表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
21/106

21

「なんだなんだ? トワは聖女も信仰しないタイプか?」

「ええ。俺が信じるのは剣のみですから」


 流石騎士団長である。どうやらトワは神も妖精も聖女も信じないらしい。私とどっこいどっこいだ。


「はいはい、その話は一旦終わり! 出来たから皆席に自分で持ってって」


 私の言葉に全員が機嫌よく返事をしてお皿を持って移動していく。何だか本気で一気に三人の子持ちになった気分だ。


 ビールが進む照り焼きチキンを食べながら私はよく分からない聖女について聞いてみる事にした。


「ところでさ、その聖女って何なの? どういう存在な訳?」

「聖女? そうねぇ、高位妖精と勇者様の次に重要人物ね。この国、というか世界では、何十年かに一度だけ異世界から誰かを召喚する事が出来るのよ」

「へぇ。ていうか何十年かに一度って随分曖昧ね」

「星回りのせいよ。惑星が直列になる日がね、あるのよ。それは予測不可能で、直近にならないと分からない。その日は星や精霊の力が強まる時で、勇者、もしくは聖女を召喚出来るって言われてるの」

「言われてる? 今まで召喚した事ないの?」

「無い事は無いけど、前にこの国に召喚したのはそれこそ50年も前よ。私はもちろん生まれてないし、パパもまだ赤ちゃんだったと思うわ」

「ふぅん。でもあれだね。勇者か聖女って結構な賭けだね」


 せめて選ばせてくれたらいいのに、と思いつつ私が言うと、ルチルもトワも頷いた。


「勇者は召喚出来れば当たりだって言われてるわね。まぁ、一番の大当たりは高位妖精が国に留まってくれる事なんだけど」


 そう言ってルチルはちらりとクリスを見た。クリスはさっきから羽を虹色に輝かせながら照り焼きチキンを口いっぱいに頬張っている。


「そんな珍しいの? これが?」

「おいヒマヒ! コエっへ言うな!」

「食べながら話さないの! 行儀悪いでしょ!」


 思わず私が言うと、クリスはバツが悪そうにチキンをワインで流しこんでまたチキンを貪っている。


「ふふ、ヒマリは信じないかもしれないけど、この国に高位妖精が住み着くなんて実に250年振りなんだから!」

「え、めっちゃレアじゃん! あー……なんでティンカーベルみたいなの来なかったんだろう。こんな所で運使いたくなかったなぁ」

「ヒマヒ!」

「食べながら喋らない!」

「……んぐ」


 間髪入れずに叱った私を見てトワがとうとう声を出して笑い出した。


「はは! ヒマリにかかると高位妖精も騎士団長も姫でさえも形無しですね! ここではヒマリがルールですもんね」

「ふぃ~。全くだ。僕にこんな事言うやつ初めてだよ」

「でもその割に楽しそうじゃないですか」


 トワがおかしそうに言うと、クリスは照れくさそうにそっぽを向いて耳を赤く染めた。


「でもクリスは聖女さまのとこ行くんだもんね?」


 何気なく私が言うと、ルチルもトワもギョッとした顔をしてクリスを見る。二人の視線を一身に受けたクリスはさっきとは別の意味でそっぽを向いてしまった。


「ど、どういう事なの? ヒマリ!」

「なんかね、間違えたんだってさ。私と聖女を」

「ま、間違えたぁ!? クリス様! 一体どういう事なんです!?」


 フォークを持って詰め寄るルチルを見て流石のクリスもヤバいと感じたのか、慌ててトワの後ろに隠れると顔だけ出して早口で言った。


「予言書が悪いんだ! 曖昧でいつも僕たちは大変なんだからな! ヒマリ、タッチ」

「タッチって。えっとね、何か妖精の所には予言書っていうのがあって、それで高位妖精は居場所決めるんだって。それで今回は聖女と私を間違えたんじゃないかって」


 チキンを切り分けながら言うと、トワが呆れたような顔をして背中に隠れているクリスに言う。


「そんなもの間違えます? あなた達のパートナーはその人間が死ぬまで変える事は出来ないと聞いてますよ?」

「え、そうなの? ちょっとクリス! そうなの!?」

「わっかんねぇよ! 何せこんな事になるの初めてなんだから! 何か最初から嫌な予感はしてたんだよな。予言書引く時からさ」


 そう言ってクリスは私の隣に戻ってきてまたチキンを食べ始める。妖精は本当に自由だ。


「ねぇ、予言書引くって何?」

「ん? 行き先決める予言書は別に一つじゃないんだよ。予言書選定の儀式って言うのがあってな? 部屋の真ん中に台が置いてあんの。で、そこに手乗せると壁の棚に山ほどある予言書から一冊落ちてくんの。めっちゃ光ったから珍しく当たり引いた! と思ったらこれだもんなぁ。やっぱ僕に虹色はまだ早かったんだよ」

「へぇ、そんなくじ引きみたいな感じなんだ。誰の所に行くかは完全に運って事?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ