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影葬の剣  作者: いうな
第四章 日常編
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第五十九話 時


モールを歩いていると、

ノアが何かを見ていることに気付いた。


「....アクセサリー?」


「....うん。」


モールの中のアクセサリーショップの店頭で

ノアがネックレスやピアスを眺める。


「なんか欲しいのとかないのか?」


「......いや、見るのが好きなだけだからさ」


ノアが店内の小さなネックレスを見て、ほんの少しだけ目を留める。

だが、すぐに目を外した。


「なに見てたんだ?」


「何も」


.......。


ノアは昔から.....

いや、中学生の時らへんからか。


自身の願いを口にしない。


それはそれでこっちが

申し訳なくなる。


......俺のせいなんだろうな。


中学の時のことがトラウマに

なっているのだろう。


自暴自棄になっていた俺の姿を思い出し、

吐き気がしてくる。


ノアがモールの中をゆっくり歩いて行く。


............。



「ノア!ちょっとおトイレ行ってきても.....?」


「えっ....別にいいけど.....」


俺はダッシュで来た道を戻った。


.........あー......足りるかなぁ....。








ーーーーーーーーーーーーーーーー




廃ビルの階段を登っていく。



......この階だな。




「よぉトワ」


「.....マナか?」


コンクリートの床ににトワが寝転がっている。


目にタオルをかけているため、

私が見えていないのだろう。


トワがタオルを外して起き上がる。


よく見ると、元々あった目の下のクマが

大きくなっている。


トワがゆっくりと口を開いた。


「......マナ、お前に質問がある。」


質問?


「.....師匠分が弟子分に質問するのか」


「.......別にいいだろう。


.........マナ、俺は...俺達は何のために戦っているんだろうな?」


「......今さら何だよ。

そうだな....。

.....昔は親友を探すためだけに戦っていた。


だが今の私には魔法少女達がいる。

私が戦うのは.......

.......仲間を失いたくないからだ。」


「.....立派だな。」


トワが笑う。


「何がだよ。結局失いかけたしな。

私はまだまだ未熟だ。」


私は自分の拳を握りしめた。


「.....お前は?」


トワに問う。

トワは上を....というか、

虚空を見つめながら答えた。


「今からごじゅ.......五年前の話だ。


俺には恋人がいたんだ。


昔の俺はソイツのために戦っていた。」


「....あまり聞きたくないが....

その恋人とやらはどうしたんだ?」


「死んだんだ。

どうやら俺の恋人は身体が特別だったらしい。

それで悪い奴らから狙われてな。」


「.....そうか。聞いて悪かった。」


「.....だけどさぁ....。

俺は俺で特別な身体だったらしいんだよ。


ある日俺はシンプルに交通事故に遭った。


目が覚めたらさぁ....。


戻ったんだよ。恋人が死んだ日に。」


「.....はぁ...?」


どういうことだ?


驚いてトワの方を見直す。


「いわゆる死に戻りってやつだろうな。

その後は何回も試したさ。


何回も、 何十回も、


何百回も、



何千回も。


だが何度も恋人が死んだ理由を取り除こうと、

アイツは死んだ。


そんで....14113回目らへんからか。

何が起こったと思う?」


そんな何回も.....?


死に戻りってことは毎回死んでるということだ。


自殺....。そう考えるのが自然だ。


コイツはどんだけ......。


「.......さあ。何があったんだ」


「戻る時間が変わったんだよ。

アイツが死ぬよりも前の日に。

正直大チャンスだと思ったね。


で.....。


アイツに会いに行ったんだ。

今回は結構事前に回避できると思ってたからな。


そしたら.......。


アイツはいなくなってた。

住んでた家も誰もいなくなってた。


玲や他の奴らにも聞きまくった。


でも誰もアイツのことを覚えてすらなかった。」


「.......はぁ.....?」


「俺が諦めずにアイツを救い続けたせいだろうな。

アイツは存在ごと消された。」


「.....誰にだよ。

誰がそんなことできんだよ!!」


話を聞いて私が混乱しているのを

見てトワが口を開いた。


「神様だよ。」


「......は.....?」


神?

なんで?


そもそもそんな次元の

話なのか?


「わかってるよ。

この世界に神はいない。


つまり、神と同等の能力を持った奴がいるんだ。」


「なんでそんな奴がお前の恋人を狙うんだよ。」


「さっきも言ったろ。

俺の恋人は特別な力を持ってる。

それが欲しいんだろ。」


「じゃあなんで殺すんだよ」


「異能と魂は結びついている。」


「あ?」


魂.....?


魂とか神とか

なんかスケールが変わってきたぞ。


「魂ってのは生きるもの全員にあるものだ。

いわばアカウントだな。

異能、体質、記憶は全て魂と結びついている。


俺の恋人は魂と肉体どちらも奪われた。


その魂がどこにあるかを

探すのが昔の俺の目標だった。」


「..........今は?」


訊くと、トワは下を向いた。


「影界に行ったことがあるらしいな、お前。」


「ああ.....」


神崎さんの言葉を思い出す。



___まあ並行世界的な感じだよ。

影の世界は何十万個もあってね。少し起こる現象がずれるだけで別のサーバーが作られちゃうんだ。_________


「魂は何の波動も出さない。

もちろん、生体反応もない。

魂を探すのは無理だったってオチだ。

.....笑うか?」


「笑わない。

なんでお前は諦めてんだよ。」


「何年やったと思う?

俺だって最初は諦めてなかったさ。

死に戻りのおかげで何回も挑戦できたからな。


それでもアイツの居場所はわからなかった。


....俺が死に戻りしてる間も影の世界では

時間が進んでるということを知ってからは、

死に戻りをやめた。


既に俺はアイツのことを

何千年も待たせてる。


魂に意識があるのだとしたら、



......俺はこれ以上時間をかけられない。」


「だから諦めたってわけか?」


「.........そうかもな。


俺は考えることをやめてしまった。


なんで0級まで登り詰めちゃったんだろうな。


強くなれば、色々学べばアイツを助け出せると

どっかで思い込んでたんだろうな。」


「.....なんでだよ」


「......は?だから....」


「そうじゃない!!」


コンクリートの冷たい床から立ち上がり、

トワの方を見る。


「お前は誰かを頼ろうとは思わなかったのか?」


「頼って何になる。」


「お前一人で抱え込まなくても済んだんじゃないのか?」


「玲には頼ったさ。


......でも、神に近い存在とやらには、

俺や玲ぐらいしか届かない。


玲にはノアも孤児達も(家族が)いる。


必然的に俺がやらないといけないんだ。」


「.......。」


何も言えない。

そりゃそうだ。


「マナ。

お前に、教える立場として言うべきことがある。」


トワが私の目を見る。

その目は嫌なほど綺麗だった。


「俺は反面教師だ。

今後お前に何か影が降りかかるなら、

一人で振り払おうとするな。


光は影を生み出すが、消し去ることもできる。


お前の周りには数多の光がある。


お前が光らずとも、

それらが勝手に照らしてくれる。


だからお前も照らすんだ。


影に飲み込まれそうな者を。」


私が......?


......私にとって魔法少女は光.....か。


確かにそうだな。


「まあ説教じみたこと言っちまったが.....。」


トワが立ち上がる。


「一級試験まであと10日だろ。」


「ああ....試験があるのは12月11日だ。」


トワが壊れた大窓から

街を見下ろす。


「.....俺なりにお前の義手のことを調べてきた。


お前の遺物(義手)の名は”影装義腕(えいそうぎわん)”。

単体では本来の効果を発揮することはない。

その遺物は専用のパーツを付けることで

本来の効果が得られる。」


「?本来の効果?」


「義手の手首に小さい凹みがあるだろ。

そこに指を入れて引っ張れ。」


言われた通り、

手を裏返して手首の穴を

下に引っ張った。


「なんだこれ....?」


義手の装甲が外れ、内部が出てくる。

そこには丸い穴が5つ空いていた。


「そこには力を貯めた球を入れることができる。

まあ俺くらいしかできない芸当なんだが....。」


トワがポケットを漁り、

黄色く光る球を取り出した。


この球......。

魔法少女のステッキの真ん中に付いていたような....?


「そこに入れろ。」


トワから球を手渡される。


「あ、ああ.....」



カチャ。


球を入れ、義手を閉じる。


「その球の力は俺の能力を落とした感じだ。


触れたものの時間を30秒だけ止められる。

試験にもまぁ....役立つだろ。」


「....ありがとな。」


「感謝の気持ちを伝えたいなら一級試験に合格してこい。」


「....!わかった。」


「じゃあな」


廃ビルの階段を降りていく。


試験まで残り10日。

まあそれも大事だが....。


ノアと悠真.....。

どうなったかな....。


つづく

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