指名手配
金色長髪を一本に束ねて歩く女性。その容姿とは不釣り合いな軍服に身を包み、日課の射撃に精を出していた。
「毎日毎日ご苦労な。銃と運命共同する気?」
「馬鹿言わないでちょうだい。あくまで訓練よ」
「たまには、的ばかりじゃなくてさあ、ちゃんと男も狙いなさいね? 素材いいんだしさあ」
「物騒じゃなくなったら考えるわ」
「……いつの話さあ……」
「……いつか、よ……」
女性の銃は、的確に正確に標的を撃ち抜いた。
射的場に銃声が轟いている。この世が平和ならば、この銃声を聴く必要もないのだが。
「キリナ曹長。中尉がお呼びです」
「あら、わざわざお迎えに? ご鞭撻どうもありがとう」
※ ※ ※
「おめでとう、キリナ少尉。正式に私の隊に加わった」
「曹長から少尉ですか。更に中尉の隊に編入と……」
「不満かい?」
「そうじゃないです。しかしながら何故、今なんですか?」
「今朝報告に上がった殺人の件でね。どうしても、君の力が必要になったんだ。私の昇進を利用したまでだよ」
「……大尉、ですか……」
「文句はあとで聞いてやる。私と共に来てくれるかい」
「お供します、ライド大尉」
「いい返事だ。宜しく頼むよ、キリナ少尉」
国軍大尉・ライド。彼の所持する書類には何人もの指名手配犯の情報が記されている。その書類の中に、ギルの情報も記されていた。つまり、ギルも指名手配されているのである。
「この、ギルという少年。ここ一年で派手に殺っているようだ。子供とはいえ、やはり核師だ。侮ってはならん」
「核師、ですか。ワタシには、まったく才能はありませんでした」
「君には、それを補って余りある才能があるではないか」
ライドは、キリナの腰に納められている銃を見て諭す。決してそれが〝負け〟ではないからだ。
「そうですね。上司の背中くらいは守ってあげてみせます」
こうしてキリナの、少尉としての戦いが幕を開けた。ティタから、憧れの眼差しを向けられてるとも知らず。




