僕はなんとかしようとして
「あ」
なら他に調べる方法はと考えて、ふいに思い至る僕は大量に本を取り出していたじゃないか、と。
「あの中なら――」
悪魔に関連した書物の一つや二つあっても不思議はない。ムレイフさんに幾らかは売ってきて貰ってしまったが、無いなら無いで技能を使ってそれ系の本をとりだせないか試してみてもいい。悪魔の研究なんて一部の宗教家なんかは眉を顰めるだろうし、過去によろしくないモノとして処分されててもおかしくはない。
「となると、僕の判断は間違ってなかったようですね」
今まで以上に技能に頼るとなると、ミリティアの目を盗んでとは現実的ではない。これから行く先で秘密を打ち明け、協力関係を築くのは必須だ。
「問題は――」
上手いこと秘密を打ち明けられるかだけれど。何せ、目的を伏せたままミリティアを連れ出していかがわしい目的でも使われる場所へと向かっているのだ。普通に考えてミリティアに誤解をするなと言う方が無理であろう現状が、ここにある。
「命の危険があるとかではないんですけど……」
なぜ僕はこうもクリアすることが難しそうに見える問題にぶち当たるのだろう。
「うーん」
どういう流れであれば、自然に目的を達成できるであろうかを考えてみるも、思いつかない。
「ヴァルク?」
「あ、す、すみません」
問題解決こそ最優先と思考を割り振っていた僕だが、声をかけられれば、流石に失敗に気付く。誘っておきながら放置などもっての他だろう。僕は我に返るとミリティアに頭を下げ。
「この後のことを考えてまして」
口にした言葉に嘘偽りはない。ただ、言い方が悪かったのだろうか。
「……もう、ヴァルクのえっち」
少し僕の言葉を吟味したミリティアは顔を赤く染めてちょっと避難がましく僕を見て。
「あ゛」
誤解に気づいたときには遅すぎた。
「い、いえ、そういう意‥…あっ」
そして、間が悪いときにこそさらに魔の悪いことは起きるモノで、否定しようとして僕は気づいた。不意に見た前方、すぐそこにもう目的地があったことに。




