表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/130

思惑

 ウル達とギルとの戦いから少し遡る。ウル達とロイズで別れたライドは、報告の為に司令部へと来ていた。


「……以上が報告になります」


「取り逃がしたか。折角昇進させてあげたものを。早速の期待外れだ」


「申し訳ありません」


「まあいい。どうせもう君には関係のない事だ」


「はい?」


 ライドに背を向けて語っていた男性が、ライドの方を向いた。目だけで相手を殺せてしまいそうな程の眼力を放つ男。ライドに一枚の紙を手渡してきた。


「君には、カムール司令部へと異動してもらう。北の方角の街だから、厚着をオススメするよ」


「カムール!? 片道一日は掛かるではないですか!」


「おや、そんなに都会こっちに用かね?」


「納得いきません!」


「納得してもらわなければ困るよ。私の一声がなければ、君の首は決定的だったのだ。軍服それを着れているだけでも、有り難く思ってほしいところだ」


「何故ですか!」


「指名手配犯と君は兄弟というではないか。そんな公私混同は見逃せんよ」


「!?」


「何故知っている、という顔だね。軍も落ちぶれてなどいない。身内の事を調べるなど造作もない」


「……わざわざ私を調べたのは何故です!」


「内部から、最近の君への不満が漏れていてね。そんなとき、風の噂を耳にしたのだよ。『ライド大尉は、指名手配犯と繋がりがある』とね」


「誰がそんな事を!」


「……言っただろう……風の噂、と」


 男は立ち上がり、ライドに異動を言い渡す。カムールに行ってしまうと、容易くとんぼ返りとはいかない。何度も食い下がるものの、押し切られる形となってしまった。


「くそっ! 一体何がどうなっている」


 渡された紙を丸めるライド。自分の事を噂として流したのは誰なのかも気になったが、わざわざ偏狭の地に異動を命じてきた上層部も気になった。


(これではギルフォードを追えん! キリナ少尉に協力を……いや、何だか軍そのものがきな臭い)


「どうった? そんな恐い顔して」


「つ!? ……なんだ君か、アルン。済まない」


「大将の部屋の前でどうったのよ? うん? 今日はキリナと一緒じゃないの?」


「さっきまで一緒だったが。それがどうかしたかい?」


「ここ最近、ますます射撃訓練に精を出しちゃってさ。男を作れっても聞き耳持たないの。色々と勿体無いって言ってんだけど」


「少尉は少尉で忙しいからな。なかなかプライベートにまで気が回らんのかもしれない」


「それを分かってて引き抜いたあんたも鬼だね。キリナに貰い手が見つからなかったら、責任を取ってあげれば?」


「その点については心配要らなくなったよ。私は異動を命じられたんだ。カムールだよ」


「カムール!? 一日位掛かるんでしょ、あんたも災難ね」


「朝発って翌朝に到着だ。やれやれだよ」


「そうか……じゃあ簡単にはこっちに顔を出せなくなるって訳ね……怪しい」


「うん?」


「どうせ異動を命じるんなら、あんたが昇進するときに命じればよかったんじゃないの? 何だか妙よ」


「私の事を調べあげたらしくてな。指名手配と兄弟であることがバレてしまった」


「そんなの、数日の自宅謹慎とかで済む話。公私混同を避けさせるなら、その件から外せばいいだけ。異動というより、厄介払いに近いわね」


「厄介払い、か」


「指名手配中の何人かは、その捜査が打ち切られているの。あんたが追っている指名手配犯の捜査も時間の問題かも」


「なんだって!」


「しかも、打ち切りは元帥トップの命令。まさに鶴の一声ってわけ」


「それは確かに妙だ」


「まっ、あたしに出来る事があれば協力するよ。ただ気を付けな……大将クラスは危ないよ」


 そう言って立ち去っていくアルン。彼女なりの気遣いだったのだろう。ライドは、辺りを警戒しながら自分の部屋へと入っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ