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招待と思惑

 相変わらず私は、彼女の個人レッスンに付き合わされている。彼女は専属の国家剣術士まで雇ってしまっている。彼女の並々ならぬ熱意は、一体どこから湧いてくるのだろうと思う。私は理解に苦しんでいる。


 彼女の技術と体力は、著しく向上してきている。ここ一週間、私は彼女にボコボコにやられている。私は正直悔しくて仕方ない。


「満足だわ。今日は、この辺にしといてあげようかしら」


「そうですか」


「アンドゥー、休日は別邸に行くわ。あなたも同行しなさい」


「私は屋敷で使用人としての仕事がありますので、遠慮させてもらいます、ユリア」


「安心なさい。お父様の承諾はとってあるの。まさか断るつもりなの? あなたに宜しく頼むと言ってたわよ」


「わかりましたよ。同行すればいいんですね」


「そうだ、友人も招待しなさいよ」


「どうしてですか?」


「口答えは慎むのよ。誰のおかげで生きてられると思ってるの」


「わかりましたよ。ローレンスを誘ってはみますが、彼にだって予定があります。断られる可能性の方が高いと思いますよ。さすがに無理に連れてこいとは、仰らないですよね」


「そりゃそうよ。私が人に無理強いするなんてことはないわ」


「私は何なんでしょうか?」


「うるさいわよ、アンドゥー。やはりレッスン再開しましょうか?」


「ご自由になさったらいいんじゃないですか?」


「ふてくされるんじゃないわよ。そうだわ! 彼女も誘いなさいよ?」


「クリスティーナ……さんですか?」


「そうよ。なに驚いているのよ」


「それは止めておきましょう」


「どうしてかしら、私には会わせたくない理由でもあるのかしら?」


「そういう訳じゃないですけど、昔からユリアは人と喋らないじゃないか」


「それは共通の話題が無いからよ。彼女は階級こそ違うけど同じ魔法科でしょ! きっと会話も弾むはずよ」


「じゃあ、マチルダ様たちとは会話が弾んでいるんですかね?」


「黙りなさい! 誘うだけ誘ってみなさいよ。絶対よ」


「そうしてみます」


「早く仕事に戻りなさいよ」



 学院での昼食時間である。彼らにユリアの命令を伝えないといけない私は、大変憂鬱で彼らに嫌われないか心配でいる。


「実は二人に話があるんだけど、聞いてもらっても良いかな」


「もちろん」

「もちろんよ」


「実はユリア様が今度の休日、二人をメリーチ家の別邸に招待したいと仰っているんだよ。それぞれ予定もあるだろうし無理しなくてもいいからね」


「僕は大丈夫だけど」

「今度の休日、私は特に予定はないわよ」


「ユリア様は無理強いするのを非常に嫌うんだ。別に断っても構わないんだよ。決して機嫌を損ねたりしないよ。ユリア様は非常に心の広いからね」


「どうしたんだい? アンドゥー」

「そうよ、いつもの貴方じゃないみたい」


「確認するけど、本当にいいのかい?」


「どうしたんだい? まるで断って欲しいみたいじゃないか」


「そんなことはないよ」


「喜んでお受けするよ」

「大変、名誉なごとだわ」


「アンドゥー、どうしたんだい? 溜め息なんか付いて」


「いやぁ、二人が来てくれるなんて。休日のことを思うと興奮してしまってね。呼吸を整えていたんだよ」


「そんな状態で今から大丈夫かい」

「アンドゥー、落ち着いてね」


 二人は私に優しく微笑みかける。私は後ろめたい気持ちで一杯になっている。


 

 授業が終わり、私はユリアを迎えに行き報告している。彼女は大変満足そうである。その日のことを考える度に、私は憂鬱になっている。私は彼女の狙いは何なんだろうと考えているが、私には全く意図が分からないでいる。

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