途切れないように

優しく優しく引き出して

ただの細胞に戻りたい

ー

ー

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