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十一話「油と火鳥」
そのまま階段を上がって行くと、ここは白い粉ではなく透明な何かを頭上からかかる。水ではない。体がヌルヌルする。
『はい。ようこそいらっしゃいました。次の扉が最後のステージです。そこでは争う必要はありません。あなたは真中に立っていればいいのです。あなたが動いたらあなたは燃えてしまいますよ。なぜならあなたがかかっているのは油だからよ。……ねぇ、お母さん。まだなの。……待ちなさい。最終準備に取り掛かっているところよ』
扉が開く。天井で二人の声が聞こえた。「お母さん」っていう言葉まで聞こえた。腹が減りすぎて幻聴でも聞こえたのだろうか?油で滑りそうになるが、何とか立ち直して扉の先の真中辺りに立つ。扉の方から何かが現われた。それは私の周りを飛び回る。どうやら鳥のようだ。だが、ただの鳥じゃなさそうだ。火が付いてるからテレビの映像とかでしか見たことがないフェニックスか何かだろう。ひとまず火鳥と名付けておこう。空腹すぎて頭が働かない。
部屋が熱くて汗が体ににじみ出る。体がやけに重たい。汗と油が服に浸み込み体が重くなったのか。いや、違った。気が付いた時にはもう遅かった。体に黄色い衣が付いていた。火鳥はどうやら燃え尽きて消えてしまったようだ。




