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第22話 前門のビアンカさん、後門の……

 宿舎に戻ってきたらもう夕食は始まっていた。

 後ちょっとと思い、テーブルをビアンカさんと持ち上げると2階の部屋まで持っていった。

 収納スペースは私のクローゼットと壁との隙間。脚を折りたためば何とか入った。

 食堂に戻ると、夕食だ。食前にテーブルを運んでくるといった運動をしていたので大変おいしい。

 ちなみに、今日の夕食は豚でした。いい加減肉から離れないとと思いつつも残すのももったいないという複雑な心境だ。

 夕食が終わったら、部屋に戻って早速テーブルを使用してみる。

 テーブルは持ち上げると少し脚が曲がる。それを腕で押さえながらゆっくりと下ろしていく。

 そして、4本の脚で自立するテーブルがお目見えした。

 ただ、あまりにも大きいためこれを使っている時はクローゼットの開け閉めができなくなった。

 設置する際に奥にいた私はテーブルとクローゼット、机の間のわずかな隙間を抜けるか、テーブルの上を通るかして脱出しなければならなくなった。

 そこで私は、試験も兼ねてテーブルの上を歩くことにする。

 高さは膝よりちょっと下。階段1段を1段飛ばしで歩くくらいの高さだろう。

 右膝を高く上げ、天板に脚をつける。今のところ大丈夫。

 徐々に体重を預け始める。まだ大丈夫。前傾姿勢になり右足に荷重をかけていく。まだ大丈夫。

 最後は右足に力を加え左足を引っ張り上げる。まだ大丈夫。テーブルの上に両足で立つ。

 思わずガッツポーズをしてしまった。私一人くらいなら支えられることがわかった。

 あとはテーブルの上を歩きながら問題がないかチェックしていく。問題なし。

 私が乗る分には大丈夫そうなので、次の段階に進む。

 テーブルの上に寝ると端に移動して首を後ろ倒す。

「ビアンカさん、バケツか桶取ってください。」

 というと桶をひとつ渡してくれたので頭の下においてみる。

 桶の中に髪が落ちる。もしもお湯が半分くらい入っていたらパシャパシャやって洗えることだろう。

 しかし、この方法には問題があった。

 昨日はブリッジによる背中の痛みで感じなかったが、頭に血が上ってきて気持ちが悪くなる。

 これを長時間できるだろうか……。

「すいませんビアンカさん、桶もう1つお願いします。」

 というと、もう1つ桶を渡してもらう。

 最初に置いた桶を逆さまにしてその上にもう1つの桶を載せる。

 今度はちょっと高いのか、首を水平にしようとすると桶のふちが当たる。

 ふちの一部を半円状にくりぬけばいけるかもしれない。明日桶を持ってお願いしに行ってみよう。

「ビアンカさん、この桶の半分くらいの高さの台とか持ってません?」

「そんな用途不明なものは持っていません。」

 とばっさり。こういうときは、人海戦術だ。

 そう思うとテーブルから起き上がり隣の部屋のドアをノックする。

「マリルーさん、アデラさん、起きてませんか?」

 と声をかけるとアデラさんが出てきた。

「ミヤビか、どうしたこんな時間に。」

「髪を洗おうと思ったのですが、ちょっと人手が必要になりまして。2人に協力してもらえないかなと。」

「それって朝言ってた髪の洗い方について!?」

 マリルーさんが話しに加わってくる。

「そうです。よければ2人の髪も洗いますよ。」

 その条件でマリルーさんはオッケーらしい。アデラさんは仕方がないからついてくとのことだった。

 4人でお湯をもらいに行く。ついでに食堂でレモンを2つに切ってもらった。

 そして私の部屋に集合する。テーブルが置いてあるため4人もいるといっぱいだ。

 まずは楽しみにしてもらっていたマリルーさんにテーブルに寝てもらう。

「じゃあ、テーブルのふちに肩が付くような感じで寝てもらって、頭は少し後ろに倒すように……。」

 そういってマリルーさんの首筋を見つめる。水平から少し倒したところでとめてもらう。

「ビアンカさん、バケツを首筋に。」

 そう言うとビアンカさんはマリルーさんの頭の下であぐらをかき、脚の上にバケツを置く。

 マリルーさんの細く長い髪を全部バケツに入れてまずお湯につける。頭皮や前髪もお湯をかけて汚れを落としていく。

 次に石鹸を使って汚れを落としていく。指の腹を使って頭をもむように洗っていく。

「マリルーさん、頭の皮がずれるのがわかりますか?」

「うん。ぴったりくっついてるのかと思ってたけど意外と動くんだね。」

「髪も大事ですが、頭皮のケアもしなくてはいけません。こするというよりは揉むほうがいいですよ。」

 そういって、前頭部から頭頂部、後頭部と揉んでいく。

 頭皮のマッサージが終わったら、今度は髪を洗っていく。

 石鹸を泡立て、根元から先端のほうへこすらず、滑らせるようにして洗っていく。

 結構時間がかかったが、数度繰り返すと最後は強めに手のひらで髪を挟むと髪の先端に向かってお湯をきる。

 髪の先からバケツに水がぽたぽた落ちていく。それが終わったら今度は石鹸を洗い落とさないといけない。

 ビアンカさんが退くとアデラさんがバケツを持って座り、その中にマリルーさんの髪を入れる。

 まず、絞ったときに固まった髪をお湯に躍らせ石鹸を落としていく。

 手でバケツの中に水流を作ると、髪がいろいろな動きをして楽しい。

 次は髪の根元や頭皮を流す。ここに石鹸の成分が残っていると肌荒れの原因にもなるから注意が必要だ。

 お湯を頭皮にかけながらよくマッサージをする。洗ったとき以上に洗い流しに時間をかける。

 洗い流しが終わると、次はレモンを絞ったお湯で髪の痛みを抑える。その前にやっぱり手のひらで髪を挟むと髪の先端に向かってお湯をきる。

 アデラさんが退いて、今度はビアンカさんが桶を持ってくる。

 お湯の中にマリルーさんの髪を入れてぐるぐるかき混ぜる。何か麺料理を作っているような気分になってくる。

 適当なところで髪からお湯を切り、今度はレモン成分を流す。

 ビアンカさんが退くと、アデラさんが桶を持って座る。

 やっぱりこちらも髪を入れてぐるぐるかき混ぜる。渦を作ったり縦横に波を立てたりしてレモン成分を流していく。

 これは長時間やらなくても大丈夫だと思うので、ぱぱっと終わらせる。

「はい、これで終わりです。ちゃんとタオルで拭いて水気を切ってくださいね。」

 そういって髪からお湯を切り、タオルで拭きながらマリルーさんを起こす。

 マリルーさんはぽーっとしていて、目は開いているものの意識がどこかにいってしまったようだった。

「おーい、マリルーさん、起きてください。」

「……ミヤビさん、とっても気持ちよかったです。」

「それはよかったです。喜んでもらえてなによりです。」

「あの、ミヤビさん。こんなに心地よくなったことが初めてで何といってよいのかわかりませんが……。」

 そう言うとマリルーさんに両手をつかまれる。

「なんですか?」

「ミヤビさん、あなたが私の運命の人です。一緒になりましょう。」

 ……え゛


評価ありがとうございます。

PVもユニークも数字が増えるのは観てて楽しいですね。

今後ともよろしくお願いします。

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