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幕間1 ラシェルとアルフォンス

日常回

 家にまで戻ってきた時には既に日は落ちてあたりは真っ暗。少し遅くなるとは言ったけれど、遅くなりすぎてしまったかもしれない。


 僕はゆっくりと罪悪感とともにゆっくりと扉を開けた。


「ただいま」

「お帰り」


 僕がただいまと言うと、玄関には既にラシェルが立っていておかえりと声が帰ってきた。

 音で気が付いたのだろうか?


「ケーキ買ってきたんだ」

「んっ冷蔵室に入れとく、あと夕飯出来てるぞ」


 ケーキの箱を受け取るとラシェルはそう言ってリビングに入っていった。

 僕は後から追うようにしてリビングに入る。


 リビングの机には料理が既に並んでいた。


「何か今日は随分と豪勢だね」

「少し待っててくれ」

「ラシェルもまだ食べてなかったの?」

「ああ」


 ラシェルがそう素っ気なく返事をした、いつもとは違う態度に少し困惑した。


「悪いことしたね……何か手伝おうか?」

「温め直すだけだからいい」


 申し訳ないな、と思いつつ僕は先に席に着いた。


「うん、美味しい」

「……そうか、なら良かった」


 強いて気になる事があるとすればいつもと少し味が違うことだろうか。少し味が濃いめだ、僕好みだからいつもより美味しく感じる。


「ご馳走様」

「お風呂なら沸かしてあるぞ」

「じゃあ、先に入ろうかな。ケーキは後で食べようか」

「……あっ」

「どうかした?」

「何でもない」


 何かラシェルがいつもと違うだけで調子狂うな、と思いながらも僕は1人風呂場に向かおうと廊下に出た。


 廊下で待機していた女性が視界に入った。


「びっくりした……」


 僕は彼女の名前を知らない。覚えるほどのものでもないと言われ、結局名前を教えて貰っていないからだ。

 だから、僕は彼女のことをメイドさんと呼んでいる。


「メイドさんどうかしましたか?」

「私はあなたが嫌いだ」


 僕がそう尋ねると、メイドさんは僕に声が届くくらいの声が響かない最低限の声量で僕にそう言った。


「あなたはお嬢様を蔑ろにする」

「そんなつもりはないんですけど」


 そもそも、僕が何もしなくてもラシェルはブレたりしない筈だ。


「お嬢様は貴方の思っている程強くはない」


 強くないラシェルが?


「そっちこそラシェルの何を知ってそんなことを言ってるんですか」

「この家は1人で住むには寂しい」

「はい?」

「お嬢様が私を雇う時に言った言葉です」


 僕がラシェルをわかっていない、そう遠回しに言われているようで少しモヤッとする。


「あなたに何わかるんですか?」

「そうですね……お嬢様は強くない、強がって溜め込んでいるだけです。お嬢様はそうやって弱い所を見せないようにしている」

「そうでしょうか?」


 僕の中の彼女の像と一致しない、僕が頭の中に描いていたラシェルの像がどこかブレた。


「そう思わないのであれば、お嬢様の中で唯一身内である貴方だけには心を許せるということの証明です」

「あなただって充分そうなってますよ」

「私に心を赦す? 有り得ませんよ」

「そんなことないと思いますよ?」

「貴族社会で揉まれているお嬢様が見知らぬ赤の他人を信じられるとでも?」


 貴族社会に当主として僕は関わったことがない。だから、それがどれくらいのものか想像もつかない。


 ふと、僕の脳裏に過ぎったのが『まず1つ目は私の小間使いだ』という話だった。

 あれはささやかなラシェルの主張だった?

 その前のお抱えの魔術師の件も――。


「それに本日の夕飯私は手を加えておりません。あれは――」

「――廊下で何を話している」

「お嬢様……」


 何で気付いたのかはわからないけど、ラシェルは廊下に出てきてメイドさんの方を強く睨みつけていた。


「次はない下がれ」

「申し訳ございません。出過ぎた真似をしました」

「赦す」

「失礼します」

「さっきの話だがアルが気にするような事じゃないぞ?」


 ……そんな言葉で誤魔化されるようなことはしないぞ。


「なぁラシェル」

「どうしたお風呂に入るんじゃなかったのか? くくく、もしかして一緒に入りたいのか?」

「ラシェルが良いなら入ろうかな」

「ッな――!? 」

「あれ? 僕は別に良いんだよ」

「はぁ!? 私も別に構わないが!? 入るから!」






 ちゃぽんっと、水滴が天井から湯船に滴る音が響いた。湯煙がお互いの姿を隠すからあまり相手を見るということも無い。


「……なんでこんなことに」

「別に、ここのお風呂小さな湖くらいには広いんだから大丈夫だよ」

「そうではない! ただ気恥しい……」


 そう言いながらラシェルは背を向けたから、僕の方からではその顔は伺えない。

 お互い薄いタオル1枚で包まれただけとはいえ、僕的には服を着てるのとそう大差ない気はする。


「ほら裸の付き合いって言葉教えてもらったでしょ?」

「あれは同性同士でやるものだ!」


 水面を叩いてバシャンっと音を立てて大きく水柱が上がった。


「そういえば、あの夕食全部ラシェルが作ったんだってね」

「うっ、そうだ」

「別に隠すことないでしょ」

「私は別に……」


 随分と歯切れの悪い言葉だった。料理は普通に美味しかったんだけど。


「それとも何か理由でもあった?」

「お詫びのつもりだった」

「お詫び、何の?」

「それはほら、ろくに説明もせずに巻き込んだだろう」

「それで手料理?」


 そう僕が聞くとラシェルはこくりと頷く。僕は機嫌を損ねたと思ってケーキを買ったけど、ラシェルは僕の機嫌を取りたくて夕食を作ったらしい。


「ぷっくははははは」


 似たもの同士じゃないか。


「笑うな!」

「ごめんごめん」

「……不安だったんだ」

「えっ?」

「前にも住む場所を探してただろう? アルが愛想尽かして出ていくんじゃないかって」


 それを聞いたとき、僕の中にあったラシェルの像が見えなくなった。

 初めて等身大の彼女を見た気がした。


 メイドさんの言葉の方が正しかった。

 僕がラシェルの強い部分しか見ていなかったなんて知らなかった。


「居なくならないよ」

「えっ?」

「そんな些細なこと気にしなくていいよ一緒にいるんだ家族だろ?」

「それはそれで癪に障るな」

「んー、どうして?」

「さてな自分で考えろ馬鹿者!」

「ぶぁ!?」


 顔に思いっきりお湯を掬ってかけられると口にお湯が入りかけた。

 なんで水掛けられたかは理解出来ないけど、何はともあれ元気は取り戻してくれたようでよかった。


「逆上せた。私は上がるからな」

「上がったらケーキ食べようよ」

「――うん」



いつも通り、18:40~投稿もするので悪しからず。

2回行動です。


程よくシエラのキャラ立てれた今ならままえやろ……でも、シエラのキャラ立てには足りないものがあります。

そうコドルの妹です。

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