四話「白い粉とカードの犠牲者の数」
私は白い粉を頭からかぶった。いや違う。そこに自分から入ってしまったと言った方が正しいかもしれない。周りの人々も体中が白くなっている。理沙さんが黄緑色だったワンピースから出た自分の白い腕に付いた白い粉を舐めて言った。
「これは小麦粉と片栗粉とベーリングパウダーが混ざった物かな?」
私も舐めてみるが味では何が何だか分からない。
「これってよく天ぷらとかに使うのよね。そういえば自殺しようとした前日の夜にもてんぷらを作ったわ。だから味が分かるのかもね」
私たちがそう話している間、周りでは天井をすり抜けたのが困惑の原因なのか、「幽霊になってしまった」とか言って騒ぐ者がいた。しかし陽気な声が天井から聞こえて来た途端、この声以外は静まり返ったのである。
『はい。皆さん。お疲れさまです。私が下にいる人数は何人かって言いましたが、皆さんは覚えてませんよね』
こいつは何を馬鹿なことを言ってるんだ。私は計算までしたんだぞ。もちろん覚えて……なかった。およその人数ですら分からない。
『君たちはもしかしたら計算しただろう。だが君たちは下にいた者の人数の記憶が消えている。それどころか勝った者は負けた者の容姿さえ思い出されないだろう。君たちの中には黒い影を明らかにならない者もいるだろうが、奇跡的にその正体が明らかになる数は三十二人もいる。それまでに生き残ればの話ではあるがな。ただ君たちにとっては人数なんてどうでも良かったかもしれない。なぜか?順を追って説明をしましょう。
まず下にいた人数は百二人。カードの種類は四種類。それが十三枚ずつある。つまり四×十三=五十二枚となる。それに加えてジョーカーが二枚の五十四枚が一セットとなる。おそらく君たちは試行錯誤して二セットの計算をして結果的に五十一人から五十五人が生き残ると考えただろう。わざわざジョーカーなしまで計算してくれるとは……私は運なしに人を消す気はない。ともかくこの計算は無意味になる。私は二つのことを教えてない。一つは同じ数同士の場合だ。この場合はどちらも消える運命となる。そしてもう一つはセット数の数だ。今回のセット数は五セットだ。さっきの計算では通用しない。五十四枚が五セット、つまり二七〇枚。下にいた人数の二倍以上。もちろん一人一枚ずつだ。さらに同数の人々と十枚のジョーカーがあるかないかで変わってくる。ちなみに使用したジョーカーは五枚だ。それに加えて相手に見せる前にカードを見た愚か者もいると計算はできないだろう。その結果、今、奇跡的に残った三十二人となる。君たちはこの結果よりも知りたいのは今の状況だろう。なぜ自分の体が白いのか。それは例の唐揚げに使った余りものだ。私があなたたちにあげるサービスです。これで少し空腹をしのいで下さい。あっ、そうそう君たちは幽霊ではありませんのでご安心下さい。まぁ、死んだ人は幽霊と言ってもおかしくはありませんが、とにかく天井等の仕組みは教えることができません。おや、次のステージが始まるようです。では次の扉へお入りください』
私はこの長い話を聞いて下で起きたことに対して驚きに満ちていた。そして一つの考えが脳裏に浮かぶ。先に行って消されるのなら止まっていた方が……。
『皆さん、止まっているのであるなら消しますよ。さぁ、中へお入りくださいませ』
私はこの言葉に促され、周りの人々と共に先に進むのだった。




