4-10 パーティー結成
次話以降、4章終了まで書き終わってから更新いたしますので、それまで更新止まります。
ノレイアの目の前に差し出されたカヤの右手。
その手をジッと見つめるノレイア。
「ノレイアッ、何で私たちまで攻撃するの!?」
「やめてっ!!殺さないで!!」
「お前のせいで、パーティーは全滅だっ!俺たちの前に二度と顔を見せるなっ!」
一年前、カヤと同じように自分のことを誘ってくれたメンバーたちから浴びせられた非難の言葉。ノレイアの目に映るカヤの右手が過去のメンバーのものと重なる。
兄であるエクスからも非難され、もう誰ともパーティーなんか組まずに一人でやっていこうと考えていた。一人なら、仲間のことを考えないでいいのなら、躊躇せず異能力を発動できる。ノレイアは、それで充分だと考えていた。
だけど、先ほどの記憶が蘇る。
「すごいっ……!!こんな自由に異能力が出せるなんてっ!」
カヤの異能力のおかげで自由に異能力を発動できる自分に驚いて、みんなの前だというのに無邪気に喜んでしまっていた自分の姿。
それでも、今まで生きてきた中で初めて感じる思いだった。
(私なんかが、誰かと一緒にいちゃいけないんだと決めつけてた。味方を傷つける私は、誰からも必要とされないんだって、そう信じていたのに……。)
瞬間、ノレイアの目から涙が溢れ出していた。
「違うっ、なんで泣いているの…、嬉しいのに、でも、私なんかがパーティーに入ったら、ダメなのに……!」
自身でも思いがけない涙に困惑するノレイア。
しかし、一度溢れ出した涙は止まらない。否定されてきた自分を受け入れてくれたカヤという存在に、今まで押し隠してきた気持ちが涙となって溢れ出してしまっているのだ。
「ノレイアはさっきから何度も否定してるけど、ノレイアだって分かってるんでしょ。一人じゃないとダメ、誰かと一緒にはなれない、そう言って誤魔化してたようだけど、ノレイアは誰かと一緒にパーティーを組みたかったはずだ。…たとえほんの少しだって構わない。パーティー登録をすることなく、講堂の中で待ち続けていたのは、少しだとしても、望みを捨てきれなかったから。ノレイア、君が誰かに誘われるのを待っていたんだとしたら、俺を信じて、今、この手を取ってみないか。」
カヤの言葉にノレイアは気づかされる。
(そう……。もしかしたら、という気持ちはあった。全員がパーティー登録を終えるまでは、まだ可能性はあるからと、私は意味のない期待をしてずっと待ってたんだ。ううん、違うでしょっ…!)
そう思ってノレイアは首を振る。
「意味のない期待だと思ってた。私なんかに声をかけてくれる人なんているはずないと思ってたのに、私の期待には、ちゃんと意味はあったんだ…。」
もしノレイアが諦めて早々に講堂を出ていれば、カヤはノレイアに話しかけることは無かっただろう。
異能力が漏れ出ているな、と認識はしていたがそれまでだった可能性が高い。だから、これはノレイアが少しばかりの望みを持って期待した結果だった。
ノレイアは両手でゴシゴシと涙を拭う。
目の前に差し出された手を見つめ、それから全員と順番に目を合わせた。この場にいる者の中でノレイアを否定している者はいない。
「よろしく…、お願いするわ。」
カヤの右手にノレイアは自身の右手を重ねてそう言った。
「パーティー結成だぁっ!!」
カヤがノレイアと手を繋いだまま、手を上にあげて叫ぶ。
隣で恥ずかしそうにするノレイアと、カヤに駆け寄るクライブ。メルとベルもその場で大きくジャンプして、喜びを露わにした。
「後は、リーダーを決めるだけだね。」
パーティーメンバーが決まった五人は、トレーニングルームで話し続けている。パーティー登録をする際にパーティーのリーダーが誰なのかを一緒に登録する必要があるからだ。
ただ、その話し合いはすぐさま終わった。
「カヤでいいんじゃないか。」
「カヤがやって…。」
「やっぱり、カヤだよねっ!」
「私はてっきりカヤがリーダーだと思ってたよ。」
クライブ、メル、ベル、ノレイアの順での発言によって満場一致でカヤがリーダーの座に収まった。
「俺でいいなら、別に俺でいいけど。ノレイアの方が年上だし、ノレイアもいいの?」
「年齢なんて関係ないでしょ。みんな同じ一年生なんだから。次、私のことを年上扱いしたら殴るわよ。」
年齢の話題にムキッと怒るノレイア。
ノレイアも別に年齢のことを気にしているわけではないが、同じパーティーになる以上、年齢による配慮はして欲しくない。
「分かった。それじゃあ、登録しに向かおうか。」
この日、入学した一年生たちによって登録されたパーティーの中で、カヤたちのパーティーが最後の登録であった。




