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バルキーノ  作者: sherry
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第六話 束の間の休息part1

こんな感じに俺が能力を使えるようになってから一週間、俺はアジトでのんびりと過ごしていた。


最初のほうの山登りで足が小鹿のようになったナギサと練習で疲れた俺に気を使ってか、ナナミが少し休みをくれたのだ。


たまにはこういう休みもいい。が、のんびりさせてくれない人が若干一名、どうも退屈すぎて死にそうな人が…。


リュウだった。今はパソコンでオンラインFPSをやっているが、そのちょっと前までは外行こうだの某ゲーム会社の二つ折りケータイゲーム機で通信しようだのいろいろ言ってはスルーされるという寂しい時間を過ごしていた。


そのFPSのほうは相当な腕前らしく、全国でも指折りのヘビィプレイヤーで、一時期は半年間もトップ5に居座りつづけたこともある有名人らしい。

今もランチャー片手にヘリコプターをどんどん撃墜している。やられているどこぞのお相手がかわいそうになってきた。そんなことを1時間ほどずっとやっている。



そんなとき、一通のメールがパソコンに送られてきた。送り主を見てみるとナナミたちのお父さんだった。添付ファイルがついている。おそらく、新しく分かったことをパソコンに送ってきたのだろう。


リュウが一旦ゲームをやめ、プロジェクターのほうにパソコンをつないで、スクリーンに画面を映し出した。ちなみにこのプロジェクターとスクリーンもナナミのお父さんからいらなくなったものを譲ってもらったものだ。無線LAN仕様なので、コードもいらなくとても便利なのだ。


そしてリュウがそのメールを開いた。すると、突然、インストール画面が開いた。普段はインストールしますか?という画面が出るのだが、そういうたぐいのものはなかった。しかも、インストール時間は3時間。とんでもなくでかいデータだ。このパソコンで3時間というと、、、5TB位か?そんな容量、このパソコンぎりぎり位だから、途中でストップするだろう、だってこの団の活動記録がパソコンに入っているのだから、そんなもの入らないはずだし。。。


そこまで考えて、重大なことに気が付いた。インストールしますか?という画面が出なかったということは、このパソコンの正規なプログラムのルートをたどってインストールされていないということ。つまりはこのインストール画面は偽物かもしれないということ。

その時、俺は脳裏にある言葉が浮かんだ。偽物のインストール画面、容量ぎりぎりのデータ、そして正規なルートでないプログラムの起動、、、


コンピューターウイルス、ナイトバロン、それは、一時期全世界を揺るがしたとんでもないウイルスだった。感染したコンピューターは画面がブラックアウトした後数秒後に再起動、するとパソコンのOSのアップデート画面が出てきて自動更新が始まるように見せかけ、その裏でデーターをインターネット経由で奪っていき、それが終わるとパソコン内のすべてのデータを削除、その中には当然のようにコアの部分も含まれていて、文字通りパソコンがただの箱になってしまうというものだった。データが削除されるため、発信源の特定もできないとんでもないウイルスだった。


のちにジャンヌダルクというウイルス対策ソフトの登場と、パソコンの容量の急激な増加により、ナイトバロンはいつの間にか消え去っていたのだ。


もし、さっきのメールの添付ファイルがナイトバロンの進化型ウイルスだったとしたら、、、中のデータがあと2時間25分ですべて消える。俺はすぐにリュウにネット回線を外すように伝え、回線の端子を自分の指先で、強くつかんだ。


いくら強力なウイルスでも、所詮はネット回線を経由して入り、経由してデータは出ていく。なら、その回線を切ればいいのだ。

この対処法は当時の数々の自宅警備員たちの努力によって生まれたものだった。彼らはパソコンのデータが取られない最低限の方法として、普段がらバックアップをとっておいていざというときに回線を切るという荒業を編み出したのだ。

これにより、データ送信が終わると自動消去というナイトバロンの仕様から、コンピューターのデータごとナイトバロンを消去するという自爆方法、そして新しいパソコンでバックアップデータから復元という見事な回避術が世間の常識になったのだ。



しかし、読みが浅かったようだった。今までのナイトバロンは、回線を切るとすぐにデータ削除に移行するのだが、今回は画面が落ちない。まだデータの発信を続けているようだった。回線は切ったはずなのに・・・。


おそらく別ルートで外部と通信を続けている証拠だろう。いまだに偽インストール画面は刻々と100%に向かって進んでいた。


その時、タイチが「無線LAN、つながってるよ。」と言った。え?無線、ああ、プロジェクターのことか、確かあれも無線LAN対応だったよな・・・。ここまで考えて俺は重要なことに気が付いた。このアジトには無線LANのルーターはない。

団員がスマホを使うときには、外の町中を走っている無料のやつを使っている。にもかかわらず、このプロジェクターとパソコンは無線LANで暗号化された電波を使って通信されている。つまりどこかに専用のルーターがあるということだ。

おそらくそれはこのプロジェクターの中、、、ならそっちも切らないといけないのか。じゃあドライバーを持ってきて・・・とナナミに頼もうとしたとき、リュウが「あと30分で終わるよ」と言った。


プロジェクターを分解したところで、罠があるかもしれない。とても30分じゃ時間が足りない。どうにかして情報の流出を阻止しなければ、、、



そうか、その手があったか。俺の脳内にある作戦が思い浮かんだ。いくらウイルスとはいえ、所詮はメールにくっついてインターネット回線を通ってきたプログラム、つまりは電気信号だ。なら俺の能力で電気を操れるのなら、この電気信号を書き換えることも破壊することもできるんじゃ?おれは片手でつまんでたネット回線をにらみつけるように力を込めて極限まで集中した。


その時、一瞬目が眩んだような気がして、地面が揺れて体に衝撃が走った。

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