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新人戦 決勝戦

「いよいよ決勝戦です! 各学園から選ばれた代表たちを倒し、最後まで勝ち残ったのはこの2人! ステラ学園のルリ選手とキャロ選手です!」


最後の選手の名前が呼ばれると、会場が一気に沸き上がる。決勝の舞台が整ったこの会場。見なくても分かる。この最高の対決に、この場にいるすべての人が盛り上がっている。


ちなみに3位決定戦となったシャロ対アンリは、シャロの圧勝に終わり、実況や解説をする間もなかった。この時点で、1位から3位までをステラ学園の生徒が独占することが決まっている。


「ハクヤ君、改めてこの2人の解説をお願いできるかな?」


この大会で、おそらく最後になる選手解説を任され、少しばかり緊張する。幸いなのは、2人とも俺がよく知っている人物だということだ。


「分かりました。まずキャロ選手についてですが、圧倒的な速さと、槍を使った戦闘を得意とする選手ですね。この大会でも、その速さについていけず、何もできないまま敗れた選手がいるほどですから」


「なるほど。キャロ選手は、その速さと、準決勝で見せた野生の本能にも近い勘が脅威になりそうですね。では、次にルリ選手はどうかな?」


「ルリ選手は接近戦と魔法戦闘、そのどちらにも対応できるオールラウンダー型の選手です。速さで言えばキャロ選手に劣るかもしれませんが、それは通常時の話です。〔魔王・覚醒状態〕のルリ選手は、ステータスのほぼすべてでキャロ選手を圧倒していますからね」


「解説ありがとう。さて、選手たちの準備も整ったようです! 新人戦最後の戦い。どちらかの一方的な試合になるのか、それとも互角の戦いになるのか。勝負が始まるまで、誰にも分かりません!」


キャロとルリは握手を交わし、互いに距離を取る。先ほどまでとは打って変わり、会場は静まり返っていく。


これが、嵐の前の静けさというものだろう。


「では――始め!」


審判の開始の合図と同時に、両者が一直線に駆け出した。互いに槍の間合いへ入った瞬間、先に攻撃を仕掛けたのはキャロだった。ルリの胴体を狙った突きは、正確で、なおかつ速い。並の者では捌くことすらできないだろう。だが、その一撃をルリは身を反らし、難なくかわした。そしてキャロの体勢が整う前に、槍を横薙ぎに振るう。これに対してキャロは、咄嗟に槍を地面へ突き刺し、棒高跳びのように利用してルリの背後を取った。そして背後へ回り込んだキャロは、再び鋭い突きを繰り出し、ルリの〈防壁〉を破壊しようとする。

だがルリは即座に振り向き、槍の柄でその突きを受け止めた。

試合が始まってから、ほんの一瞬の攻防。それでも両者は一歩も引かず、その激しさに観客全員が目を奪われてしまう。それほどまでに、凄まじい攻防だった。


「さすがルーちゃんだわ。初手で決めるつもりだったのに、全部防がれたわね」


「まだスキルを1つも使ってないのに、何を言ってるの、キャロちゃん」


2人は短く言葉を交わしているが、攻撃の手を緩めることはない。


躱し、捌き、そして攻撃する。複雑な戦術ではなく、互いの技術を真正面からぶつけ合う戦い。だが、この展開になれば、ある差が勝敗へ大きく影響する。それは、ステータスの差だ。


解説した通り、〔魔王・覚醒状態〕のルリは、キャロのステータスのほぼすべてを上回っている。だからこそ、キャロは初手で勝負を決めようとしていたのだろう。

だが、それに失敗した今、キャロは少しずつルリの攻撃を捌き切れなくなっていた。


「〈瞬間移動(クイックテレポート)〉」


ルリの攻撃に生じた一瞬の隙を突き、キャロはその背後へ移動する。そして距離を取ると、即座に槍を構え直した。ルリは追撃が来ないことを察していたのか、ゆっくりと振り返る。


「やっぱり、ルーちゃんを相手に長期戦は無理だわ」


「じゃあ、降参してくれる?」


「分かってて聞いてるわよね? 私が降参しないって」


「うん。キャロちゃんは、そんなことしないって思ってるよ」


「ルーちゃん相手に長期戦は無理だから、次の一撃で決めるね」


静まり返った会場に、キャロの言葉が響き渡る。強がりにも聞こえるが、その目を見れば、ただの強がりではないと分かる。キャロは槍を右手だけで持ち、左手をルリへ向かって突き出した。そして瞬く間に、膨大な魔力がキャロへ集まっていくのが分かる。ここに来て魔法を使うとは、誰も予想していなかっただろう。

だが、その魔法は普通のものではない。俺がよく使っていた魔法。その正体に気づいたルリは、発動を阻止しようと動く。

だが――。


「遅いよ、ルーちゃん! 〈光の審判《ホーリージャッジメント》〉!」


「しまっ!!」


会場が眩い光に包まれる。だが、〈防壁〉が壊れる音は聞こえない。ならば、一体何を消滅させたのか。

あるいは、不発に終わったのか。様々な可能性に思考を巡らせているうちに、光が少しずつ消えていく。

その一瞬、俺が目にしたのは、ルリの背後へ回り込み、鋭い突きを繰り出しているキャロの姿だった。そして――。


パリンッ……。


今日、何度も耳にした〈防壁〉の砕ける音。この戦いの勝者は、キャロだった。〈防壁〉が破壊されたことに気づき、その場に膝をつくルリ。一方のキャロは右腕を掲げ、自分が勝者であることを示そうとする。

だが、その顔色は悪く、息も途切れ途切れだった。満身創痍なのは、誰の目にも明らかだ。それでも、この光景を見ていたすべての観客は、惜しみない歓声と拍手を送っていた。それほどまでに、最高の試合だったのは間違いない。


「あぁ、負けちゃった。まさか最後に〈光の審判《ホーリージャッジメント》〉を使ってくるなんて」


「この時のために準備してきたのよ。ありがとう、ルーちゃん」


ルリは立ち上がりながら、キャロへ握手を求める。キャロは満面の笑みを浮かべながら、その手を握り返した。


「決まりました! 新人戦決勝、勝者はステラ学園――キャロ選手です!!」


『凄かったぞ!!』


『2人とも最高の戦いだった!』


こうして、名誉ある戦い(ドュエルグランツ)新人戦は、キャロの優勝によって幕を閉じたのだった。

ハクヤ「まさか、俺の元十八番の魔法を使うなんてな」


ルリ「あの魔法で、私のスキルが消されたんだけど」


キャロ「あの魔法を連発できるハクヤにぃは、おかしい」


シャロ「スキルを一時的に消すなんて、魔法は本当に興味深いね~」

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