0話 部活な世界1 20/20
真っ直ぐに伸ばしたあかりの体は水中へ綺麗に侵入した。
水面に背中が出た瞬間にあかりは手足を動かし、クロールを始めた。
「っぷは!! っぷは!!」
顔が水上に出る度に激しく息を吸うあかり。手足に入る力もいつも以上に強かった。それは3人がちゃんと本気で泳いでくれたからだった。
たかがゲーム、失敗したって何も損はないし、やる義理もない。あかり自身はアクティブな性格だが、他の3人はそういう訳ではない。
でも、4人は誰かが悲しんだり、苦しまないのを前提に、与えられた課題やゲームを本気で取り組む。いつもそうだった。そして今もそうだ。4人は4人で何かを取り組むことが大好きだった。
すぐに25mを泳いだあかりは壁に右手をタッチし、くるりと一回転する。強く壁を蹴り、すーっと伸びるように水中を進む。
また手を動かし、前へ前へ進むあかり。3人の声援は聞こえなかった。そして3人の姿を視界に入れることも不可能だった。
「はあ! はあ!」
息が苦しくなってくるのを感じるあかり。体力の限界が近い。
あと10m……5m……そして今、あかりは壁にタッチした。
壁にタッチした瞬間、3人がプールに飛び込む。
そして、体力が尽きて沈みかけたあかりを3人が支えた。
右手をせいな、頭をつくよ、左手をこゆきが支え、あかりは仰向けになりながら息を切らしていた。
「ぜえ……ぜえ……っっはあ……っはあ」
「あかり……大丈夫……?」
「無理しすぎー」
「体力ないんですから、気をつけないと」
「はあ……へへっ……ちょっと無理しちゃった!」
3人は一斉にあかりのおでこにチョップをする。
「あいた!!」
至極優しいチョップだった。
17個目の課題をクリア。
4人はプールから出て、校舎の方へ向かった。建物から出た瞬間、水着はもとの緑ジャージに戻った。
「さてーこたつ部屋にもどろー」
「疲れた……」
「お腹空きましたね」
「すごく楽しかった!!」
そしてビーっとブザーが鳴った。
4人の周りに映る建物や物が、ぽつぽつと消えていく。地面は凹凸を失い、色も黒に近い灰色になる。やがて世界は一面同じ色になる。
そして……
4人はこたつを囲んでいた。こたつの周りには4つの布団と、大きな薄型テレビ。カウンターキッチンなどが置かれたワンルームが存在した。不自然な電光表示されたカウントダウンが壁にかかっていた。「19:58:22」と表示されていた。
「ただいま!!」
「ただいま帰りました」
「ただいま……」
「ただいまー」
「何か作ります」
「つくよ……手伝うよ」
「次の課題は20時間後だって!!」
「なにかアニメでもみよー」
4人はそれぞれのことをし始めた。
4人でご飯を食べ、テレビを見て、布団で眠り、朝起きて、のんびり過ごす。
そして20時間経った時、次の課題へ赴く。
そんな生活を4人は送っていた。




