05-23.エピローグ
「しゅっぱぁ~つ♪」
すっかり明るさを取り戻したネメちゃんが、最初の一歩を踏み出した。
続いてモニカが。最後に私とリリスが。
ティア(リブラ)、シア、ベルタ、アッシュに見送られながら、私たちは『リブラ』を旅立った。
最初の目的地は魔王城だ。
勇者と使徒と女神の三人旅。傍から見たらそんな感じ。
私たちは転移で乗り込むのではなく、人類圏を練り歩きながら進む旅路を選んだ。
勇者様御一行として相応しい活躍を世に知らしめる必要がある。そんな旅路だ。
でないと、女神と魔王が手を組むだのなんだのと、人間たちがイジケちゃうからね。それで戦争にでもなったら堪らない。だからちゃんと見せてあげよう。そういう話になったわけだ。
ネメちゃんはこれから始まる英雄譚に自分が参加できることを心底喜んだ。元々結婚式からずっと機嫌が良かったのもあるけれど、この計画を知ってからのネメちゃんは、更に輪をかけて絶好調だ。ふふ♪ ネメちゃん可愛い♪
「エコー♪ は~や~く~♪」
「は~い♪」
少し先で手を振りながらぴょんぴょん跳ねている。
モニカも、一足先にネメちゃんに追いついて、名残惜しげに都市の方へと視線を向けている。
気持ちはわかる。あのお屋敷での生活が名残惜しい。皆ともっと一緒に居たかった。けど心配は要らない。旅の最中だって、いつでも転移で戻れるんだし。宿を取って、夜になったら戻ってくればいい。なんてことはモニカもわかっているんだけどね。それはそれか♪
そもそもネメちゃんがダメって言うかも。英雄譚が中途半端になっちゃうって。
『安心なさい♪ 私も転移使えるから♪』
さっすがリリス♪ 愛してる♪
『ふひひ♪』
私とリリスは少しだけ神様に近づいたみたいだ。貰った力が少しずつ馴染んでいくのを感じる。出来ることも日増しに増えていく。二人でなら、いつかネメちゃんを超えることだって出来てしまうかもしれないね♪
『油断は禁物よ♪ またしてやられるかもしれないわ♪』
そうだね。人間も中々どうして捨てたものじゃない。一人一人の力が大したものではなかったとしても、結果的に私の力を高めてしまったのだとしても、私たちに傷を与えたのは間違いなく人間たちだったのだから。
まさか魔物を従える人間までいるだなんてね。北の前線付近にそんな一族が暮らしているって。ティアが言ってたね。
『枢機卿の用意したゴーレムを操った者がいる筈ね。もしその人が先に魔王の下に辿り着いてしまえば、事態はややこしいことになるかもしれないわ』
フィリアスも操れるのかな。そもそも魔王が魔族じゃなくて魔物だって情報を知り得るのかな。
『わからないわ。だから用心しましょう』
そうだね。けどさ。こんな言い方はあれだけどさ。
『丁度良い?』
うん。山も谷も無い旅路じゃ、ネメちゃんが退屈しちゃうしさ。モニカだってあんなに頑張って強くなったんだもん。その腕を振るう機会は欲しいよね♪
『それもそうね♪ 勇者様の名を轟かせるには適度な脅威も必要ね♪』
だね♪
もちろん犠牲を広げたいわけじゃない。そんなの間違いなくティアが悲しむもん。私は愛するティアに顔向け出来ないことをするつもりはない。
『私たちはそれでいいのよ。人類だけの味方でいるのは難しいから。せめて愛する家族の笑顔を守り続けましょう』
うん。モニカもシアもベルタもアッシュも。そしてネメちゃんも。もちろんリリスだって。私にとっては大切な家族だもん。皆が幸せになれる道を歩き続けよう。考えるのはそれだけで十分。それが家族ってものだもんね♪
『ええ♪ その通りね♪』
まだまだ増えるのかな。家族。
『もちろん♪ エコーハーレムはまだまだ終わらないわ♪』
リリスのハーレムでもあるんだぜ♪
『ふふ♪ そうね♪ 私たちは二人で一人だもの♪』
そうそう♪ 次はお姫様とか誘いたいよね♪
『勇者と言えばだものね♪』
きっとネメちゃんも喜ぶね♪
『モニカは怒るわね♪』
ふふふ♪ 程々にしないとね♪
『もしかしたらモニカの方がモテてしまうかも♪』
それはダメ! モニカは私のだもん!
『あらあら♪』
「も~! エコー! 何してるの~!」
あら。待たせすぎちゃった。
『行きましょう♪』
うん♪ 行こう♪ ……新しい冒険の旅に♪
これにて完結です!
本作を最後まで見守ってくださり、ありがとうございました。皆様の日常のなかで、一時の楽しみとなれていれば幸いです。
まだまだ書き足りないところではございますが、今回のお話はこれにて区切らせて頂きたく思います。いずれ機会がありましたら、第二部も書きたいと思います。
これまで沢山の応援をいただき、本当にありがとうございました!




