表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/8

今日から浪人

 ——霊桜町れいおうちょう


 桜の形をした川に囲まれるようにして広がる町なのだ。


 二人は霊桜町の中へ足を踏み入れた。


 その瞬間、周囲からいくつもの熱い視線が注がれる。


 特に女性たちからの視線は、先ほどまでとは比べものにならないほど露骨だった。


 アリシアはちらりと隣の陸を見上げた。


 (よく考えてみると、陸の服装はちょっと変だけど、スタイルはいいし、顔もかっこいいし……)


 改めてそう思うと、なんだか妙に意識してしまう。


 「ねー」


 「ん?どうしたんだ?」


 「い、いや、何でもない!」


 慌ただしく顔を逸らす。


 彼女の頬は、夕焼けのように赤く染まった。


 “……オヤジ、ほんと……女性に鈍い”


 「え?なんて急に?」


 陸は首を傾げる。


 見られていた本人だけが、周囲の視線にも、アリシアの反応にも気づいていない。


 しばらく二人の間に微妙な沈黙が流れた。


 そして数秒後、アリシアは気を取り直すように口を開いた。


 「……じゃあ、まずギルドに行こう!」


 「おう!」


 二人は町を歩き、やがて一際目を引く大きな建物の前へと辿り着いた。


 三階建てほどの巨大な建物は、白壁と黒塗りの木材で構成され、幾重にも重なった瓦屋根が空へ向かって伸びていた。屋根の端には細かな装飾が施され、最上階には金色の飾り瓦が輝いている。


 ギルドの扉を開けると、受付にいた女性が二人に気づき、笑顔で声をかけてくる。


 「人族ギルドへようこそ。何かお手伝いできますか……あっ!アリシア、お久しぶりね!」


 「お久しぶりー、セシリア。」


 受付嬢のセシリアはアリシアの隣に立つ陸へ視線を移した。


 「この人は?彼氏?」


 「ち、違うよ!彼氏じゃないよ!彼は陸。旅の途中で会ったの。」


 アリシアは咄嗟に否定した。


 すると、セシリアは陸をじっと見つめている。


 「『アリシアの彼氏じゃない』陸様でございますね!こちらへどうぞ。」


 セシリアは妙に妖しげな笑顔を浮かべた。


 「こちらに資料をご記入ください。今からギルドについて簡単にご説明いたします。」


 彼女はそう言いながら、ギルドの資料を取り出した。


 陸は紙を受け取り、ざっと目を通す。


 「一般的な仕事に就かず、自分の刀を使って大陸の平和を守る者は、『浪人』と呼ばれています。」


 「……浪人?」


 陸は一瞬、首を傾げた。


 聞き慣れた言葉のはずなのに、この世界では意味が違うらしい。


 「はい、浪人はギルドを通して様々な任務を受けることができます。」


 セシリアは風神羽ヘルメスを取り出した。それは現代社会が使われているスマートフォンみたいなものだ。


 「ギルドの掲示板にも、風神羽ヘルメスにも任務が受けられますよ。任務には期限が設定されて、依頼を受けてから三日以内に目標を達成できなかった場合、その任務は——」


 彼女は風神羽の一箇所を指先で示した。


 「滅星網ノヴァネットに掲示されることになります。そして、他の浪人もその任務を引き受けられるようになって、もし先に目標を達成した場合、陸様が獲得できる名声の点数は減少します。」


 陸はじっとその風神羽を見つめたまま、セシリアの説明などほとんど耳に入っていなかった。


 (……ヘルメス?)


 ふと彼の脳裏に浮かんだのは、とあるブランドだった。


 「それでは、ご記入が完成したら、そちらのお部屋へご移動ください。」


 セシリアはそう言いながら、陸を奥の部屋を案内しようとした。


 「お体に少々ご検査いたしますので、ふふ」


 「セ、セシリア、何変なこと言って……おかしい検査をやめなさい!」


 アリシアが思わず止めに入った。


 「ただの身体検査ですよ、ご心配なく。さあ、中に入りましょう、陸ちゃん♡ふふ」


 「セシリア!あなた、いい加減にしなさいよ!」


 アリシアが声を荒らげる。


 その横で、陸は何やら納得したように頷いた。


 「蓮、見て、やっぱ俺の魅力メロメロだな。」 


 “……オヤジ、母さん見てるよ。”


 「…………」


 陸の動きがぴたりと止まった。


 「……ぐっ!」


 何かを察したように、陸は慌てて取り繕う。


 「あ、綾乃……こ、これは……あっ、そうだ!これはギルドの定番の流れだ。」


 苦しすぎる言い訳だった。


 “……父さんったら、本当に目が離せるとダメね。”


 綾乃の声が、直接陸の脳へ響いた。


 ゾクッ。


 陸の身体は、わずかに震えた。


 「陸?何かあったの?さっきからぼーっとしてるけど。」


 アリシアの声に、陸はようやく我に返った。


 「……ああ、悪い。ちょっと考え事してた。」


 「もう。セシリアの説明、全然聞いていなかったでしょ。」


 アリシアは呆れたようにため息をつく。


 「じゃあ、まずは簡単な任務から受けてみようよ」


 「ああ、そうだな」


 二人が受付を離れようとすると、セシリアが声をかけた。


 「それでは、お二人ともお気をつけて♡」


 セシリアは意味ありげな笑みを浮かべながら、陸を見送る。


 「またいつでも来てくださいね、陸ちゃん♡」


 「おう!」


 陸は何も疑わなく手を振った。


 「じゃあな!」


 「…………」


 アリシアは無言でセシリアを睨みつける。


 「……何ですか、その目は?」


 「別に。」


 アリシアは陸の腕を引いた。


 「ほら、行こう」


 「お、おい、アリシア?」


 ー

【ステータス(能力面板)】

--------------------------------------------------

【名前】リク(神坂 陸)

【LV】1

【種族】人族

【職業】浪人(初心者)


--------------------------------------------------

【基本能力値】

HP(生命力):15 / 15

MP(魔力) :0 / 0

SP(體力) :10 / 10


--------------------------------------------------

【裝備・武器】

・羈絆の刃(預設初心者木劍)

[招式塊スロット]:[ 風渦曲陣ふうかきょくじん ][ ロード中 ][ ロード中 ][ ロード中 ][ ロード中 ]

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ