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テンプレな世界の少女を救う話  作者: やまし
第四部 グオー見聞録
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第1話 来訪者

 マイが眠りに入って、半年が経った。


 村は静かだった。配下が動いていた。スミレが転生者たちの話を聞いていた。

 カイも毎朝村を見回って仕事を始めた。


 その朝、魔具が鳴った。


◇◇◇


 マイが眠っているマイの実家を管理するNPCからだった。


「来客です」


「誰だ」


「名乗りません。でも、結界を普通に通り抜けてきました」


 カイは転移鏡を取り出した。国東の家の玄関をイメージした。


 鏡に映ったのは、玄関の前でじっと座っている大きな生き物だった。


 ずんぐりとした体。平たい頭。ヌメヌメしてそうな茶色い皮膚。体長は一メートルを超えていた。

 

 たしか、オオサンショウウオという生き物のはずだ。


 動かなかった。ただそこにいた。


「行く」


◇◇◇


 転移して、玄関の前に立った。


 生き物がカイを見た。目が合った。


「マイ様に会いに来た」


 喋った。


 カイは少し止まった。


「お前、喋れるのか」


「グオーだ」生き物が言った。「マイ様に会わせろ」


 カイはその名前に聞き覚えがなかった。


「グオー」


「そうだ」


「マイ、あー、魔王から聞いたことがない」


「眠る前に話す機会がなかったんだろう」グオーが言った。「俺はマイ様の配下だ。起こしてほしい」


「魔王は今眠ってる。簡単には起こせない」


「知ってる。だから起こしてほしいと言っている」


 カイはその生き物をしばらく見ていた。ずんぐりとした体で、じっとカイを見返していた。動じなかった。急かさなかった。ただ待っていた。


「理由を言え。俺が判断する」


 グオーは少し黙った。


「マイ様から承ってる仕事の関係の話だ。マイ様の判断が必要だ」


「それだけか」


「それだけだ」


 カイはもう一度グオーを見た。嘘をついている様子はなかった。


「待ってろ」


◇◇◇


 マイを起こしたのは夕方だった。


 マイが目を開けた。カイの顔を見た。


「カイ」


「ああ」


「まだ半年しか経ってないよね」


「そうだ」


 マイは少し不満そうな顔をした。


「なんで起こしたの」


「来てくれ」


◇◇◇


 玄関に連れていくと、グオーがまだそこにいた。


 マイを見た瞬間、グオーがゆっくりと立ち上がった。ずんぐりとした体で、マイの前まで来て止まった。


「グオー」とマイが言った。


「マイ様」グオーが答えた。


 カイはその場面を見ていた。マイがグオーを知っていた。当然のように名前を呼んだ。


「知り合いか」とカイが聞いた。


「うん」マイが言った。「昔から」


「なんで俺に言わなかった」


「言う機会がなかった」


 マイがグオーを見た。久しぶりに見る顔だった。


「で、何しに来たの」


 グオーはしばらく黙った。それから、ゆっくりと話し始めた。


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