20話 とび森な世界1 10/11
「たぶんねーこっちの方向がやくばだよー、ゆきたちが進んだら、この赤い現在位置のマークも動いてねー」
そうつくよに説明しながら、先ほど進んできた道へと引き返す。赤い位置印も地図上で動いて、やくばの印へとどんどん近づいていく。
やがて、りんごの木がある場所を通り、さきほど渡った橋を渡ったとき。
たけのこがたくさん生えている場所の向こうに大きな建物が見えた。
こげ茶色の屋根に、石の壁。
「すごい!! 本当にゲームで見る通りだあ!! かっこいい!!」
はしゃいだような声をあげて、あかりが笑う。
「ここが『やくば』ですか」
少し照れくさそうにつくよが地図のマークを見て言った。
「じゃあ……ドア開けるよ……」
少し上ずったような声でせいなが呟き、錆びた金色飾りがついた重いドアを押した。
かちゃんと小気味のいい乾いた音を残し、ドアが開かれた。
前の方のカウンターに立っているのは、犬のキャラクターだ。
黄色い耳に、つぶらな黒い瞳。赤いゴムで髪を頭のてっぺんでくくっているのがチャームポイント。
「わあー、しずえさんだー」
つぶやくような小さい声でこゆきが感嘆した。
奥の村長席には、深い木の色の大きな机に、革張りの椅子がある。
「あの…… はじめまして……?」
せいなが恐る恐る声をかける。
「あ! せいなさんにつくよさん、あかりさんとこゆきさんですね!? ようこそ、ほのぼの村へ!」
ぱっと笑い、身振り手振りを交えて歓迎するしずえさん。
「こちらは 住民のみなさんの 暮らしをサポートする役場です! わたしは職員の しずえと申します」
「わあー はじめましてー!」
きらきらした目でこゆきが答える。
「ちなみにわたしは 村長の 秘書もしておりますので、今後ともよろしくお願いします!」
しずえがそう言って、照れくさそうに頬をかいた。
「では さっそく、村民登録の手続きを 始めたいのですが・・・ あかりさんたちは まだ 住むところが 決まっていませんよね?」
頭の上に疑問符を浮かべて、あかりに問いかけるしずえさん。
「はい!! まだ決まってないです!!」
それに対してわくわくと答えるあかり。
「う~ん・・・ 住所が決まらないと 登録の手続きが できないんですよね~」
そう言って、しずえさんは困ったように首を傾げる。
「たらい回しにするみたいで 本当に申し訳ないのですが・・・」
しょんぼりと申し訳なさそうにしずえさんが言った。




