ウルの闘い
ウルの闘いを照らす。窓を開けると、気持ちのいい風が髪を揺らす。早起きした人間にも、寝坊している人間にも等しく。
「ウルっ! 起きなよ!」
「……もうちょっとだけ……」
「三十分前にも聞いたよ。もう三回目、もう駄目」
「た、たのむぅ~」
掛け布団をグイッと掴んで離さないウル。ティタも負けじと引っ張る。
「いくらウルのお願いでも、駄目なものは駄目。その寝坊、いい加減克服しないと」
「お前が起こしてくれるだろう? それでいいって」
「そうやって私をおだてたって駄目っ!」
ティタに根負けしたウルは、大人しくベッドから出た。覚束ない足取りで、洗面所へと歩く。
顔を洗って目を覚ます。ウルは眠気と戦っていた。
「……タオルは?」
「はい。私が居ないと、ウルって本当に不安だよ」
「俺に不安? 別に、お前に心配される程じゃない。俺が朝弱いのは、俺の体質なんだろう」
「少しは改善しようとか思わないの」
「思うけど。思うだけだけど」
ウルの開き直り加減に呆れているティタ。ウルのことを思っての事なのだが、当のウルは、このようにお気楽に思っていた。
「アンタね! いつまでも私に頼っていたら、アンタの為にならないじゃないよ」
「頼られるの……嫌だったのか?」
「へ? ち、違うよ、嫌じゃないよ!? 嬉しいよ!」
「じゃあ何でだって?」
「だって……少しでも長く話したいんだもん。早く声が聞きたいんだもん。す、好きな人だから」
モジモジと左右の指をくっ付けて照れるティタ。言われた方のウルは、耳を真っ赤にしていた。
部屋の扉がノックされる。メイルとメルが起こしに来たようだ。ティタは扉を開けて事情を話す。話を聞いたメイルは、半ば呆れた様子でウルを見た。
「ティタだって都合ってのがあるんだぞ。君の行動に合わせるのだって辛い筈だ。君が本当にティタを想っているのなら、寝坊を克服するんだ」
「はぁ、分かったって。努力してみるって」
四人はチェックアウトを済ませ、急いで列車に乗り込んだ。列車内で売られていた軽食を摂り、眠気がやってきたウル。
「ウル! 寝ちゃ駄目」
ティタの声に驚いて、目を覚ますウル。そんなやり取りを暫く繰り広げていた。
※ ※ ※
「オイ、ウル。降りるぞ」
「乗り換えか?」
「ああ。乗り換えればあとは、カムールへと進んでいくまでだ」
「ふう……。カムールまで、ゆっくりと列車に揺られて寝れる訳か」
「ウ~ル! 寝てもいいけど、必ず自力で起きなさいよ。分かった?」
「分かったって。克服すりゃいいんだろ、寝坊を」
ウルの瞼が閉じていく。
列車は、四人の目的地、カムールへと走りだした。




