表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/130

バタバタ

「ウル。アンタはこれをあっち。メイルはそれをそこに置いて……」


「ティタちゃん、これはどうするのだ?」


「それは向こうの棚に仕舞って」


(ほう、感心するね。各自、役割を果たしている。効率よく動けているのは、ティタちゃんの観察力と洞察力のお陰だな)


「ライドさん。すみませんけど、この花瓶の水を替えてきて貰えませんか」


「ああ。お安いご用だよ」


 ティタに頼まれ花瓶の水を替えに部屋を出る。こういう何気ない雑用も、キリナに任せっきりでいたことをライドは痛感した。


(今頃、少尉はどうしているか……気になるな)


 ライドの視界に電話が入る。しかし、ライドはそのまま部屋へと戻っていく。


「替えてきたよ、ティタちゃん」


「ありがとうございます」


「少し任せて構わないかね? 私は用事があってね」


「分かりました。ちゃんと綺麗にしときますよ!」


「楽しみにしているよ」


 ティタに伝えると、司令部の外に出る。

 人が行き交う街の、誰でも使うことが出来る電話機に向かっていくライド。


※ ※ ※


「……もしもし。私だが」


【わたしわたし詐欺ですか?】


「そういう詐欺もあるかもしれん。注意したまえよ」


【確かに。充分に注意をさせてもらいます】


「まあ、冗談はその辺にしとこうか。世間話も構わないのだがね」


 【何でしょうか?】


「何って、君の現状だよ。平穏無事……変わりないかね」


【はい。こうして会話が出来ますからね。生きていなければ成せません】


「それもそうか。……おや? 随分と周りが静かなようだね」


【ええ。ワタシ結構、箱入り娘みたいなのよ。なかなか外出も許されなくて。息詰まるわ】


「おやおや。では、この電話も結構取るのに苦労したんだろう?」


【それなりに苦労しました。今もお付きの視線が痛いわね】


「余程大事にされているんだね、君は」


【ホント、たまには羽を伸ばしたいものだわ】


「部屋でも羽は伸ばせるだろう?」


【ワタシの部屋、狭いのよ。知らなかった?】


「これは失敬。まだまだ君のことを知らないものだ。ああ……会いたいよ」


【ランチどきなら大丈夫だわ。お付きの人、色々忙しくてランチは一緒じゃないから】


「分かったよ。そっちに顔を出した際は、ランチを共にしよう」


【楽しみだわ。……ごめんなさい、お付きが五月蝿いの。仕事に戻るわ。書類を運ぶのが、自由になれる条件なの。失礼します】


 ライドは受話器を置いた。ふぅーっと溜め息をつく。軍服のボタンを外す。電話機の隣にあるベンチに、腰を落とした。


(成る程……。外部との電話(連絡)は許されているが監視付き。現在、任されている仕事は簡単な雑用で、その時くらいしか自由になれない。仕事中以外は、用意された部屋で寝起き、か)


 ライドは、司令部へと歩いていく。

 胸騒ぎを感じつつ、キリナの無事を祈っていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ