プロローグ
「隊長、本日付けで辞めさせていただきます」
「ちょ、ちょっと待ってくれっ!? ニコラ、一体何があった?」
「僕は気づいたんですよ……、うちの部隊、働きすぎなんじゃないか、て」
僕ニコラ・カナトロフは遠い目をして言った。
いや、薄々勘づいてはいたんだ……。
王家からの命令でドラゴンとかの魔獣退治、他国との国境沿いでの争い、国内の犯罪組織の取り締まり、毎日大なり小なりゴタゴタが起きている。
この国の治安、大丈夫?て思うぐらいで。
もしかして便利屋扱いされてる?て思う事もある。
それでも国の為に働いてきた。
でも、褒めてくれる人もいなければ、賃金も上がる訳でもない。
「この騎士団がブラックな環境である事が漸くわかりました、だから辞めます」
「ま、待ってくれっ!? 引き継ぎとか人員の補充とか国に交渉しないといけないんだ!!」
「そんなの上司の仕事でしょ、隊長が現場に出た事この数年ありませんよね?」
「グッ……、俺は俺で王族に予算の交渉したりとか大変なんだよ……、まぁ確かになんとなく気付いていた、だがそう簡単に辞表を受理する訳にはいかないんだ……」
「じゃあ今後の任務は拒否しても良いですか?」
「駄目に決まっているだろ……、それに辞めてどうするんだ?」
「どっか田舎に籠もってのんびり暮らしたいです」
「実家に帰ったりしたいのか?」
「実家て言っても平凡な男爵家ですし、既に兄上が継いでますから今更戻っても居場所はありません」
「なんかすまん……、田舎暮らしがしたいのであれば一応そういう依頼は来ているんだけどな」
「どんな依頼ですか?」
「北の辺境のとある村から救援依頼が来ている、なんでも魔獣が発生して困っているそうだ」
上司が依頼書を渡してきた。
「……コレ、僕が行っても良いですか?」
「あぁ、そうしてくれるとありがたい」
こうして僕は忙しい王都での日々からおさらばする事になった。




