表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/130

疾走

 充分に満足したのか、ティタもメルも笑顔でいた。

 会計を済まそうと、〈送迎書〉を取り出して立ち上がるメイル。だが、店内はそれどころではなくなった。


「食い逃げ!」


 店員の大きな叫び声が響く。食い逃げ犯は、その声に驚いて走っていく。


「こんな店で食い逃げとはな。たまげたって」


「何を悠長に言っている。ウル、追い掛けろ!」


「しゃーない!」


 ウルの左目が光る。ギルから譲られた左目(能力)で、穴を呼び出して追っていく。

 追い掛けられている食い逃げ犯は、その状況を飲み込めずにいたが、ウルの方を向くや、水の塊を放ってきた。ウルの目に水が掛かる。その隙に逃げていく食い逃げ犯。


核師コアマスターか!」


 穴を掻い潜りワープしていくウル。あっという間に食い逃げ犯に追い付く。食い逃げ犯は、水の塊を放ってくるが、ワープで背後に回ったウルに対応出来なかった。


「観念しろって!」


「瞳術使いか。厄介なやつに追い掛けられていたんだな。ツイてない」


「さあ、大人しく店に行け。ちゃんと払うもん払えって」


「ガキが偉そうに。付け上がるな!」


 食い逃げ犯の身体が水に変わる。一瞬の出来事に驚いているウルの隙を突いて、食い逃げ犯はそのままウルを包囲した。


「このまま溺死しろ。ツイてないのはお前だったな」


(くっ!?)


 必死に脱出を試みるものの、呼吸が出来ない為、意識が朦朧としていく。遂に、ウルのもがきも力尽きてしまった。


《ウル!》


(声……誰だって……?)


《私に告白させといて、勝手に死んじゃうなんて許さないよ!》


(告白……。そうだ俺、ティタに告白されたんだ)


《ウル!》


(お互いに好きだって言えたのに、恋人らしいことしてないや)


《ウル!!》


(……そうだ……死ねないって! 俺、まだまだやりたい事が沢山あるんだ! 死んでたまるかって!)


 液状化した食い逃げ犯が沸騰している。

 ウルの、生きたいと思う〝想い〟が湧き上がる。


「た、堪らん!?」


 堪らず液状化を解いた食い逃げ犯。

 食い逃げ犯の目の前には、青い炎を纏ったウルの姿があった。


「今度こそ観念しろ! もう水は効かないって!」


「そうだな。お前には無理みたいだ」


 ニヤリとする食い逃げ犯。再び液状化すると、ウルの背後に居た三人に襲い掛かった。


((!?))


「さあ苦しめ。ガキが付け上がりやがって。仕置きしてやる!」


「ティタ! メイル! メル!」


 内側からなら安易な沸騰も、外側からだと時間が掛かる。殴り掛かるウルだが、上手くいかないでいた。


「離れていろ!」


「え!?」


 ウルに叫ぶ声。聞き覚えのある声に従い後退する。その姿を確認したウルは、変身を解除した。


「私の仲間に手を出すとは、いい度胸だ。私の稲妻に、その水の身体は耐えきれるかね?」


 激しい稲妻が光り轟く。食い逃げ犯の液状化が解ける。咳き込む三人を確認し、食い逃げ犯へと近付いた男性は、余裕の笑みで勝ち誇った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ