EXP.86 銀髪伝説 その3
【カマタ視点】北側
ちっ、なんで集まんなきゃいけねえんだ?
通路を駆ける事、二分。
「な!?」
思わず口から声が漏れる。
北側と南側を唯一繋ぐ橋、それを覆い隠すように綱糸地帯が張られている。
ちっ『Requiem』の奴か、やっぱり殺しときゃ良かった。
綱糸を切るべく両手剣を振りかざそうとした時、
「ここは通行止め、なんで」
背後からの声、そこには隠蔽を纏った銀髪の逃げた奴が立っていた。
「よし殺す、サクッと殺す、ぶっ殺す!」
「飛翔」
銀髪は左手で腰から短剣を抜くと急加速して近づいて来る。
アイツの技術じゃあのスピードからの急ブレーキは出来ない、このまま真っ二つに斬ってやる。
両手剣を担ぎ距離を見図る。
そして上段から両手剣を振り下ろす。
「鎖状」
しかし、銀髪の手元には何も現れず代わりにオレの両手剣が何かに引っ張られるように硬直する。
『特攻』
初級短剣スキル【特攻】
序盤から使える短剣スキルで威力が最も高いが前方にしか進めないというデメリットがある。
オレの動きを封じてから使うとか……しかも此奴、
胸に一気に衝撃が叩き込まれ全身に伝達され、手足の先から衝撃と共に力が抜けていく様に感じる。
オレが上段から斬ると読んだ……いや、仕組んでいた。
つい先程まで、慌てて逃げる姿を見せてオレに自分が弱いと認識させ慢心の隙を突いたのか。
「やるじゃねーか、銀髪」
「どうも」
先程の慌てる姿とは違い無表情な少年に少し関心を持った。
ゲームと言えど、ここまで人を刺す事に躊躇いが無いとは……と。
『カマタ HP全損 LOST』
…
【楓月 視点】
「お、やっと脱落者か」
「嬉しそうに言わないでくださいよ」
「そうは言っても……つまんないもんはしゃあねぇだろ」
泣きそうな顔のベルに愚痴を零しながら解説を始める。
「そろそろ解説するか〜……、あー静まれ諸君!」
俺の声で観客が静まり、幻夢が解説を始める。
「今のは相手の性格やプレイスタイルを把握していたからこその勝利ですね」
「銀髪選手がカマタ選手の慢心を上手く突きましたね」
「「銀髪選手?」」
…
【アルトニア視点】
「くそ、どっちへ行った」
橋を目指し疾走していると、
「煙幕……?」
白い煙が立ち込めており、その向こうに黒いシルエットが見えた。
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