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610.復活、ルギーレ

『……これならやれそうだな』

「ああ、あんたの……いやあんたたちのおかげだよアサドール。これならあいつを倒せるぜ!!」


 研究室内に倒れ込んでいる自分以外の人間と獣人たちをテーブルの上から見下ろし、意識不明の状態から蘇らせてくれた緑のドラゴンの化身に礼を言うルギーレ。

 彼は今、レイグラードを持っている時よりも更なる力が身体の中にみなぎってきているのをヒシヒシと実感していた。

 それもこれも、全てはこの場所に一緒に立っているアサドールと、外で戦ってくれているセルフォンのおかげである。


「よっしゃ、この調子でまず俺はセルフォンの助太刀してくるぜ」

『頼んだぞ。どうやらセルフォンは敵に追いかけ回されているようだからな』


 魔力の流れを追いかけてみたアサドールが、セルフォンの身に何が起こっているのかを察して後はルギーレに任せることにする。

 いつの間にやらこの研究室の出入り口を護っていたはずのセルフォンがいなくなってしまったことで、一度は研究室に獣人たちと人間たちの合同部隊の侵入を許してしまったアサドール。

 だがそれよりも、自分が完成させた薬をルギーレに飲ませている方が早かった。

 そしてその薬の効果によって目を覚ましたルギーレは、ディルクに奪われてしまったレイグラードの代わりにエターナルソードを握って立ち上がり、瞬く間にそのエターナルソードのおかげで敵を一掃することができたのである。


(アサドールとセルフォンが作ってくれた薬ってのが、ニルスを倒す時に使ったあの魔力を一時的に体内からなくす奴の強化版だったとはな)


 敵を一掃し終わった後にアサドールからそのことを聞いたルギーレは、そんな薬で大丈夫なのかと疑問を覚えた。

 なぜなら普通は、自分の体内にある魔力を武器や防具に送り込んでその性能を上げるのが一般的だからだ。

 だが、ルギーレの場合はその逆のことをすることで今まで以上の能力を引き出すことができるようになるというのがアサドールとセルフォンの見解だった。


『セルフォンとも話したのだが、お主はレイグラードを持っているだろう。それは今この手元にはないが、だからこそ好機だと思ってな』

「どういう意味だよ?」

『レイグラードは所有者に身体能力や各種感覚の向上を与える代わりに、倒した相手の魔力と怨念を吸い取って所有者に害を与える存在なのは知っているな?』

「ああ。それと関係があるってのか?」


 アサドールは首を縦に振った。


『ああ。その怨念と魔力が……正確にいえばお主が空中でニルスをあの金属製の鳥ごと撃破しただろう。そこで一気にお主が意識を失うだけの魔力と怨念をレイグラードが溜め込んだからこそ、お主は今こうしてここにいる』


 だからまずは、その怨念と魔力を身体の中から取り除く処置をしなければならなかったのだ。

 そのためには、ニルスを倒した時に使ったあの薬の強化版をここで調合して、ルギーレに飲ませるのが一番早いとアサドールとセルフォンは判断した。


『負の魔力、そして怨念も言ってしまえば魔力のようなものだからこそ、それらを打ち消すために吾輩たちドラゴンの血を使った薬を飲ませた。だから一時的にお主の身体からは魔力が消えてしまっている状態だが、ドラゴンの血を飲んだことで今までよりも力がみなぎっていると思わないか?』

「そう言われてみれば、確かにレイグラードを使っていた時より身体が軽い気がするぜ」


 しかし、飲んだその薬の効果がいつまで持つかはわからないので、まずはさっさとセルフォンを助け出すことが重要だった。

 そして上で暴れているであろうディルクを倒す。

 そのために、ルギーレはアサドールとの魔術通信でセルフォンがいる場所まで案内してもらいながら、途中で出てきた鉄の馬の集団を撃破していく。

 どうやらセルフォンを追いかけ回しているのは、前後に車輪が一つずつついているこの奇妙な乗り物たちらしいのだが、今のルギーレはそれが何体かかってきても意にも介さないほどに突き進むことができている。


「どけどけえ、死にたくなけりゃ道開けやがれってんだよ!!」


 そう言われて素直に退くほどに敵も中途半端な覚悟ではないため、ルギーレに次々と突進攻撃を仕掛けてくる鉄の馬を操る乗り手たち。

 しかし、セルフォンを追い詰めているであろうその集団はルギーレとエターナルソードのコンビによって、鉄屑と肉片と化していくのである。

 もうこうなってしまった以上、どんな相手だろうとルギーレを止められる者は存在していなかった。


「おーい、セルフォン!!」

『る……ルギーレ!?』


 そしてようやくセルフォンの元にたどり着いたルギーレは、彼が追い詰められていたのをみて一気に敵を一掃し、助け出すことに成功したのであった。

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