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影葬の剣  作者: いうな
第五章 一級試験編
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第七十話 アーキテクト

「......時間は稼げたな。

 絶命するのは君の方だぜアリスちゃん。」


「.....えっ?」


タップが私の後ろを覗く。

まずいっ....


その瞬間、鈍い音が脳に響いた。

何かが柔らかいものに刺さるような.....

だが痛みは感じない。


「.....?」


恐る恐る後ろを向くと、

そこには悠真さんが立っていた。


「なっ.....」


「......無事だったかアリス....」


「でも....悠真さん.......」


「ああ.....俺は大丈夫だ。」


悠真さんの腹に、

鎌のようなものが刺さっていた。


鎌を悠真さんに刺していたのは、

先程湖に倒れていたはずの少女だった。

幻術だったとはいえ、

さっきネレイドが三人目のチームメイトは

マナさんに倒されたって.....


.......ブラフだったというの!?



「くっ.....」


悠真さんが平手で少女の首の後ろを叩き、気絶させた。


「ふぅ.............タップは!?」


「えっ....」


前を見直す。

そこに既にタップはいなかった。

いつの間にか、持っていたはずの杖も盗まれていた。


「どこに......」


タップを探そうと周りを見渡すと、

森の霧がどんどん晴れていくことに気付いた。


全ての霧が晴れた途端、私達の心は

絶望感で満たされた。


「...............えっ........?」


目の前には巨大な樹が生えていた。

それはまだいい。

そこには巨大なツリーハウスも建てられていた。

それもまだいい。

問題は、そのツリーハウスのバルコニーに大量の

影法師と秘技師がいたことだ。

全員が私達に焦点を合わせている。


ツリーハウスだけではなく、

森林にも大量に居る。


完全に囲まれていた。


そんなことより.....


「悠真さん.....悠真さん!?」


「大丈....夫だ......。

 ちーと深いけどな....。」


「すみません私のせいで.....」


「.....そんなことよか、

 まずはこの状況を何とかしないとな。」


悠真さんがお腹を抑えながらツリーハウスの方を向く。


「.....お前等は何なんだ?

 大体上のと下の合わせて32人くらいか。」


悠真さんが質問すると、

ツリーハウスから黒いローブを着た

女性が出てくる。


「まんまとハマってくれたんだね」


女性が不敵に笑う。

.......見たことがある人間だった。


いや、一度どころではない。

なぜタップが村のことを知っていたのか

すぐに理解できた。


影法師と結託して村を壊した極悪人.....

記憶がフラッシュバックしてくる。


「なんであなたがここにいるんですか......!?」


狂気的な笑みを浮かべながら村を燃やし尽くした

0級の影法師......!!


「エステル=アーキテクト.....!!!!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「玲......」


「なんだよ」


「あの魔法使いみたいな子、

 どっかで見た気がするんだけど」


「気のせいだろ。」


淡々と返しながら、黙々と試験者を採点していく。

仮に端末を破壊されて脱落しようと、

それまでの得点が良ければ一次試験通過もできるため、

試験者の希望を失わせないためにも、

集中して取り組む必要がある。


「.......お前どっちのこと言ってんの?」


モニターに写っている魔法使いは

ツリーハウスの上にいるのと下で悠真をかばっている奴だ。


「え?どっちって...()()()()()()()じゃん。

 なんか......()()()と一緒にいなかった?

 この魔法使い。」


「アイツってどいつだよ....てか下にしかって」


「はぁ~。玲さぁ........

この展開的に名前出したら伏線とか台無しになるでしょーが!!」


「一回黙れよお前!!!!!」


厳かなはずの採点室が

とても騒がしくなった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「エステル.....なんであなたが一級試験に....!!」


誰だよマジで......。


クソ.....腹から血が出過ぎて

頭回んねえ......。

アリスもこんくらい辛かったのか....。


.....この状況をどう切り抜けるか.....。

殺されんのかな....?


......別に戦えないわけではない。

もっとひどいケガして戦った時もあったしな。


そんなことよりアリスだ。

杖を持ってかれた。

戦力としての期待はできないだろう。

なんとかして逃がさねえと......。


「あれ?君に会ったことあったっけ?

 アリスちゃん。」


「ふざけないでください......。

 なんで村を襲ったんですか!?」


「ひどい言い様だなぁ.....。

 別に襲ったわけじゃないじゃん。」


「........はぁ....?」


「私はね、実験をしただけなの。

 新しくもらった"箱"の。丸ごともらえちゃったんだもん。」


「..........ッ!!」


村を壊したっていう主犯か。

アリスが激昂しているのも無理はないだろう。


「そこの女の子連れていって。

 あっちの男は....もうじき死ぬんじゃない?」


残念。死にしない。

影で傷は固められるからな。


でも動けないんだな、これが。

影力はさっきの戦いで結構消費しちゃったし......。


血を影に変えて暴走させる奴をやるか...?

いや......最後に使ったのは研究所だ。

長らく使ってなかった分、リスクが高すぎる。


.....いや、時間稼ぎが出来ればそれでいい。


「ちょっと....離してください!」


アリスが森の中にいた試験者達に腕を掴まれ、

運ばれる。抵抗しているようだが、試験者は微動だにしていない。


「......【喰術影】」


アリスに向かって弾性の影を放ち、

体に巻き付けて俺の方向へ引き戻す。


「悠真さん.....?」


「【究極影法・微】.....」


「何を.....」


「【影鎖鳴】.....!!!」


体を起こし、地面に足を叩きつける。

地響きがし始める。


次の瞬間、大量の影が地面から放出された。

影で試験者の身体を捕縛していく。

だが、そのときだった。


「.......っ!?」


なぜか急に体が動かなくなった。

まるで金縛りのような....。


「あぶないなぁーも~......」


黒いローブを着た女.....エステルとやらが

ツリーハウスの階段を降りて目の前に出てくる。


「残念だけど、私の結界内では

 君達の動きは制御されてしまうんだ。

 物体の向き、エネルギー、動作とかね。」


向き........。


「なるほどな、アリスに向かって

 光線を反射したのもお前か。

 ついでに物体の加速もできんのか。」


「.......あくまで結界内だけだけどね。」


「.....まぁ、時間稼ぎはできたぜ。」


「.....何の.....」


俺が笑った瞬間、頭上からとんでもない影力を持った何かが

降ってきて、俺の前に立ちふさがった。


「遅かったじゃねえの、マナ....!!」


つづく

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