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第1話 「クラス召喚とヲタ通」

「やだ〜、またこっち見てる」


カースト上位の女子、篠山瑞稀(ささやまみずき)の声が聞こえた。俺はそっちを見ていない。決して、天に誓ってもいい。


「目を合わせない方がいいわよ。キモブタがうつるわ」


彼女の友達、栗山莉亜羅(くりやまりあら)が調子を合わせる。キモブタが感染るわけないだろ、と心の中で毒づく。


「そうね〜」


俺はあいつらを見ていない。決して目なんか合わせるものか。だが、女子たちのキャハハという明るい笑い声の中から、残酷な言葉だけが突き刺さってくる。


「こっち見るなよ、このキモブタ」


それが、俺に対する女子たちの態度だった。


俺だって最初から陰キャだったわけじゃない。できるだけ明るく接しようとしていた。けれど、クラスの中心にいる男子、風間暉(こざきあら)に“オタク認定”されて以来、俺は一気にローカーストへ転落した。


だが、今日は違った。


なぜか、その風間が俺のところへやって来て、いきなり髪を鷲掴みにした。


「なに瑞稀のこと見てんだよ」


そのまま勢いよく、俺の顔を机へ叩きつける。


「ぐっ……!」


「まだだろ?」


そう言って再び頭を引き上げた、その瞬間だった。


「な、なんだこれ!?」


教室全体が、眩い光に包まれ始めた。


☆☆☆


髪を離された俺は、そのまま地面へ転がり落ちた。


「いてっ……」


さっきまであった机も椅子も消えている。俺は硬い石畳に顔面を強打したらしい。


その時だった。


凛とした女性の声が、広間いっぱいに響き渡る。


「ようこそ、勇者諸君! 我がエストリアへ!」


女たちは次々と説明を始めた。魔族がどうとか、世界が危機だとか、そんな話だったと思う。


そして、俺たちの“スキル鑑定”が始まった。


だが、よく見ると妙だった。


この場にいるのは、なぜか女ばかりなのだ。


しかも、その女たちは男子たちへやたらと距離が近い。腕を絡めたり、肩へ胸を押しつけたり、露骨に甘えた声を出したり――現実ではまず見ない光景に、男子どもは完全に舞い上がっていた。


鑑定結果が出るたびに歓声と悲鳴が飛び交い、まるで文化祭みたいな騒ぎになっている。


一方で女子たちは、そんな男どもを冷めた目で見ていた。


そして俺の隣には――なぜか獣耳の少女がぴったり張りついていた。


猫耳。キャットシーというやつだろうか。


ただ残念なことに、俺は猫アレルギーだ。


「くしゅっ……くしゅん!」


止まらないくしゃみに、獣耳少女は露骨に顔をしかめて距離を取った。


そして、ついに俺の番が来る。


鑑定結果――『ヲタ通』


その瞬間、場の空気が凍りついた。


次いで爆発したのは、男子だけでなく女子まで巻き込んだ大爆笑だった。


「ヲタ通ってなんだよ!」


「ははっ、キモすぎ!」


「通って何に通じてんのよ!」


腹を抱えて笑うクラスメイトたち。


一方、エストリアの女たちは困惑したように顔を見合わせ、ひそひそと話し始めている。


さっきまで俺にくっついていたキャットシーも、いつの間にか数歩後ろへ下がっていた。


「国府田様、と申されましたか」


「は、はい……」


「誠に残念ですが、貴殿は戦力になり得ません」


「この『ヲタ通』って、一体なんなんですか?」


「不明です。加えて、ステータスも平均以下……いえ、凡人以下です。よって、貴殿には別室で待機していただきます」


クラスメイトたちの爆笑を背中に浴びながら、俺は別室へ連れて行かれた。


☆☆☆


そこにいたのは、一人の魔法使いらしき女性だった。


「だいたい毎回一人は出るんだよ。こういう意味不明なスキル持ちが……しかし、なんで私が担当なんだ」


部屋の中には、不自然なくらい大きなベッド。その奥にはバスルームまである。どう見ても、ただの待機室じゃない。女は俺をじっと見つめながら口を開いた。


「わらわの名は”ルナ”。……おぬし、名はなんという」


国府田こうだ......久実くみです」


そう…俺の名前は久実くみ…大事なところだから、もう一度言うが久実くみだ。


「そうか、クミちゃんか…心の準備はできているか?」


「は?心の…準備って…なんの」


「はぁ…何も聞かされていないのか...仕方ない。これから”魔力通環”してやる。あとクミちゃんの種も採取しないいけないのじゃ...わかったなら...はよ...ズボンを脱げ」


「は?魔力…種?」


「ええい!!つべこべ言わず。早く脱ぐのじゃ!!」


「わ~!!」


彼女はいきなり俺に襲い掛かってきて。ベッドに押し倒して、乱暴にズボンをはぎ取った。


「いうことを聞かぬから。こうなるのじゃ…ほい!!」


そして、パンツまでに脱がしてしまったので、大事なところを隠す。彼女は呆れたようにため息をつきながら、俺へ近づいてきた。ふわりと甘い香りが鼻をくすぐる。長い銀髪が肩を滑り落ち、妖艶な瞳が俺を射抜いた。


「緊張せずともよい。痛くはせぬ」


そう言って、彼女は俺の顎へそっと指を添えた。その仕草が妙に色っぽくて、心臓が嫌なくらい高鳴る。


「な、なんなんだよ……」


「非戦闘スキルの確認には、魔力通環が必要なのじゃ」


彼女はそう囁くと、俺の耳元へ唇を寄せた。吐息がかかる。それだけで背筋が震えた。


――この世界、絶対に普通じゃない。


☆☆☆☆


次の瞬間


「パラライズ!!」


はう……体が動かない。彼女は俺の手をどけていった。俺の縮こまったものを見て驚いた。


「さっきも言ったろ。痛いことはせぬから、これから“魔力通環”を行う」


「は?」


「安心せい。痛くはない」


ルナはそう言って、俺をベッドへ押し倒した。


その瞬間、全身へ熱が走る。


「んっ……」


彼女の手が俺へ触れた瞬間、不思議な感覚が流れ込んできた。


頭がぼうっとする。


まるで、体の奥で何かが循環しているようだった。


「これが……魔力?」


「そうじゃ。おぬし、適性があるようじゃな」


その夜。


俺は、ルナと何度も魔力通環を行った。


俺は彼女と手を合わせている。ラノベの世界でよくやっている魔力循環というやつだ。そこで、俺は初めて魔力を感じることができた。


「うむ…うまく魔力通環で来たようじゃな」


と言いながら彼女は、ぶよぶよの俺の体にじゃれついてくる。すると


「ん?なんか、さっきより細くなっているような感じじゃが…」


「え?よくわからないけど…」


「ま…いいか…わしは満足できたのじゃから」


ベッドでイチャラブをしていると彼女は、この世界の事実を教えてくれた。一般庶民は、魔法がほとんど使えない。魔力を持った人間が性行為をすると、ほとんどの場合、女性しか生まれない。なので、魔力を持つ王侯貴族は、ほとんどが女性であること。そして、魔力を持った男性との間に子供をもうけるために召喚を行っているという事実。


「名残惜しいのう…じゃが、規則は規則じゃ…」


そういいながら身支度をしている彼女。


「おぬしも早くこの服を着ろ」


言われるがまま、手渡されたこの世界の服を着ていると


「ほれ…路銀と紹介状じゃ…まず、この書類をもって、ギルドへ行くのじゃ…そして、冒険者登録をしろ、それが身分証明になる。わかったな。そこで魔力適性が分かるはずじゃ、あとは、ギルドで仕事をして、稼ぐもよし。手に職をつけるのもよし」


「は…はい…」


手渡された路銀、そして、身支度を済ませると


「この国の規則で非戦闘スキルの男子は、市中に出すことになっている。つまり、今からお前は、一般市民になる。そして、一般市民として生きるのじゃぞ。いいな、それとな」


ルナは少しだけ真面目な顔になる。


「おぬし、自分のスキルを他人へ軽々しく見せるな」


「え?」


「“ヲタ通”……あれは、おそらく知識系統の超希少能力じゃ。下手をすれば、国が囲い込もうとする」


「でも、俺、オタク知識しか……」


「その“しか”が危険なのじゃ」


「よくわかんないけど、わかったよ」


☆☆☆


こうして、城から出た俺は、ギルドへ向かうことになった。


「しかし、なんなんだろなこの『ヲタ通』というスキルは」


読んで下さりありがとうございます。


久しぶりに書いています。


・面白かった、楽しかった

・続きが気になる

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