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モデル・姉・小夜子
我が笹ヶ谷家は四人家族である。
同い年の両親と大学生の姉、そして俺。
父親は実家の稼業を継いで社長になっていて、俺は立場的に御曹司となるが、社長の立場もピンキリで当の父親によれば「自分は社長兼平社員」で毎日営業に駆けずり回っていると言う。
だから俺はその程度の御曹司である。
さて俺が御曹司なら姉貴の小夜子は御令嬢と言う事になる。
俺の三歳年上になるJDは既にモデルの仕事をしていて、将来はモデルエージェントを目指している。
「ただいまー」
仕事で家にいない事も多い姉が珍しく明るいうちに帰ってきた。
「美典、バイトしてよ」
俺の返事を待たずに車のキーを投げてよこした。
「私のミニの車内、掃除しといて」
「ええ? 何で……」
文句を言おうとした時、カードが一枚飛んできた。
「先払いでどう?」
小夜姉はニヤリと笑う。
カードは電子マネーのプリカだった。
「……」
額面五千円のそれを黙ってポケットに収めた俺はいそいそとハンディクリーナーを手にするのだった。




