第21話 昨日の反省
昨日行った石鹸お湯とレモンお湯により髪を洗う試みは成功したといっていいだろう。
しかし、いすの上にブリッジして髪を洗うことは今後慎みたい。なんといっても痛かったし。
ということで、洗髪の際に寝られる位の台を発注しようと思う。あとバケツも。桶があればそっちのほうがいいだろうか……。
そんなことを考えていると朝食の時間になった。部屋を出ると、ちょうど隣の部屋からマリルーさんとアデラさんが出てくるところだった。
4人で朝食を摂ろうと食堂まで移動してると、アデラさんがくんくん匂いを嗅いでくる。
「何か違うな……香水でもつけてるのか?」
「え……あ、ほんとだ。なんか柑橘系の匂いがするね。どうしたの?」
マリルーさんまで匂いを嗅いできた。
「昨日の夜、髪を洗ったんですよ。おそらくその残り香でしょうね。」
「それでバケツ借りに来てたんだね。どうやったの?」
「石鹸水で髪を洗った後にレモン水をつけるんですよ。」
「今日もやるの?私もやってみたい。」
「石鹸もレモンも残ってますしやってもいいですね。ただ、アデラさんを午前中に借りていいならですけど。」
「俺か!?午前中に終わるなら付き合ってもいいぞ。」
「ありがとうございます。木で机を作っているようなところにいきたいのですが……。」
「じゃあ、さっさと朝飯食ってセゴレーヌの姉御に許可とらないとな。」
といって食堂に入っていった。
今日も朝から肉でした。ビーフじゃなくてチキンでしたが。
職人街にやってきた私とアデラさん。
とりあえずアデラさんが机ならここという店に来てみた。しかし、中には店員さんが独りしかいなかった。
「職人がすべて技術本部のほうに行っているので今は注文は受けられません。」
なんというか、私が原因っぽかった。あんな隅っこの部屋の整備に借り出されるなんて思ってもいなかった。
「ほかに机を作れそうなところってご存じないですか?」
「そうですね、この通りの奥のほうに机だけ飾っているお店があるといううわさがあります。そちらはいかがでしょうか。」
「ありがとう、そっちに行ってみるよ。」
気を取り直して別のお店に行く。紹介されたお店に行く前にとりあえず昨日さいころを作ってもらったところに行ってみた。
「おはようございます。昨日はありがとうございました。」
「おう、あんなのでよければいつでも作るぜ。」
「そのときはよろしくお願いします。ところで、ここでは机は作ってないですか?」
「板材の取り扱いがないからな。ここじゃできねぇな。」
「そうですか。」
ちょっとがっかりしつつお店を見渡す。むむっ。そこには机はなかったが、桶があった。
「これ、水入れても漏りませんか?」
「おうよ、1滴たりとも漏れはしないぜ。」
その答えに、私はアデラさんに借金を申し込む。今度でたら倍にして返すから。
何分か何十分かアデラさんの手をつかんでじっと目を見るとアデラさんは折れてくれた。
アデラさんの大銅貨1枚で桶が3つ手に入った。
そうしてそのお店を後にすると、最初に紹介されたお店を見つけるべく通りの奥のほうへと足を踏み入れる。
すると確かに店頭に机が置いてあるお店を発見した。
机は天板は薄く脚も細めだ。しかし、それだけではない。この机は脚に蝶番がついていて折りたためるようだ。
会議用に折りたたみのいすなんかも作ってくれないだろうか。
そう思いつつ、お店に入っていく。あ、なんか明日のジョーのコーチみたいな人が出てきた。スキンヘッドに眼帯をしている。
「子供か、ここは遊び場じゃねぇんだ!帰れ!」
「客に対してその態度では、いい物を売っているのにこんな通りの奥にしかいない理由がわかりますね。」
「なんだと!」
「テーブルを買いに来ましたお客さんです。今から言うものを作ってください。
天板長さ180センチ幅60センチ、テーブルの高さは私のひざ程度。耐加重は80キロ。脚は折りたためるようにしてください。」
「……用途は?」
「上にねっころがります。なので、上で寝てるときに脚が曲がったりしないようにしてください。」
「表面加工はどうする?」
「滑らかであればいいです。」
「いつまでに作ればいい?」
「早ければ早いだけいいですね。」
「銀貨1枚なら今日中に作ってやろう。」
「では、騎士団の付けで。オノデラミヤビの注文だと伝えてください。」
「あいよ、用が済んだら帰んな。」
「頼みましたよ。」
そういって外に出てくる。
アデラさんはあきれていた。
「付け払いを無くそうとしてるのが付け払いとはね。」
「使った人がわからない付け払いが問題なのです。私はちゃんと名乗りましたから、マリルーさんの負担にはならないと思いますよ。」
「はいはい。で、引き取りはどうするんだ?」
「ビアンカさんに運ぶのはお願いしようかと。」
「じゃ、ひとまず帰還だな。」
といってアデラさんが仕事場に戻ろうとし、私もそれについていった。
仕事場に戻ると、待っているのはお勉強だ。
数字はサイコロで覚えたが、それ以外はまだまだだ。
幸いあいうえお等いわゆる50音については対応する文字があったので簡単だった。
しかし、濁音や半濁音が濁点や半濁点をつけるだけではなく別の文字になっているのは驚きだった。
小さなぁぃぅぇぉをつけた言葉や小さなゃゅょをつけた言葉についても1文字になっているのも驚きだった。
つまり何が言いたいかといえば、もっと勉強しなければ虫食い状態でものを読まざるをえないということだ。
例えば、野菜を買いに行ったとしてにんじんがにん○んのように歯抜けで見えることになる。想像はできるが……。
ちなみに通貨はキュイーヴルといって1キュイーヴルが銅貨1枚、そこから角銅貨、大銅貨、銀貨、角銀貨、大銀貨、金貨、角金貨、大金貨と価値が10倍ずつ上がっていく。
大金貨=1億キュイーヴルとなる。怖くて持ちたくないですね。
さっき例に挙げたにんじんだと2本で1キュイーヴルぐらいだそうだ。
そんな勉強をしていると今日も業務が終わる。勉強しかしてないけど。
それはそれということで考え直すとビアンカさんを探しに行くとロッカーにいた。
「ビアンカさん、夕食前に街に行きましょう。」
「それはいいですが、何か用事でもあるんですか?」
「ちょっと大きな買い物をしたので、ビアンカさんに荷物もちをしてもらおうかと。」
「いいでしょう。夕食に遅れないようにさっさと行きましょう。」
というわけで注文した店まで走ってきた。嘘つきました。途中歩いてました。
「こんにちは。注文してたものを取りにきました。」
といいながら店に入っていくとスキンヘッドが顔をのぞかせた。
「おう、こっちだ。」
そう言われたので奥のほうに入っていくと、背の低い長机がそこにあった。
早速寝転んでみる。幅60センチは横を向くくらいなら無理がないサイズだ。
多少ごろごろしてみるが、問題はなさそうだった。
次は机を裏返しにする。
机の脚がパタパタと倒れる。倒れた状態と立った状態で固定する機構があればよかったが、仕方のないところだろう。
だめだったら文句を言って作り直してもらおう。
「では、もらっていきます。使ってみて何か問題があったら持ってきますね。」
そう言うと片側をビアンカさんに持ってもらい、テーブルを持って宿舎に戻った。
お読みいただきありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
よろしければ評価していってくださいな。
たぶん次の話でマリルーさんたちの髪をわしゃわしゃすることになるんだろうなぁ。
話が進みませんが生活環境は向上中です。
お仕事コンの締め切りまでに終わるだろうか……。




