4-5 パーティー作り
アンジュとミレアがシーベルのパーティーに加わり、アレスが一人でパーティー登録へと向かった。講堂内で一人残るカヤ。五十人ほどいた学生たちも半数ほどに減ってきている。次々と、パーティーを結成し、登録しに向かっているのだ。
既に異能力測定機で測る人もいなくなっており、各所でパーティー結成の為の相談が行われていた。
「さてと…、どうせなら五人でパーティー組みたいよな。」
そう呟いたカヤは講堂内をグルっと見渡す。まだパーティーを結成していない様子の人物を探し出し、相談するためだ。
そしてその時、見知った顔が自分のことを見ていることに気づいた。
「クライブ!」
なぜ今まで気づかなかったのか。
つい最近、一緒に≪カナル樹海≫を探索した仲間の一人だ。
「良かった…。僕のこと見えてないのかと思ったよ。」
クライブはカヤと目が合ったことで、ホッとした表情でカヤに近寄る。クライブもまだ誰ともパーティーを組めていないようだった。
講堂に入ってきたカヤのことにはすぐ気づいたが、アンジュとアレスとミレアの三人を知らないクライブはカヤに近づくのを躊躇ってしまったのだ。その後、シーベルと一悶着しているところも見ていたが、やはり声をかけることができなかった。そして、一人になったカヤに声をかけようとしたところで、カヤもクライブに気が付いたのだ。
以前に一度、パーティーとして一緒に行動したこともあるカヤとクライブ。そのままお互いをパーティーメンバーとして決めるのに時間はかからなかった。
「クライブは他にパーティーメンバーに当てはあるのか?」
「ううん、カヤ以外に知り合いは誰もいないよ。初めて会う人に話しかける勇気も無いから、もしカヤが僕とパーティーを組んでくれなかったらきっと誰ともパーティーを組めなかったんじゃないかな。」
ははは、と自嘲気味に笑うクライブ。
クライブにしてみれば、一人じゃないというだけで満足できる結果なのだ。カヤというパーティーメンバーが見つかったことで、クライブの中の緊張は緩和されていた。
「できれば五人でパーティーを組みたいんだけど、クライブは問題はない?」
「うん。もちろん、いいよ。」
人と接するのが苦手だと自負しているクライブ。このままカヤと二人パーティーでも別に構わなかったが、返事した通りに五人でも問題はなかった。クライブもいつかは冒険者になって各地を転々とするつもりであり、その為に人見知りを解消する目的もあって≪学校≫に入学しているからだ。
とはいってもクライブには誰かに話しかける度胸はまだ無かった。パーティー作りに関してはカヤにおまかせの状態になる。
だが、カヤもカヤでクライブと同じように当てがない。知っている人物など居るはずもなく、誰に声をかけようかと再び講堂を見渡す。そして、カヤが誰かに話しかける前に逆にカヤとクライブに声がかかった。
「あの、まだパーティーが決まっていなかったら私たちをパーティーに入れてくれませんか?」
カヤとクライブの背後から声がかかり、二人同時に後ろを振り向く。
青と緑、パッと見では違いは髪色しかないのではと思わせるほどに似た二人の女の子。服装も統一されており、肩から胸下まで覆う白い服と、短くて白いスカートだ。お腹や太ももを大胆に露出した衣装で、一人は恥ずかしそうに、一人は楽しそうにしながらカヤたちに話しかけてきた。
「双子!?」
似すぎている顔つきに驚いたクライブが二人に向かって聞く。
「そそ。私が妹のベルシーケ。で、こっちで顔を赤くしているのがメルルール、ベルのお姉ちゃんです!パーティーを組んでくれるなら、気安くメルとベルって呼んでください!!」
青髪の子が姉のメルルール、緑髪の子が妹のベルシーケ。
あわあわと視線をさまよわせているメルと、グイッと顔を近づけて話しかけてくるベル。顔は似ているが受ける印象は全然違った。
バタン
だがここで、顔を赤らめてその場で気絶する人物がいた。カヤの横で、クライブが倒れたのだ。
「「えっ!?」」
突然倒れたクライブに驚くメルとベル。
一方で、カヤは≪カナル樹海≫での似た経験を思い出し、そして二人の衣装を見つめて理解した。
(クライブにとっては、二人の衣装が刺激的すぎたのか。いや…、だとしても、いきなり気絶するのはやめてくれ…。)
「ごめん二人とも。パーティーの話はクライブが目を覚ましてからでいいかな?不安がないように先に言っておくと、俺たちもまだ二人しか決まっていなかったから一緒にパーティー組んでくれるなら大いに歓迎するよ。」
カヤからしてみれば、断る理由がない。
だが、メルとベルからしたらいきなり気絶したクライブを見てパーティーを組むのが嫌になっている可能性もある。カヤは二人にパーティーを組むかどうかの選択を託したのだ。
「「…ありがとうございますっ!!一緒にパーティーを組みましょう!」」
クライブが気絶から目を覚ますまで待つ間もなく、メルとベルは喜んでカヤたちのパーティーに加わった。




