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第9話

あの戦争から2年半が経った。高校卒業をした、司、美春、達也、玉緒は、司が夢だった医学部の進学に成功し、他の3人は、久美子と共に、国営研究所「ロボット開発研究育成センター」に就職する事になった。


「やあ、みなさん、こんにちは」

センター長である、采等達人があいさつをしていた。しかし、まったくセンター長のような感じの服ではなかった。

「今回の就職者は、君達だけだったね」

「すいません、質問してもいいですか?」

「構わないよ」

「昔、俺がいた高校の研究所に所属していましたか?」

「ああ、あの研究所ね。そうだよ。若草久美子のさの文字の元となった、采等は私の名前だ」

采等は久美子を見ながら続けた。

「しかし、もう一人の方ではないな」

「もう一人?」

久美子自身が采等に聞いた。

「ボクと同じような人がもう一人いるんですか?」

「ああ、あの研究所は、元々、この研究所の下部組織として創られた公設機関だった。今の校長が、確か名前は渡辺眞里子と言ったはずだが、彼女が、施設長をしていた」

「じゃあ、校長に聞いたら…」

「久美子と同じ、ただ男だが、その人物を見つける事ができるはずだ」

「しかし、あの研究所址には、久美子しかいませんでした」

「それはそうだろう。もう一人は、既に覚醒している。ロボット病が蔓延した時、その保菌者の一人としてこの世界に生きていた。しかし、それ以後の足跡は途絶えており、今は消息不明だ」

「………」

その時、その部屋に誰かが入ってきた。

「すいません。しかし、急な用があると言う来客が…」

その人は、勝手に入ってきた。

「校長!」

しかし、校長は4人を無視して、采等の机に近づいた。

「見つけたわ」

「彼を見つけたか」

「ええ、偶然にも司が行っている、ああ、司って言うのは彼らの友達だけどね、彼が行っている大学の、医学部にその子がいたの」

「校長、ちょっと待ってください。どういう事ですか?」

「ああ、君達には話していなかったわね。久美子と対になる、同型のロボットがもう一人存在していたの。でも、そのロボットは、ロボットの叛乱の時に行方不明となって、それ以降、消息不明になった。しかし、その子の信号をようやく感知する事に成功したの。今は、司の友人よ」

「彼の名前は?」

箱根宥嶽(はこねひろたけ)よ。箱根の研究所にいて、平水(ひらみず)六郷(ろくごう)武居(たけい)芥子(けし)、この4人が独自に作ったロボット、つまり、久美子の元になったロボットなの。でも、大半は同じなんだけど、人間性とか、その他の人格等に、ちょっと問題があって、それで封印されていたんだけど、誰かが生き返らせて、逃げ出していたの」

「どんな問題なんですか?」

「人を傷つける事に興味があったんだけど、今はロボット3原則に近いものを入れる事によって回避する事ができたの」

「どんなものだったんですか?」

「人を傷付ける事勿れ。人を傷つけてはいけないと言う事。それがあったからこそ、彼は、殺しをしてこなかったと思うわ」

「で、司は、どこにいるんですか?」

「ここにいるよ」

みんなが後ろを向くと、そこに、誰かを連れた司がいた。

「はじめまして、所長。おひさしぶりです、校長。みんな元気にしていたか?美春、達也、玉緒、久美子」

「司、その横の人は?」

「久美子の兄にあたる、箱根宥嶽だ。彼は、実質上の久美子の兄になる」

「…おにいちゃん?」

久美子は恐々と言った。しかし、宥嶽は、真顔で言った。

「久美子、オレの妹に当たる存在…オレ自身も信じられない。オレとまったく同型の存在がいた事に」

二人が並ぶと、身長がわずかに宥嶽の方が高かった。

「とりあえず、校長、どう言う事ですか?」

「司君には説明していなかったわね」

そして、他の人に話したのと同じ内容を話した。

「…と言う事なの。でも、宥嶽と久美子では決定的な差があるの。それが、人を傷つけれるかどうか」

「オレは、プログラム上、人を傷つける事はできない。しかし、久美子を傷つける事はできる」

一同は、その発言に対して、久美子を守ろうとした。宥嶽は言った。

「他のロボットはさておき、久美子を傷つける事はない」

そう言い切った。

「さて、二人はこれからどうするのかな?」

「自分を動かした人の元にいます。彼女は、今でもオレを本物の人間だと思っているようですから、そのままそっとさせると思います。ただ……は、できませんが」

「ここでそれを言うな!まあいい。住所だけ教えてくれ。何かあれば、君の力を借りるかもしれないからな」

「分かりました」

宥嶽は、すぐに住所を言った。そして、そのまま帰った。

「あれが、ボクのお兄ちゃん…」

久美子は、帰った向きのまま、固まっていた。

「さて、君達はどうする?司君は大学に戻るとして、他の4人は?」

「私達は、ここに就職するつもりできていますから、そのままここにいると思います」

「そうか、じゃあ、この研究所について、もっと詳細の説明をしよう………」

こうして、久美子と宥嶽は出会った。彼らは、この世界で創られたロボットの中で、唯一3原則を採り入れていないものであり、人を傷つけることがないものでもあった。彼らが、これからどうするかは、世界中にかかっていた。

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