ふぉーてぃーん
やらかした…。
朝起きてなんとなくダルいから熱を測ってみると38度5分もあった。
原因は昨日の大雨だと思うけど、まさか本当に風邪をひくとは。
アイツの言った通りになってしまった。
「夕紀ー、お母さん仕事行くからちゃんとご飯食べて寝ててね」
「はーい」
熱が出るなんて何年ぶりだろう。学校に行かなくていいのは楽だけど、熱のせいで体が思うようにいかないから結局は何もできない。
あー、辛い…。
熱ってこんなにぼーっとするもんだっけ?
ピーンポーン。
インターホンが鳴った。こんな時に来るなんて、タイミングの悪いやつだと悪態をついた。
「ぅ、よいっしょっと」
なんとか体を起こして玄関のドアを開ける。
「どちら様で…あ」
「おはよ~」
ドアの外には笑顔の雅。
「な、なんで?!」
「ケンから夕紀ちゃんが高熱だって聞いたからさー」
「大学は?」
「今日は休みだよ~。あれ、ケンから聞いてないの?」
「聞いてないよ。今日も朝から出て行ったから大学あるのかと思っ……て、た」
急にぼんやりしてうまく話せなかった。
「あっ、大丈夫?熱あるんだったね。部屋まで運ぶよ」
「ぇ、ぃや、ぃぃ」
もう発声すらままならない。
「そんなんでよく言うよ。病人は黙って運ばれてなさーい」
お姫様抱っこの形で抱えられた。恥ずかしくてたまらないけど抵抗ができない。
少し顔を上げると柔らかい表情の雅の顔がすぐ側にある。
それがなんだか嬉しくて気持ちが緩んだ。また更に頭がぼんやりしてきた。
頭が回らない。それに瞼も重くなってきた。もうどうにでもなれ。
私は雅の体温を感じながら意識を放した。




