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このまま、さめないうちに


「えっ? あ、えっと、ごめんなさい。何だったかしら?」


 こちらもこちらでいっぱいいっぱいだったらしい。僕が説明していない以上、そう言う目的で連れて来たと思っても普通なので、無理もない反応かもしれないが。


「部屋についての要望だけど」


 人が動揺するのを見ると自分が冷静になれるというのは本当らしい。僕はすぐ説明し、希望はあるかと尋ねてみるけど、急に尋ねられて答えることって言うのはなかなかできないと思う。


「それでは、指定条件を満たす部屋でおススメはありますか?」

「……そうですね」


 ミリティアも同様だったようなので、僕が更に従業員に尋ねると提示された部屋は二つ。その部屋の鍵を差し出され。


「ではこちらで」


 直感で右側の鍵を受け取る。せっかく冷静さが戻ってきているのだ、このまま部屋にたどり着けば、ミリティアにちゃんと説明できそうな気がする。まごついている暇なんてなかった。


「それでは行きましょうか」

「えっ、あ、うん」


 同意の声につないだままだったミリティアの手の力が強くなる。


「あ」


 緊張してるんだろうなと思ってから、ふと気づく。これってはたから見ると僕はミリティアとそう言うことをするためにものすごく必死になっているように見えるのではと。


「ヴァルク?」

「え、えっと、その」


 駄目だ。訝しまれたが、ここは廊下。立ち話をしてい異様な場所じゃない。


「ここで立ち止まると、通行の邪魔になりますし」


 弁解するように再び歩き出す理由を口にして、行きましょうと僕はミリティアの手を引いた。部屋だ、とりあえず部屋までたどり着けば、話だってできる。誤解されてるとしても、誤解は部屋で解けばいい、のだが。


「あれ?」


 部屋の位置がわからなくなって、手がかりを探すために僕はミリティアの手を握ってない方の手に持った鍵を確認する。部屋番号は302。


「302と言うことは、三階ですね」


 視線を先にやれば廊下の突き当りに上へあがる階段が見えた。




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