第六十八話 屈折
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「マナ!?」
どういうことだ....?
急に目の前に穴が.....。
アイツは紋章を壊した。
それ以外にトラップがあったのか。
せっかく合流できたのに.....。
「あれ~?お仲間さん落ちちゃったみたいだねえ~。」
「!!」
穴を跨いだ先に2人の男が現れる。
どこから出てきた....?
「見事に二重トラップに引っかかってくれちゃって....。
ウチのタップ、優秀だろう?」
そう言い、ローブを着た男が
杖を持った男....タップを指差す。
タップもローブを着ているが、
フードを被っているため顔がわからない。
「知らねえよ、誰だお前等」
恐らく今までは幻術で隠れていたんだろう。
タップの能力、もしくは遺物だな。
トラップが仕掛けられていたことからも、
秘技師の線が濃厚か。
「まずは自分から名前を名乗るべきじゃないのか?
まあいいさ。
俺の名はネレイド。
君達の連れ、結構暴れてくれちゃってたからな。
おかげでうちのチームは一人脱落したんだよ。
その分君達を殺して、タスクで稼ごうと思ってよ。」
「ああそう。」
刀に手をかけ、一瞬抜いてすぐ鞘に戻す。
多分これが斬撃の発動条件なのだろう。
ネレイドの身体が斬れると思っていたが、
血が飛ぶことはなかった。
「?なんで刀しまったんだ?」
「.....。」
アリスに小声で話しかける。
「アリス、多分タップは幻術と罠を駆使して戦ってくる。
タップは攻略方法さえわかれば簡単に倒せると思う。
逆に手の内がわからないネレイドは俺に任せてくれ。」
「.....。私のこと舐めてます?」
「別に舐めてないよ。
アリスの実力がわからないからリスクヘッジだ。」
「リスクって....はぁ....」
突き飛ばされて尻餅をついていたアリスが起き上がる。
「わかりました。あなたも気を付けてくださいね。」
「ああ。」
だが、アリスの行動は思いも寄らぬものであった。
アリスが俺の前に出て
一瞬のうちに杖をネレイド達に向け、詠唱を終える。
「【”吹き出せ”】」
「え?」
次の瞬間、ネレイドとタップが
湖の水ごと空へ吹っ飛ばされた。
空中に魚やらカエルやらが吹っ飛ぶ
シュールな光景が目の前に広がる。
「じゃああとはお願いします」
アリスが箒を持ち、
二人を追うように飛んで行った。
「......とんでもねー奴だった....」
いや、感心してる場合ではない。
足に影を纏い、空中に飛び出す。
タップはアリスが連れて行ったのか、
空中にいたのはネレイドだけだった。
「【喰術影】!!」
手から弾性の影を放出し、
ネレイドに向かって放つ。
ネレイドが態勢を立て直す。
「【蒼牙】!!」
ネレイドと一緒に吹き飛ばされた
湖の水が鋭い氷柱のような形へ変わり、
俺へ飛んでくる。
まずい。
俺は空中戦がすこぶる苦手だ。
何も考えずに飛び出してきたが、
もちろん浮遊能力などない。
「くっ.....」
高速で飛んできた氷柱に
影を巻き付け、いなす。
「へぇ....影を操るのか。」
全ての氷柱をいなし、
ネレイドに向かって影を伸ばす。
「だが!応用性にかけすぎてるんじゃないか?」
湖の水が壁となり、影が防がれた。
ていうか......いつまで水が浮いてんだよ!?
しかもちゃっかりコイツごと浮いてる。
多分水を操る能力だな。
「応用というのはこうやるんだ」
ネレイドの頭上に水の塊が浮かぶ。
なんだ.....?
よくわからないでいると、
手から出していた影が消えていたことに気付く。
「あ.....!?」
足の影も消えている。
というより....
体が熱い.....
さらにもとい、服が焦げていた。
水の膜......。
「光を屈折させて影を消したな。」
俺は影を自身の影力を使って作ることは控えている。
最初こそそうしていたが、効率が悪いことに気付いた。
なので、自然界に当然のように現れる影を
使って【喰術影】や【究糾舎】などを発動していた。
だが、所詮天然の影。
天然の光(まあ太陽光が当たるくらいでは普通消えないが)
を浴びれば簡単に消えてしまう。
影力を使い、
湖の上に影の足場を作り出す。
俺の影力じゃこのままだと
数分立てば足場は崩れるだろう。
.....厄介だな。
水の膜が揺れるたび、
消される影の位置は変わる。
「影力を使えば影は作り出せるんだろう?
もうちょっと頑張れよ!」
水膜はさらに大きくなり、
4Mほどになった。
水膜がネレイドの背後に移動し、
さらに巨大化していく。
ネレイド10人分くらいか?
「俺は水を纏って常に冷やせるのでね。
熱いのはお前だけだぜ。
さあどうするよ影使い!?
お前じゃすぐガス欠になってその足場すら失うんじゃないかァ!?」
「.....どうだろうな。
お前、バカだろ。」
次の瞬間、ネレイドの上半身から俺の影が噴出した。
影をネレイドの体に巻き付け、
影に重さを足す。
大体1500kgくらい、車一台分くらいだろう。
ネレイドが湖に落下する。
ネレイドを追い、俺も湖の中に飛び込む。
水の中なら影だらけだ。
湖の底から影を生やし、
ネレイドを拘束する。
「がぽっ.....」
水を操作して酸素を取り込める可能性を考慮し、
ネレイドの口の中にも影を突っ込み、
俺もネレイドの背後に回って
首を二の腕で締め上げる。
「がはっ.....」
さっさと落ちろ......!!!
1分くらい経ったか。
ネレイドの四肢がぷらん、と力の抜けた状態となった。
つづく




