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バルキーノ  作者: sherry
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第五話 俺の秘密

そんなわけですっかり夜になってしまった。迂闊にも車の中で寝てしまった。あんなに怖かったのに…


今は全員アジトにいる。そしてナナミがとんでもないことを言い出していた。


俺が病院で気絶している間、医者、つまりはリュウのお父さんが俺の脳波を調べたらしい。

そしてそのデータを軍人であるナナミたちのお父さんに見せたらしい。どうも俺がコンクリートの山のそばで見つかったのを不思議に思ったからだそうだが、その結果がとんでもないことだった。


俺の脳波は明らかに人間のそれとは違い、むしろ軍の使っているロボットの人工知能によく似ていた。しかし、人工知能は、ロボットの特殊能力によって脳波が変わるのだが、俺のそれはどれにも当てはまらなく、むしろいろんな脳波がミックスしたような感じなのだという。


具体的には、火を操れるロボット、水を操れるロボット、電気を操れるロボット、長距離瞬間移動ができるロボット、自然治癒能力があるロボット、人の脳波、が合わさった感じだという。理論上は、これらの能力が俺には使えるらしいが、そこのとこの説明は何言ってるのかわからなかった。


でも自分でもそんなこと自覚がない。もし使えても使い方がわからない。

それにもう一つ気になっていることがあった。写真の人物、UNKNOWNがこのことと関係しているのかもしれないということだ。つまり、俺の記憶が戻った部分が、この能力と関係しているかもしれないということだった。


しかし俺はそんなこと気にしている場合ではなかった。能力があるなら、使えたほうがいい。

たとえ使わなくても、使えないよりはましだと思う。

そこで俺は翌日からアジトの裏山で、練習をすることにした。元は軍事用ロボットの能力だ。どんな威力かわからないため、極力裏山には人を入れないようにナナミには言っといた。まあ入ってくるのはお弁当を届けに来るナギサくらいだが。彼女のお弁当はいい気分転換になる。本人は山登りしているわけなのでつらいだろうが、、、


数日すると、お弁当を届けに来るのがリュウに変わった。ナギサは日々の山登りで足がダウンしたらしい。まあそれはそうだろう。お疲れ様でした。


それから一週間ほど、俺は練習をしていた。とは言ってもやり方すらわからないので、ひたすらイメージするだけなのだが、はたから見ればとんでもない変人だと思われるに違いなかっただろう。

少しずつ感覚がつかめたのか、手のひらに火の玉を作ったり、水を丸く球にしたりすることはで出来るようになった。

でもどうも電気だけはそうはいかなかった。目には見えないからだ。時々手のひらに制電気のようにバチっと走るのだが、手は痛いし、一瞬だしと、なにがどうなっているのかよくわからないのだ。

瞬間移動のほうは、だいたい感覚が分かる。まだ短い距離しかできないが、逆に言えばそこはほとんど完璧にできるようになった。


そんな練習の日々が一か月近く続いた。もうほとんどの能力に関してはかなり使えるようになってはきた。その間も団では様々なことがあり、危うく火事になりかけたのを水で消したりと、いろいろ能力を使う機会もあったが、電気だけがどうも目に見えないのが壁になっているようでなかなか使えないのだ。


そんな中、ある日、変電所に雷が落ちたかなんだで丁度夕飯時に突然停電したことがあった。そんな時、タイチが「電球、付けられる?」といつものように隠れながらぼそっとつぶやいた。そっか、電気が流れるのなら電球はつく、小5で習うことだ。つくづぐ自分の馬鹿さに呆れてしまう。とりあえず、やってみることにした。

静電気のようにバチっときたあの時の感覚を思い出していく。目の奥に力を入れる感じで、ひたすら電球に視線を送り、光らせることに集中する。一瞬、目の前が明るくなった。ついた。電球がついた。一瞬だがついた。

それじゃあもう一回!と意気込んでいるとき、テレビやらエアコンが再び動き始めた。肝心の電球はつかない。おまけに能力を使っている感じはしない。どういうことだ?


ナギサが何か気づいたのか、電球を外して振って見せた。中ではカラカラと乾いた小さい音がしていた

。そう、おそらく俺の能力で過剰に電流が流れ、切れたのだ。てことはおそらく停電もなおったということ。じゃあ俺は能力を使えるようになったってことか。長い練習の期間も終わりを告げようとしていた。

正直疲れた。

そんな余韻に一人で浸かっていると、リュウがとんでもないことを言い出した。


「ここにロウソクあったじゃん、あとチャッカマンも。」


そういう人の心折るようなことだけは言わないでくれ。俺の苦労は何だったんだ~。

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