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外伝14‐4話 4つの聖装武器

 法典の名称を所々間違えててすみません。

 間違いは気づき次第修正していきますのでよろしくお願いします。

 堕天化・ミカエルもまた魔法を得意としていた。

 即死や衰弱を付与してくるのも変わらない。だが、場合によって治癒効果が発生する。

 むろん、それだけではない。奴は自身にデバフ=負荷をかけてきた。最初はどういうつもりかと思ったがすぐに理由をを知る事となる。


堕天化・ミカエル「グガァァァッ」

リーヴェ「ぐっ……」


 雄叫びを上げる天使。先程よりも攻撃の威力が上がっている。

 自身の身体に負荷をかけ、能力=ステータスを犠牲にしているのに技や魔法の威力が上がっていた。負荷がかかればかかる程に攻撃が強力になっていく。

 回避しても防御してもこれは厳しくなってきた。必中攻撃ともなれば防ぎようがない。


堕天化・ミカエル「ウワァァァッ」

リジェネ「これは衰弱の……アレ?」

リーヴェ「どうした!?」

リジェネ「なんか、気力が戻ってきたような……」

ラソン「ああ、オレも」

リーヴェ「えっ」


 まさか、マナ=MPが回復している?

 咄嗟に防御した2人がわが身に起きた現象に首を傾げていた。他の皆は、と目を向けるが全員ではないらしい。この不可思議な現象はその後も続く。

 攻撃を食らったり、回復したりの状況。何がそうさせているのかはまだわからない。

 だが、ひとつだけ。ラソンだけがほぼ確実と言っていいくらいに敵の回復効果を得ている。特に即死に至っては一度も食らっていない。他のメンバーは1度は食らっているのに……。


リーヴェ(なぜだ。なぜラソンだけが……)


 おかげで前線が崩れる心配がないが気になる。

 何か、彼だけに関係した事があるのだろうか。リーヴェは唯一、敵の魔法で即死効果を食らっていないラソンを注視し続けた。

 彼の行動、あるいは能力なんかに関係がある筈だ。


堕天化・ミカエル「ウオォォォッ」

ラソン「またかっ」


 また即死の効果を持つ全体魔法が放たれる。

 ラソンは瞬時に防御態勢に入った。歴戦の経験で確実にガードを成功させている。さすが、防御面は申し分がない隙のなさだ。


堕天化・ミカエル「ウアァァァッ」

ラソン「今度はそっちか」

セレーネ「危ないっ」


 続けて放たれる衰弱効果のある魔法。

 こっちは全体攻撃がないのもあり、相棒状態だったセレーネが回避支援を行う。ラソンに飛びついて間一髪直撃を防いだ。

 他の面子にも目を向ければ、支援行動が発揮された者らが回復しているのを認める。


リーヴェ「ん?」


 何かが引っかかる。もう少し様子を見てみよう。

 そうこうしている内に、敵が最も威力の高い全体攻撃を放ってきた。魔法によるものだ。


堕天化・ミカエル「光臨の煌めき」


 今まで雄叫びしか挙げていなかった天使が密かに呟く。

 敵を中心とし、眩い閃光の矢が降り注ぎ飛び交う。乱反射する光の嵐を防ぐ事なんて不可能。光属性への耐性を上げていなかった仲間が次々と倒れた。

 ニクス、セレーネが瀕死。ラソンはギリギリの所で踏み留まり、リーヴェとリジェネ、フェラーノはまだ幾分か余裕がある。急いで救援措置を行う。


ラソン「相変わらず魔法の威力が半端ねえ」

フェラーノ「はは……コレで何度目だ。仲間が倒れんのは……」


 悔し気に天使を睨む2人。どちらも武器を杖に辛うじて立っている。

 その顔には仲間を守れなかった無力と、敵の攻撃を妨害できなかった憤りが滲み出ていた。


リジェネ「セレーネさん薬をっ。姉さん、そっちは?」

リーヴェ「なんとか間に合った。すぐ治癒に回る」

リジェネ「はい。援護します」


 救護するほうも満身創痍の中、戦いは更に苛烈なものへと変わっていく。

 対策を練るよりも早く敵の攻撃が及ぶ。もう少しで何かが掴めそうだったのに……。更なる脅威にリーヴェは歯を食いしばった。

 魔法には幾分耐性があるほうだがさすがに痛い。全身に無数の焼き傷が生じている。致命傷と重傷はなんとか避けられたが無傷とはいかなかった。

 リーヴェでさえこうなのだ。魔法に弱い面々は相当に辛いだろう。


リーヴェ「ヒール!」

ラソン「サンキュ」

フェラーノ「長期戦になると厳しい。さっさとケリをつけるぞ」

ラソン「ああ」


 先に前衛の2人を回復し、続けて復活したセレーネらにも治癒をかける。仲間が大勢を立て直した後で余裕を持って自分の傷も癒した。援護が増えれば確実に魔法を使える。

 ミカエルがまた即死の魔法を放ってきた。どうも魔法を中心に戦っているようだ。しっかりガードするラソンとフェラーノ。今度はセレーネやニクスもきちんと防御した。

 魔法を発動させた直後のリーヴェ以外が無事だ。瀕死になった彼女をリジェネが蘇生する。


リーヴェ「すまん。しくじった」

リジェネ「いいえ」

リーヴェ「…………」


 なんとなく、わかった気がした。

 自分が死にかけたというのもあるが、今回は自分以外の誰も倒れていない。皆魔法が放たれた瞬間に防御態勢をとったからだ。つまり――。


リーヴェ「即死はガードで防げる!」

ラソン「っ!? なるほど、そういう事か」

セレーネ「オッケー。回避じゃなくて防御ね」


 得意じゃないけど、と言いながらセレーネは拳を突き出す。

 恐ろしいと感じた魔法の1つが解明される。即死効果を受けない方法は掴めた。何度も食らった事で、敵がどのタイミングで魔法を放ってくるのかも知っている。

 雄叫びの声だ。あれで即死か衰弱かを判断できた。衰弱はそこまで怖くない。問題は即死を上手く防げるかだった。


堕天化・ミカエル「ウオォォォッ」

セレーネ「キタッ」

ラソン「皆ガードだ」

リジェネ「はいっ」


 魔法が放たれるタイミングを見切って防御する。

 その結果、今度は誰一人としてダメージを受けなかった。即死もなく全員のHPが中回復するだけに終わる。考えは間違っていなかったんだ。

 そしてもうひとつ気づいた事があった。敵の攻撃の威力が落ちている。


ニクス「あの大技の後から威力が落ちたな」


 あの最も強烈な光の全体魔法。一定間隔で放ってくるアレを発動させた後、明らかにそれまで上がっていた技や魔法の威力が落ちている。代わりに敵の動きが元に戻っていた。


フェラーノ「どうやら負荷を消して放つ大技みたいだな」

リジェネ「じゃあ、アレを放った後はしばらく普通って事ですか?」

フェラーノ「また負荷がかからなければな」

セレーネ「ならとっとと倒しちゃいましょ」


 即死の防ぎ方がわかり一気に攻勢へと移る一行。

 敵も強烈な攻撃を放ってくるが構わない。攻撃と防御をうまく活用して戦う。それでも何度かは即死を食らってしまい、道具もフルに使ってあと一歩の所まで追い詰めた。


フェラーノ「リーヴェ、とっておきのアレやってみるか?」

リーヴェ「アレか。よしやろう」

フェラーノ「おう、行くぞ」


 リーヴェが敵の前方、フェラーノが敵の後方にいるこの状態。2人は互いに意思を確認し合って細かい位置調整をする。互いの動きを見てタイミングを合わせた。


2人「アストラル・バインド!!」


 挟撃する形でまず敵の行動を妨げる。一方は斧の一撃で地面を隆起させ退路を断ち、一方は銃から放たれた光球に敵を閉じ込めた。

 マナによって生じた現象にまったく動けない敵。

 そんな敵を目掛けて剣と斧が飛ぶ。投げつけられたソレは敵を切り裂きながら通過し、対面にいる一方の手に収まり、そのまますり抜け様に両者が一閃を放つ。


堕天化・ミカエル「ぐあぁぁぁっ」


 防御を無視した強力な一撃が敵にとどめを刺した。

 悲鳴を上げて地に伏すミカエル。この戦いの勝敗が今、決した。

 敵が動かないのを確認し武器を収める仲間達。リーヴェもまた手にした戦斧をフェラーノの剣と交換する。


リーヴェ「やっぱりフェー兄の武器は重いな」

フェラーノ「その割には上手く使えてたじゃないか」

リーヴェ「一瞬だけだぞ? あれ以上は無理だよ」


 大鎌を振るう時の要領で扱ったがやはり兄の斧は重い。ずっと振り回すのはさすがに無理だ。素直に白状する彼女にフェラーノは笑った。

 その様子をなんとも言えない表情で見つめるラソン達。


ラソン「あんな芸当、いつの間に……」

セレーネ「ていうか武器を交換なんてして大丈夫なんだ?」

リジェネ「兄さんはまあわかりますけど、姉さんまで……」

フェラーノ「はぁ、久々に剣を使ったぜ」

アルラート「全然鈍ってなかったね」

フェラーノ「へへっ。当たり前だろ」


 仲間達が話している中、リーヴェは1人ミカエルのもとに歩み寄った。

 怪我のほうは既に癒え始めている。翼も元通りに戻ったし、後は意識が戻るのを待つだけだろう。傷が治ってきているなら死んではいない筈だ。


魔物「――ッ!」

セレーネ「う、嘘。魔物!?」

ラソン「冗談だろ。さすがにもう戦えな……」

ミカエル「ふんっ」

魔物「…………」


 戦いが終わって早々に魔物が押し寄せて来た。

 咄嗟に身構えるが当然ながら戦える状態にない。そこへ天使の一撃が放たれる。一瞬にして魔物が消し飛び安堵の息が零れた。全員が振り返る。

 いつの間にか意識を取り戻していたミカエルがそこにいた。


ミカエル「ふぅ、ホント手荒い目覚ましだったね。えーっと、大丈夫?」

リーヴぇ「あ、ああ。ありがとう」

ミカエル「別にいいよ。……で、どうして此処にいるの」

セレーネ「いや。それはこっちのセリフでしょ!」

ミカエル「ええっ、そうなの? ごめーん。全然覚えてないんだ」

リジェネ「相変わらずですね」


 すっとぼけた答えが返ってくる。今回はまあ、仕方ないのかもしれない。

 ラジエルの時と同様にまったく覚えがない様子の天使。記憶がないので一から説明する羽目になった。必要な情報を伝えた所で思い出したように周囲を探す。


 そうだ、今回は鉱石を採掘しに来たんだった。ミカエルにはその場で休んでもらう事にして採掘作業に移る。

 その後、以前の時と同様の方法で集まってしまった未知の魔物らを処理した。

 一行は貴重品「守護者の法典 第6章『死魂』」を入手。同時に対応した魔法が行使可能になる。



         ☆    ☆    ☆    ☆    ☆



 【タルシス辞典  堕天化・ミカエル】

 種族 神聖・飛行 属性  光  全長  ?  体重  ?  弱点  ‐

 暗黒界・水晶の谷に出現する堕天化した守護天使。

 武器は同じだが挙動が少々異なる。特に変化するのは魔法のほうで即死はガード、衰弱は支援行動の発動で効果が反転。HPまたはMPの中回復に変化。


 ただし反転効果は装備などで対策していると効果なし。水属性に耐性をもつ。

 またスキル「魂の選別」は「魂の束縛」に変化。デバフがかかっている時に攻撃の威力がアップ。この効果は、一定間隔で放ってくる強力な光の全体魔法「光臨の煌めき」を放った後にリセットされるぞ。



         ☆    ☆    ☆    ☆    ☆



 大量発生していた未知の魔物を一掃した一行。

 後の処理を現地に来ていた忍衆に任せ精霊界に行く。工房に行く途中で残る材木と紙束を購入した。その足で森の工房にいる職人のもとに向かう。

 職人に必要な素材を渡して待つ。アルラートの武器を作るのに必要なのは「セフィラの光砂」と「紅焔石」、「結晶樹の紙束」だ。


職人「ほらよ。これが聖装『リュミラシオン』だ」

アルラート「ありがとうございます」


 数時間後、完成した魔導書を受け取る。

 月をイメージした装飾が見事な一品だ。一行は武器「リュミラシオン」を入手。


セレーネ「あの、聖装って?」

職人「ああ。兄ちゃん、そいつは平常時にマナ化して持ち主の身体と一体化するぜ」

セレーネ「そんな事できるの!?」

職人「誰でもって訳じゃねえ。素材に使ったセフィラの光砂と呼応する力の持ち主でねぇとな」

リジェネ「なるほど。僕達の力と結びついて一体化するんですね」

職人「ああ。マナ化できるように魔法を込めてある」


 念じてみな、と促されその通りにやってみるアルラート。

 すると武器が光を放ち、弾けて彼の身体と一体化した。同じように念じれば一体化した光が分離して再び武器の形状を成す。


ラソン「便利だなぁ。なんかカッコいいぜ」


 オレもやってみたい、とラソンが言う。当然「無理だ」とセレーネにツッコまれた。

 魔法の武器というのは本当に面白い物が多くていけない。少し前にもマナを鎧化させる人がいたくらいだ。アレもある種の魔法だと考えると奥が深いな。

 地上人に魔法を扱う才能がないのがこんなに悔しいと思うなんて……。ラソンはそんな気持ちだった。


 一行は職人に代金を支払って砂の工房へと歩き出す。

 今回は荷物もあるため飛行艇でパッと行き、約束した職人に同じく素材を渡した。こっちは数があるため数日間待つ事となる。

 リジェネの武器は2種類あり、槍は「純輝鉱石」と「結晶樹の材木」が、短剣は「光剛石」と「純輝鉱石」が必要だ。もちろんどの武器に共通の光砂もである。


職人「待たせたな。完成したぞ」

リジェネ「本当ですか」

フェラーノ「おお、どんな感じになったんだろうな」


 職人が武器を持ってきてくれた。

 リジェネの聖装は槍の「ルーングリッター」と短剣の「クラウ・ソラス」だ。どちらも光をイメージした神々しさを放っている。

 短剣のほうは装備条件を無視して装備できる効果をもつという。


 フェラーノの聖装は「グラシエス」という名の戦斧。こちらは氷をイメージした、実に彼らしい逞しさを宿す風格の武器だった。

 一行はこれら3つの武器を入手する。これで称号の有無に関わらず、装備する事で彼らのスキルに聖なるバリアを打ち砕く力が備わるだろう。


 一行は職人に代金を払い、礼を言ってクローデリアらとの待ち合わせ場所に行った。

 ニーファバオムの根元まで行くと既に2人の姿がある。ちょっとだけ早く着いたのだと言う2人を交え、今度はアルラートらと別れ、再び本来の旅路へと戻っていくのであった。



         ☆    ☆    ☆    ☆    ☆

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