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プロローグ
全三部構成の物語のはじまりです。
今日中に第一部第一章を公開します。
はじめに、世界は支えられていた。
天は落ちず、
地は沈まず、
すべての生の営みはその狭間にあった。
風は流れ、
石は黙し、
足裏には確かな重みがあった。
やがて、ひとつが欠けた。
音もなく、
名もなく。
ただ、わずかに
世界は傾いだ。
水面ほどの揺らぎ。
石の継ぎ目ほどのずれ。
それでも人は生きた。
その傾きを、日常と呼びながら。
天は高く、空は青く澄み、
大地は確かにそこにあった。
ただ世界を満たす何かが、
狂いはじめた。
人はまだ知らない。
世界が傾いだのではない。
――支えが、
消えただけだということを。




