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メタルブレイザー -鋼鉄の戦乙女たち-  作者: サムライドラゴン
初陣 編
14/33

12.第2話「メタルブレイザー と ヤミガタ」(5/5)


 夜中。

 既に『鉄衣学園』は閉められている時刻。

 先生たちはほとんど学校にはおらず、帰宅している。


 そして剣勇は、飯田先生たちと飲みに行っていた。




 居酒屋「海底火山」。

 この居酒屋は剣勇たちがよく利用している場所だ。

 内装は意外と綺麗で、他のお客さんもいる。

 テーブル席もあるが、剣勇たちはよくカウンター席の方を利用する。


 今日のメンバーは剣勇と聡美(飯田先生)。

 そして聡美の旦那で剣勇の友人である "飯田慎二(いいだ しんじ)" 。

 それと、聡美の後輩である教師の "尾張美波(おわり みなみ)" 。

 この四人であった。



「初陣は大丈夫みたいだったな。」

「まあな。」


 慎二と剣勇はつまみを食べながら、今日の出撃のことを話していた。

 今回、慎二が所属している「第五部隊」は出撃しなかったため、聡美から話だけ聞いていた。


「だが、これからもアイツらは戦う運命になると思うと、なんとも落ち着かん。」


 剣勇は水を飲みながら、そう言った。

 酒にやや弱い剣勇は、まずは水を飲むことが多い。


「すっかり父親代わりになってるわね。」

「そんな大層(たいそう)なモノじゃねえよ。」


 聡美の冗談に対して、やや照れながら水を飲む剣勇。

 聡美は酒に強いので、普通に酒を飲んでいる。


「だがよ、昔に比べて剣勇は立派になったと思うぞ。」

「それは私も思う。」


 慎二と聡美は剣勇を見ながら微笑んでいた。


「やっぱり、彼女たちのおかげかな?」

「・・・かもしれねえな。」


 聡美の言葉に、剣勇はやや納得した。

 机の上に置いている帽子を見て、「第一小隊」の顔を思い出す剣勇だった。




 数時間後、居酒屋を出た。

 聡美は完全に酔ってしまっており、慎二におぶられて去って行った。

 残ったのは剣勇と美波だけだった。


「こっちですか。」

「ええ、私も。」


 初めて会話をするため、どうもぎこちない。

 とりあえず二人は黙ったまま帰路を歩いていた。


 しばらく歩いていると、美波が剣勇の方を向いた。


「あ、あの、嘉堂さん・・・。」

「剣勇でいいですよ。」


 美波は一礼をすると、再び喋り始めた。


「剣勇さんって、あの結花さんの息子さんなのですよね。」

「ええ。」


 嘉堂結花。

 剣勇の母親で、記念すべき最初のメタルブレイザー装着者。

 伝説の英雄として有名で、現在は引退して女優業をやっている。


「結花さんとは会っているのですか?」

「いや、母さんも忙しいので最近はあまり・・・。」


 嘉堂家の皆はそれぞれが忙しいため、あまり集まれていない。

 剣勇は父親には意外と会うが、母親の結花や姉の姫花とはあまり会えていない。

 たまに実家に帰っても、会えないことが多い。


「そうなのですか・・・。」


 美波はどこか寂しそうだった。

 剣勇は、なにも言わずに黙って歩き続けた。



 しばらくして、分かれ道に着いた。


「では、私はこちらなので。」

「ええ。 では、また学校で。」


 二人は互いに一礼をして、そのまま分かれた。




 剣勇はふと空を見た。

 都会だが、意外と星が綺麗だった。


 剣勇は今日の朝方のことを思い返していた。

 ヤミガタと戦う「第一小隊」。

 剣勇の脳裏にはその光景が映し出されていた。


 こうしている間もヤミガタはどこかに(ひそ)んでいるのだろうか。

 そんなことを考えていた。


 前方から見回り中の警備隊の隊員が歩いてきた。

 彼の存在がまさに今の世の中を表していると言えるだろう。

 剣勇はなにも言わず、互いに一礼をして去っていった。




 数十分が経ち、剣勇はアパートに着いた。

 アパートの階段を上がり、自分の部屋を目指した。

 すると、上から誰かが下りてきた。


「あ、剣勇くん。」


 朝の出勤時にも出会った隣の部屋に住んでいる女性 "御影理奈(みかげ りな)" であった。

 服装は朝出かけて行ったときと同じスーツ姿だった。


「こんな夜遅くにどこかへ行くんですか?」

「ええ、仕事先に家の鍵を忘れちゃって・・・。 管理人さんを起こしてしまうのも悪いし、ホテルにでも泊まろうかと思って。」


 時刻は夜遅い。

 「ミッドナイトゲイツ」の管理人さんは高齢の女性なので、この時間帯は寝ているであろう。

 理奈はそれをよく理解していた。


「では、夜中ですし自分もホテルまでついて行きますよ。」

「え?」


 理奈はきょとんとしていた。

 夜遅くに女性一人だと危険だと思った剣勇の判断だ。


「大丈夫よ。 剣勇くんだって今帰ってきたところでしょ。」

「ええ。 でも、人々を守ることがメタルブレイザー装着者である自分たちの使命ですので。」


 剣勇は後ろを振り向き、周りを見渡した。

 周りは暗く、見えるのは電灯の光や窓からの明かりしかない。


「こんな世の中だから、なにが起きてもおかしくないんですよ・・・。」


 事実ヤミガタが今日出現したため、残党が残っている可能性もある。

 とても危険な状況だ。


「えーと・・・、じゃあお言葉に甘えちゃおうかしら。」


 理奈はそう言って、階段を降り始めた。

 剣勇も理奈から離れないように、隣で歩いている。

 そのまま二人は夜道を歩き始めた。


「ありがとうね、剣勇くん。」


 理奈は微笑みながら歩いていた。

 剣勇も「いえいえ。」と答えながら彼女に合わせて歩んでいた。



 とても明るい場所に出た。

 いわゆる街中だ。

 夜中だが、歩行者は多い。

 当然警備隊の隊員が何人か歩いていた。


「剣勇くんも今日、ヤミガタと戦ったのよね。」

「ええ。 今日は『鉄衣学園』の女生徒たちも連れてでしたけど。」


 剣勇と理奈は話しながら歩いていた。

 ちょっとしたことから、今日の出来事なども話題にして。


「あ、着いたわ。 あそこが泊まろうとしてるホテル。」


 理奈が見ている方向を見ると、やや遠くに大きなホテルがあった。

 剣勇と理奈は足早にホテルへ近付いた。

 そしてホテルの入口へ着いた。


「ありがとね、剣勇くん。」

「今後は家のカギを忘れないようにしてくださいね。」


 二人は互いに別れの挨拶をした後に、理奈はホテルの中へ、剣勇は来た道を戻って行った。

 再び一人になった剣勇は、夜風が凄く冷たく感じていた。




 再びやや長い距離を歩き、再びアパートに着いた。

 階段を上がって、自分の部屋の扉を開ける。

 部屋に入ると、電気をつけて靴を脱ぐ。

 リビングまで歩いて背負っていたバッグを投げ捨てる。

 その上に被っていた帽子を投げる。

 そして手を洗うために洗面所へ向かった。


 洗面所で手洗いとうがいを終わらせ、風呂を()かし始める。

 風呂が沸くまでリビングにある座布団を枕代わりにして床に寝っ転がった。

 天井にある電気を眺めながら、一息ついた。



 しばらくして風呂が沸いたので、風呂に入り始めた。

 服を脱いで全裸になった剣勇は、シャワーで頭を洗い始め、終わったら次は体を洗い始める。

 全身を洗い終えたので、湯船(ゆぶね)()かった。

 剣勇は背が高く全身が入りきらないため、脚を曲げて湯船に浸かるのだ。


 全身浴(ぜんしんよく)をして疲れが癒やされている剣勇は、そのまま改めて今日のことを思い返していた。


 今日のようなことが今後何度も起きる。

 そう思うと不安で仕方なかった。


 澪、愛海、明日香、クラリス、唯織の五人の顔をそれぞれ思い出していた。

 みんなただの女子高生。

 ヤミガタなんかいなかったら、今頃普通の生活を送っていただろう。

 そんな考えばかりが頭に浮かんでしまっていた。


 剣勇は足を浴槽の上縁面に乗せた。

 そしてリラックスできる体勢になった。

 そのまま"百"まで数えてから、風呂から上がった。



 風呂を終えるとパジャマ(Tシャツと短パン)に着替えて、歯を磨き、リビングへ向かう。

 リビングの真ん中にあるちゃぶ台の上に置いてあるリモコンを取り、テレビをつけた。

 "番組表"のボタンを押してとある番組を選択すると、録画予約を選択した。

 予約を完了すると番組表を消して、そのままテレビも消した。


 そして再び玄関の方へ行き、部屋の電気を全部消してリビングへ戻った。

 部屋の(はし)にある布団に倒れ込んだ。

 そのまま掛け布団を乗せて、目を(つぶ)った。


 こうして、今日という日が終わったのだった。






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