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メタルブレイザー -鋼鉄の戦乙女たち-  作者: サムライドラゴン
初陣 編
12/33

10.第2話「メタルブレイザー と ヤミガタ」(3/5)


 数分間、ヘリコプターは飛び続けていた。


 ヘリコプターの中ではメタルブレイザーを装着した「第一小隊」が三人ずつ向かい合いながら座っていた。

 皆は一切動こうとはせず、じっと座っていた。


 ふと、剣勇はヘリの窓から外を見た。

 次に皆の方に顔を向けた。


「いいか、そろそろヘリが着陸しようとするがある程度地面に近付いたら俺たちはヘリから飛び降りるぞ。」


 剣勇がそう言うと、明日香が「えっ!?」と言葉を()らした。


「と、飛び降りるのですか・・・!?」

「ああ、大体7メートルくらいのところで飛び降りるぞ。 メタルブレイザーなら衝撃に耐えられる。」


 剣勇が喋り終わると、丁度良くヘリコプターが下降し始めた。

 それを確認し、剣勇は席から立ち床に膝をついてヘリコプターの扉を横に開いた。

 そこに映ったのは街の上空。

 落ちたら間違いなく死んでしまう高さだった。


 ふと、剣勇は皆の方を見た。

 当然ながら皆は不安そうだった。


「お前ら、大丈夫か。」


 剣勇が心配すると、それぞれが「大丈夫。」という感じの言葉を投げ返した。

 一人を除いて。


「明日香は、無理そうか?」


 剣勇が聞くと、明日香は(うつむ)いた。

 どうやらダメそうだった。


 剣勇は特になにも言わずしばらく明日香を見ていたが、やがて視線を唯織に向けた。


「唯織。 すまないがメタルブレイザーで明日香と一緒に飛びながらゆっくりと降りてくれないか?」

「はい、任せてください。」


 剣勇の頼みを唯織は快く聞いた。




 ヘリコプターが地面まで約7メートルのところまで来た。

 場所はビル街で、本来なら大勢の歩行者がいるハズの場所だった。

 ヤミガタ出現により全員が避難したのだ。


 周りにはメタルブレイザーとはまた違ったパワードスーツを身に着けている人々がいた。

 『国防警備隊』の隊員だ。


 警備隊は「ガーディアン」と呼ばれるパワードスーツを装着している。

 ガーディアンは量産型メタルブレイザーをもとに製作された男女兼用のパワードスーツ。

 メタルブレイザーと比較すると性能はかなり劣るが、ヤミガタと同等くらいには戦えるのだ。

 当然殲滅(せんめつ)には時間がかかるが、メタルブレイザーの援護や市民の保護などの役割に分かれて活躍しているため、必要不可欠な存在だ。



「よし、遅れるなよ。」


 そう言って剣勇はヘリコプターから飛び降りた。

 地面に着地後、やや重い音がした。

 しかし剣勇は全然平気そうだった。


 剣勇に続いて澪、愛海、クラリスが順番に降りてきた。

 全員無事着地に成功した。

 少し遅れて、明日香を抱いた状態でゆっくりと唯織も降りてきた。


 ヘリコプターはパイロットが全員が降りたことを確認すると、再び上昇した。

 そしてどこかへ飛び去って行った。




 剣勇はメタルブレイザーの兜の側面をスライドさせた。

 するとボタンのようなものがあり、その内の一つを押した。


「聡美姉、聞こえるか。」

<ええ。>


 その場にいるメタルブレイザーに飯田先生の声が響いた。


「えっ、飯田先生・・・!?」


 「第一小隊」の皆は一斉に驚いていた。

 剣勇は気にせず、会話を続けた。


「ヤミガタはどこに?」

<北東の方向、約50メートルにいるわ。>

「了解。」


 そう言うと剣勇は北東の方向に歩き出した。


「ついて来い。」


 剣勇は皆に手招きをした。

 「第一小隊」は全員剣勇について行った。


「学園で飯田先生がオペレーターをしてくれている。 彼女の指示に従って動くぞ。」


 『鉄衣学園』の方で飯田先生がレーダーなどを見て、ヤミガタの位置などを教えてくれている。

 これにより速やかに行動ができるというわけだ。




 少し離れた場所へ着いた。

 そこにはヤミガタが一体歩いていた。


「早速いやがった。」

「あれが、ヤミガタ・・・。」


 姿を一言で言うなら「黒い人間」というところだろう。

 顔に当たる場所には目や鼻などはなく、渦巻状の模様があるだけだった。

 なんとも不気味な生物だった。


「いいか、油断はするなよ。 まずは俺の指示に従って動くんだ。」


 剣勇は目線をヤミガタから「第一小隊」の皆に変えて喋っていた。


「ですが、澪が既に動いてます。」


 唯織が手を前方に差し出していた。

 剣勇がその方向を見ると、赤いメタルブレイザーに身を包んだ澪がヤミガタに向かって走っていた。


「澪、待て!!」


 剣勇が止めようと声をかけようとしたが、その前に澪はヤミガタに接近してしまった。

 そしてヤミガタに対して思いっきりパンチを放った。

 パンチ力が凄い澪のメタルブレイザーの力により、ヤミガタは吹っ飛ばされた。

 ヤミガタは建物の壁に激突し、砂埃(すなぼこり)を上げた。


「チーフ、やったよ!」


 澪は呑気(のんき)に腕を振りながら笑っていた。

 しかし剣勇は澪のもとへ()け出していた。

 理由はすぐに分かった。


 澪が吹き飛ばしたヤミガタは壁にめり込んでいたが、まだ(かす)かに動いており、仕留(しと)めてはなかった。


 だが、問題はそこではない。

 近くに停車していた車の死角から突然ヤミガタが出てきて、近くにいる澪を襲おうとしたのだ。


 澪はヤミガタに気付いたが、バランスを崩して(つまづ)いてしまった。

 倒れるのを待っているその体は完全に無防備となっており、ヤミガタにとっては格好の餌食(えじき)であろう。

 ヤミガタは鋭い爪で澪を斬り裂こうとした。


 だが、その前に剣勇が間に合い、ヤミガタを刀で斬り裂いた。

 斬り裂くときに少し押し出したため、澪と反対の方向へと倒れた。

 ヤミガタが地面に仰向(あおむ)けで倒れると、剣勇は刀をヤミガタの胸目掛けて突き刺した。

 ヤミガタは不気味な鳴き声をしばらく上げながら、黒い身体が弾け飛んだ。


 当然それで終わりではなかった。

 建物の影から新たなヤミガタが現れ、剣勇に襲いかかってきた。

 剣勇はヤミガタに回し蹴りを放って蹴り飛ばし、倒れたヤミガタを三度斬り裂いた。

 二体目のヤミガタも身体が弾け飛んだ。


 澪が吹っ飛ばした三体目も、フラフラしながら起き上がってきた。

 剣勇は情けを一切かけず、刀をヤミガタの体に突き刺した。

 そしてそのまま斬り裂いた。

 元々かなりのダメージを負っていたので、ヤミガタは弾け飛んだ。




 飯田先生から現在地でのヤミガタの反応が無くなったという報告を受け、剣勇も警戒を解いた。

 持っていた刀を鞘に戻して、背筋を伸ばして立っていた。


 澪は尻餅をついて剣勇を見上げており、他の皆は足早に近付いてきた。


「ご、ごめんチーフ・・・。 ア、アタシてっきり・・・。」

「特撮ドラマの戦闘員のように簡単に倒せると思ったのか?」


 尻餅をついている澪には目を向けず、背を見せたまま剣勇は喋っていた。

 澪は(うつむ)いた。


「澪、お前は二つ勘違いしていることがある。」


 剣勇はそう言って、尻餅をついている澪の方を向いた。

 そして、人差し指を立てた。


「一つは、特撮の戦闘員は数回ほど攻撃を受けても意外とやられない。」


 唯織が「え?」と言い、他の皆はキョトンとしていた。

 澪もキョトンとしていたが、剣勇は構わず喋り続けた。


「二つ目は、ヤミガタを雑魚だと思って油断してると死ぬということだ。」


 次に言い放った言葉に、皆が反応した。

 「死」というワードが出たからだろう。

 澪は再び俯いた。


「次からは注意してくれ。 できるよな?」


 剣勇が澪に言った。

 その声には怒りなどの感情ではなく、優しい声だった。

 澪は剣勇を見上げた。


「う、うん、できるよ・・・。」


 やや申し訳なさそうな声色で澪は答えた。

 いつもの元気を感じなかった。

 本当に反省しているようだ。


「よし、じゃあ立て!」


 剣勇が澪に手を差し伸べた。

 澪は数秒間だけ差し出された剣勇のメタルブレイザーの鉄の手を見ていたが、やがてその手を掴んだ。

 そして、尻餅をついていた澪は立ち上がった。


「じゃあ、次の場所へ向かうぞ。」


 剣勇の言葉に皆は「はい!」と返事をした。

 澪だけは少し遅れて「・・・はい。」と静かに返事をした。




 飯田先生の次の指示で剣勇たちは移動していた。

 街中は無事なところもあれば、争った形跡(けいせき)もあった。


 走り続けて約二分後、ヤミガタがいる場所へ着いた。


「ハァ・・ハァ・・・。」


 明日香と唯織は疲れていた。

 剣勇は特に口は出さず彼女たちが落ち着くまでの間、ヤミガタを見張っていた。

 目に入るのは二体だけ。


「さっき言うの忘れてたが、ヤミガタは基本集団で行動する。 一体だけということは普通はないから気をつけろ。」


 剣勇はヤミガタから目を離さずに喋った。

 剣勇の後ろから5種類の「はい。」という言葉が聞こえた。


 明日香と唯織が落ち着いたのを確認すると、剣勇は再び刀を鞘から抜いた。


「澪、愛海、アイツらを倒してみろ。」


 剣勇は顔を動かさず二人に命令した。

 澪は「え?」という言葉を漏らすが、愛海は大剣を抜いて両手で持った。

 既に戦う気でいたようだ。


「念のため、クラリスと明日香、唯織もついていけ。 クラリスはいつでも援護ができるように銃を構えておけ。」


 名前を呼ばれた三人はそれぞれ「はい。」と答えて、身構えていた。


 剣勇は右腕を振り上げて、タイミングを(うかが)っていた。

 ヤミガタたちが隙を見せたときが、攻撃開始の合図。

 「第一小隊」はいつでも行けるように準備をしていた。

 愛海は剣を持ち、クラリスは銃を持っている。

 剣勇も一応刀を持っている。



 そして、その時がきた。

 二体のヤミガタが背を向けた瞬間、剣勇は手を振り下ろした。


 それと同時に五人は一斉にヤミガタに向かって走り出した。

 当然ヤミガタも五人に気付いたが、先に二人の剣と拳がヤミガタに届いた。

 片方は吹っ飛ばされ、片方は激痛により膝をついた。

 愛海は透かさずもう一度ヤミガタを斬りつけ、ヤミガタは弾け飛んだ。

 澪が殴ったヤミガタは建物の壁にめり込んだが、まだ生きていた。

 しかし学習した澪はヤミガタを追撃し、二、三発連続でヤミガタを殴り、ヤミガタは弾け飛んだ。


 すると、物陰(ものかげ)から一体ヤミガタが飛び出してきた。

 ヤミガタは愛海に向かって腕を振り下ろそうとしたが、やや遠くにいるクラリスの銃に撃たれ攻撃を邪魔された。

 ヤミガタは受け身をとられずそのまま地面に倒れこみ、愛海に剣を振り下ろされてヤミガタは弾け飛んだ。


 皆が終わったと思っていたが、剣勇の背後からさらにヤミガタが一体出現した。

 ヤミガタは剣勇に襲い掛かるが、その前に明日香が動き出し、バリアで剣勇を守った。

 バリアに爪を振り下ろしたことで、ヤミガタの攻撃を弾くことができた。

 そしてバリアを解いた明日香と、近くにいた唯織の二人の銃撃により、ヤミガタは弾け飛んだ。



 飯田先生からヤミガタの反応が無くなったことを知らされ、「第一小隊」の皆は気を(ゆる)めた。

 他四人に比べて明日香は倍近く疲れていた。

 彼女の性格を考えてみれば、先程の行動はとても勇気のある行動だったからだろう。


 皆は剣勇のもとに集合した。

 ただの女子高生とはいえ「第一小隊」というチームに所属しているからには、彼女たちはちゃんとした戦士であることに違いはない。

 剣勇は彼女たちの顔を見ながらそのことを再確認した。


「よくやった。」


 剣勇はそう一言だけ喋った。

 その言葉を聞いて、皆それぞれ嬉しそうだった。

 一人、愛海を除いて・・・。






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