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「そうなの? 白魔法なんてめちゃくちゃ良い魔法だと思ってた!」
何せファンタジーの王道だ。何なら私も使いたい。
「いやいや、僕たちは森羅万象を司るんだ。自然の理から外れた力は闇の力以外の何でもないんだよ。むしろ破壊の力の方が自然だ」
「えー……夢無いなぁ」
「よく考えてもみろよ。自然が何かを治癒する時は本来長い時間かけて治すんだよ。それは人間でもそうだろ? 怪我でも病気でも時間をかけて治癒をする。むやみに殺さない。無理に生かさない。それが自然の摂理なんだよ」
「なるほどねぇ。そういう観点から言うと確かに白魔法は自然ではないのかもね」
「おう。でも今の話聞いて合点がいった。僕のパートナーはやっぱりヒマリで合ってたんだな」
「なんでそうなるの?」
「白魔法を使う奴には僕たちは絶対に近づかないから。何か嫌な感じがしたのはこういう理由だったんだな。納得した。僕はやっぱり社畜を選んで正解だった!」
だからさっさとパーティーを中座して帰ってきたのか。私は半眼になってクリスを見ると、何故かクリスは誇らしげだ。
「相変わらず一言多いのよねぇ。で、聖女は白魔法は使えるけど、未来予知は出来ない……はずって事? ていうか今更だけど、そんな事私にペラペラ喋っていい訳?」
「まぁ別にいいんじゃね? だって市井の事件だって聖女選定だって別に隠しちゃいねぇし、聖女のノートだって確定じゃないんだし」
「あ、そう。まぁ噂話の域出ないもんね」
「そうそう。未来予知については少なくとも俺はそんな話は聞いてないし、見てもない。聖女がこっちにやってきて一番最初にした事は王都の一番デカい病院に居た末期患者の救済だったんだ。それがあったから聖女すげーってなってたんだけど、俺は……あんま良くは思わなかったな」
ノーマンはそう言ってゴロリと転がった。
「なんで? すごい喜ばれそうなのに」
「喜ばれてたよ。でもさ、じゃあ他の病院の奴らは? 全部周るのかと思ったら、それはしねぇんだもん。何だ、偽善かって思っちゃったんだよな~」
「ノーマンは割と初めから聖女に好印象じゃ無かったんだよ」
そう言ってトワは苦笑いをして言う。なるほど。チャラく見えても実はこの人が一番警戒心が強いのかもしれない。
「部屋の掃除と一緒よね。見える範囲だけやっとけばいいや、みたいなさ。気持ちは分かるけどね」
「部屋はそれでいいだろうが、生死がかかってたらそうはいかんだろ」
「それはそうね。どうせならあちこちの病院でやればいいのに。その方が株が上がるでしょうに」
どうして1つの病院だけでそれをしてしまったのか。立ち回りが下手すぎやしないか? 私が首をひねると、レイモンドが真顔で頷いた。
「株うんぬんは置いておいて、まぁ別の場所から反発は起こるわな。でも相手は聖女だ。一般人にはどうにも出来ないってのが本音だよ」
「あー、出た。ほら、同調圧力!」
「ほんと、それなんですよ。助けてもらった人達からすれば聖女は神様です。でもそうでない人たちからしたら、どうしてあそこだけ? となるわけです。でも言えない。だから聖女が来てから起こった小さな事件の6割は聖女絡みで、犯人は聖女に救いの手を差し伸べてもらえなかった人たちなんですよね……」
聖女に夢を見ていたというヒューが大きなため息を落としながら言う。




