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ジョブ「お兄ちゃん」ってなんですか? 謎のジョブを与えられて困惑していると妹が最強になりました  作者: にとろ


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妹のスキル進化

 ピコーン

 ――

 妹へのスキル「エーテル操作」と「爆発魔法」が複合進化して「魔力爆発」を付与できるようになりました

 ――


 魔力爆発? 通常の爆発とは違うのか?


 ――

 ……

 ――


 そうですか、答える気はないんですか。天の声はひどいお人(?)だ。


 ――

 魔力爆発を付与しますか?

 ――


 俺はその問いかけに対し、「なんでそっちについてはちゃんと声が出るのかなあ!?」などとはもはや突っ込まない、この天の意志に対し反逆でもしてやろうか。


「お、その顔は何か習得した顔ですね!」


 勘のいいミントが俺に質問してくる、コイツほんと妙なところの勘はいいんだよな……俺がわかりやすいのか……


「まあ、うん……そうなんだが……」


「是非試しましょう! そうしましょう!」


「そう言い出すと思ったから黙ってたんだろうが! 絶対厄介事を抱えるパターンじゃないか!」


 ミントは心外そうに言う。


「まるで私が厄介事を引き寄せているような言い方はやめてくださいよ!」


「そうだな、引き寄せてるんじゃなく飛び込んでいく奴だよな」


「なお悪くなった!」


 ミントの抗議を余所に、俺は安全な依頼を受けにギルドへ向かおうとして足を止めた。


 ここでギルドに行ったらなし崩しで厄介な依頼受けるんじゃないか?


 しかしミントは一切空気を読んでくれない。


「じゃあギルドに行きましょう! 大丈夫です、安全な依頼しか受けませんから」


 などという、もうフリとしか思えないような発言をしたので、俺は「今日はのんびり家で休まないか?」と提案したものの無慈悲な「いやです」の一言に切って捨てられたのだった。


 ――ギルドにて


「安全そうな依頼はっと……」


「お兄ちゃん! コレにしましょう! 絶対いけますって!」


 そう言って渡された依頼書には「ランク、経験不問! ゴーレムを倒すのに協力してくれる方を募集します!」と書かれていた。


 うん、どっからどう見ても厄介な依頼だな。


「却下」


「えー……受けましょうよー!」


「誰でもいいって依頼でランク不問とか明らかに捨て駒要員だろうが! もうちょっと楽そうなやつ選べよ!」


 そう言ったところで俺の意見など聞いてくれるはずもなく、苦笑するセシリーさんにミントが依頼を受けると告げに行ったのだった。


 ――岩山にて


「お二人が今回の協力要員ですか……失礼ですが戦闘経験は?」


「経験不問じゃないんですか? いやまあゴーレムの討伐経験はありますけどね」


 少し依頼人の男は俺達を訝しんでから依頼内容を言った。


 平たく言えば非常時の戦闘要員、めったに生まれることはないが、鉱山ではときに鉱物が魔力を帯びて意志を持ち動き回ることがある。コレが発生したときに対処要員を用意しておくことが法で決まっている。


 今回は前任者がやめてしまったので引き継ぎまでの数日間、ゴーレム退治の責任者になって欲しいと言うことだった。


「まあゴーレムなんて長年この仕事やってるが見たこたあねえんだがな! ま、戦闘要員を一人以上入れろってお偉い様が言うわけよ! だからお前さん達も気楽に構えておいてくれればいいさ」


 すがすがしいまでのフラグ建築だった……コレはもうどう考えてもなあ……


 しかし安直な予想は外れ二日間にわたって平和にのんびりお茶をすすりながら戦闘責任者室で過ごすことができたのだった。


 ――翌々日


 しかしまあ、やはり神はいるのだろうか? 依頼された後任への引き継ぎが終わり翌日には着任してくれるというところでそれは起きた。


「親方! ゴーレムの群れが! こんなことがあるなんて!」


「お前ら! さっさと逃げろ! 非常事態だ!」


 そうして数十体のゴーレムの異常発生に対抗することが必要になった。


「お兄ちゃん! バフをお願いします」


「あいよ!」


――――

力「S+]

体力「S+]

魔力「B」

精神力「B]

素早さ「A」

スキル「魔力爆発」

――――


「お兄ちゃん? ゴーレム相手だから体力メインなのは分かりますけど、この新しいスキルってなんなんですか?」


「さあな……このタイミングで覚えたんだから使えって事じゃないか?」


「おい! あんたらも速く逃げろ! 俺の目の黒いうちは死人は出さないと決めてるんだ!」


 その時、小型のゴーレムが鉱山の入り口から出てきた。


 微妙に緩慢な動きで襲いかかってくる。そして俺達に近づいたところで、その重い手を俺達に向けて振り下ろした。


 ドガッ メキッ


 鈍い音と共もにゴーレムの手はミントの手のひらで受け止められる。


「えいっ」


 軽々とゴーレムの中心に拳でぶん殴って風穴を開けるミント、幸いゴーレムが金属体ではなく、岩石の集合体だったのでゴーレムは腰を中心に体が上半身と下半身に分かれて吹っ飛び、その活動を止めた。


「あんたら一体……まさかゴーレム討伐を本当に経験してる……」


「余計なことは深くは聞かない、長生きする秘訣ですよ?」


 そう笑顔で言い放つミントに対しておっさんの顔は凍りついていた。


 そうこうしているとゴーレムがどんどんと鉱山の入り口から湧いて出てきた、メキメキとゴーレムの体を軽々破壊するミントだがコレではキリが無い。


「クソッ! 一体何体湧いたんだ? こんなこと今まで一度も無かったのに」


「お兄ちゃん、魔力爆発って使ってみていいですか?」


「構わない、ただし小規模な奴を始めに使え。いきなりよく分からないものを全力で使うなよ?」


「りょーかい!」


「マギ・エクスプロージョン」


 そう言って魔力爆発を起こすと、鉱山入り口を中心に小さな虹色の光がはしった。それは俺達を通り抜けていき、すぐに消えた。


「ゴーレム、動かなくなりましたね?」


「ゴーレム特攻? いや……多分魔力で動いているゴーレムが魔力の波でその動力を消されたんだな」


 推測の域を出ないがおそらく魔力に対して干渉するスキルだろう、ゴーレムに物理的な破損がないことから俺はそう推測をした。


「なるほど、まだまだ出てくるでしょうし、大きいの一発撃っときましょうか?」


「一応聞いておきますが今ので体調に異常は出ていませんね?」


 俺に何も影響が無かったのだから大丈夫だとは思うが念のためおっさんにも確認をしておく。


「ああ……まったく問題ない」


 その扁桃を聞いてからミントが派手に魔力爆発を使った。


「マギ・エクスプロージョン・エクステンド!」


 七色の光の奔流が鉱山を中心に爆発的に広がっていく、しばらくの間、目に優しくない光が俺達の目を攻撃した。


 そうしてようやく光が収まったところで、入り口にいた数体はピクリともしていなかった。


「割と使えますねコレ」


「魔力消費はどうだ?」


「うーん……体感消費した感じはないですね」


 やはりインチキくさいまでの能力だ、おそらくバックファイアが一切無いというのは敵を選ぶということを加味しても非常に強力だろう。


 そうしてしばらく、追加でゴーレムが出てこなくなったのを確認して皆を鉱山に戻し調査をした。


 それによるとゴーレム「だった」らしい鉱物や岩の塊はあったものの、生存している個体はいないとのことだった。


 その報告を受けおっさんは上機嫌で俺達を褒める。


「いやあ、助かったな! この役回りはお飾りだとばかり思っていたが、本当に受けてくれたのが二人で助かったぞ!」


 そう言ってがははと笑ったのち、後任に「コレがお前のするべき事だ」と引き継いだ新人に話し、その新人がドン引きしていたが……それはそれ、俺達は引き継ぎまでの間しっかりと役目を果たしたのだった。


 ――ギルドにて


「どうしてですか! めっちゃ報酬低いんですけど!?」


 セシリーさんとミントがいつものやりとりをしていた。


「そう言われましても……誰でもいいと依頼をされたので最低ランクの報酬が基準になってるんですよ。そもそもゴーレムが出ない前提で私たちも引き受けてしまったもので……」


 そう、予想外のゴーレムに対しギルド側は「どーせゴーレムなんて出たことないし」と安易にフリーランクで依頼を受注したのだった。


「まあ今回のは想定外だろ、諦めろ」


 俺がミントにそう言うと渋々受付に愚痴るのをやめ、いつもの定食を注文し二人で食べた。


 俺だってランクが上がるに越したことはない……かな? とはいえその程度の依頼だったので想定外のことでランクを上げるわけには行かないギルド側の事情も理解した。そして、臨時報酬という形で鉱山の管理をしている貴族からいくらかの金額を貰い、俺達は黙ってそれで承諾したのだった。


「お兄ちゃんは上昇志向が無いですよ」


「そんなものより今日の飯の方が大事だからな」


 そうしていつものやりとりをしながら俺達は報酬でちょっといい肉を食べるのだった。

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