願い
翌日。メリー達とにょんちゃんが、ノランを発とうとしていた。
「皆、ありがとうだしょ。また一緒に暮らせる」
「精々甘え倒せって。その方が母親の治療になるって」
「参考にするしょ」
メリーは、ウルを手招きする。
キョトンとするウルだったが、大人しく従うことにした。メリーに寄っていくと、耳打ちをされた。
「アタチからのお礼だしょ。ティタを喜ばせてあげるんしょ」
「へ~、そんな場所が。教えてくれてありがとう」
「それとこれは、アタチからの褒美だしょ」
ウルの頬に唇で軽く触れた。メリーの表情が明るくなる。
ウルはというと、突然のことに呆然としていた。
「アタチ、待ってる。ウル達が迎えに来るのを!」
「……お!? ……おう! 必ず迎えに行くって!」
駅のホームに列車が到着した。
メリーの父親は一礼し、にょんちゃんは大きく両手を振っている。
走り出す列車に向かってウル達は、にょんちゃんに負けじと両手を振り続けたのだった。
※ ※ ※
「寂しいかい?」
「何で?」
「今まで、まあ、二年間は分からないけど、とても笑顔でいたからね」
「何だろう……上手く言えないけど、ハッキリ言えるのは……」
メリーは父親に伝えた。父親が居なくて寂しかった事。母親が病気になって不安だった事。両親が再会して嬉しかった事。また一緒に暮らせる事。
そして何より、自分の悩みに親身になってくれた友達と出会えた事が、とても嬉しかったと。
※ ※ ※
「行っちゃったのだよ」
「そんなに肩を落とすんじゃないぞ。メリーにとって一番大事なのは、家族と一緒に居ることだ」
「分かってるのだよ。けど正直、寂しいのだよ」
「私もよ。年齢を知る前から、何だか勝手に妹みたいに見てたもん」
「来年になれば、〈精進の儀〉で一緒に旅出来るんだ。それまでの辛抱だって」
「なあ。さっき、メリーから何か言われていたろう? 何だったんだ」
「……あー。……んー。祭りまで時間があるのなら、隣街のフォインに行ってみたらって。フォインにある鐘を恋人同士で鳴らせば、二人は幸せになれるらしい」
「「ロマンチック!!」」
ティタとメルの目が輝いている。両手を頬に当てながら、なにやら想像している。
内容が内容だけにメイルも抵抗はしなかった。
「フォインまでなら、歩きで行けるって。さっそく行くって?」
「「行く!」」
さっきまでの寂しげはどこへやら。
ティタとメルは、元気いっぱいに声をあげたのだった。




