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仕返しと不穏

 休日、 私は別邸へ向かっている。ローレンスたちは、彼女が用意させた馬車に乗っている。私は通常通り徒歩である。ヨハンさんが護衛として同行している。


 しばらくして森を抜けると、私たちは到着した。少し休憩をとった後、ユリアは二人をテーブルへと招いた。


 私は、その様子を彼女の側に立ち窺っている。彼女が飲み物を勧め挨拶を交わしてから、会話がまったく弾んでいない。


 一体、彼女は何の目的があり彼らを誘ったのか、私が理解に苦しむほどである。彼らからは話しかけづらいことえお分かっているはずなのに、彼女は茶を飲み進めている。


「ユリア様、ローレンスとクリスティーナは大変緊張しております。お話し差し上げたら如何でしようか?」


  彼らに気づかれないか窺いながら、彼女は私に睨みを利かせてくる。


「お話は宜しいんですか?」


 彼女は私の方に振り返り、今にも殴りかかってきそうな表情になる。


「そうだわアンドゥー、せっかくお二人に来ていただいているのですから、アナタもどうかしら一緒に?」


「とんでもごさいません、ユリア様。私はお供で参ってますので」


「お二人もそうお思いになりますよね?」


 彼らは戸惑っている。彼女の目論見は外れてしまっている。私は必死に笑いをこらえる。


 彼女は冷静を装っているが、内心穏やかでないはずである。これ以上は流石に、私は心苦くなる。


「私も出来ることなら、そうさせて頂きたいのですが。旦那様に怒られてしまいます。周りの目もありますので」


 すると、彼女は周りの従者に下がるように合図する。


「さぁさぁ、アンドゥー座って」


 彼女は自分に彼らに聞きたいことを言ってきて、それを私が質問するという形式の会話を始める。流石に、打ち解けてくると、彼女から彼らに対して話すようになる。


「毎日のように、ローレンスさんことを素晴らしい方だと言っているのよ」


 それは紛れもない事実である。しかし、毎日のようにという部分は事実と異なる。彼女が会話を弾ませたいという一心なので、私は訂正はしない。万が一、そんなことをしたら私の体は保たない。


「クリスティーナさんの魔法の等級は、どのくらいなのかしら?」


 彼女は照れくさそうにしている。


「私なんて全然です。お恥ずかしいです」


「アンドゥーから、かねがね伺っています。優れた魔法力の持ち主であると」


 それついて、私は話したことすら無いはずである。クリスティーナの表情は、明らかに混乱した人のものである。それで、私は咄嗟に話しに割って入る。


「いや、ごめんごめん、君なら、そうじゃないかと話したんだよ」


「あら、そうだったの? 驚いてしまったわ。嬉しいけれど、ユリア様に勘違いさせては駄目よ」


「そうだね。悪かったよ。今後は気を付けるよ」


「そうしてちょうだいね」

 

 ユリアは自分の言葉で察したようだ。


「そうだ、ローレンスさん。私と剣術でお手合わせ願えないかしら」


「ユリア様、申し訳ありません。それは出来ません」


「そうですよ、ユリア様。ローレンスが困ってるじゃないですか」


「ローレンスさん、私、なかなかの腕前ですのよ。これまで、アンドゥーと何百回と対戦して一太刀も受けたことが無いんですよ」


「それは本当かい?」


「まぁ嘘ではないかなぁ」


「機会があれば是非お願いしますね」


 彼は返答をはぐらかす。それから、私たちは和やかに会話を続け、昼食を済ませて帰ることになった。


 私が帰り支度をしていると、ヨハンさんが仕切りに別邸の周囲を気にしている様子である。

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