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見習い宿屋  作者: るりの
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13/14

第13話「継心」

語り終えると、しばらく沈黙が続いた。


外の風が、

戸をわずかに揺らす音だけが響く。


跡継ぎは、ゆっくり息を吐いた。


胸の奥で、

何かがほどけるような感覚があった。


赤鈴は、

命と向き合った時に鳴る。


白鈴は、

命に手を差し伸べた時に鳴る。


そして——

青鈴は、

命を見送る覚悟を持った時に鳴る。


点だった記憶が、

一本の線になる。


あの日々が、

ひとつにつながっていく。


椅子を倒す勢いで立ち上がると、

目の前の男は、楽しげに笑った。


「そういうことだ」


跡継ぎの視線を受け止め、

大神様は静かに言った。


一拍おいて、続ける。


「鈴が教えてくれたと思うか?」


「違うな」


「選んできたのは、

 いつもお前自身だ」


言葉が、

胸の奥に落ちる。


跡継ぎは何も言えなかった。


思い返せば、

迷った夜ばかりだった。


正解など、

一度も分からなかった。


それでも——

戸だけは閉めなかった。


大神様は、わずかに目を細めた。


「これからも迷え。

 迷いながら、

 戸を開け続けろ」


「それで十分だ」


大神様は立ち上がり、

戸口で振り返ったる。


その姿が、

一瞬だけ大きく見えた。


まるで——

次に灯りを守る者を確かめるように。

お読みいただきありがとうございます。

次回更新は18日を予定しております。

最終話「始まり」

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