その12 最終話
〜長男のこれまでと老後〜
私はというと、この大陸の内陸部は小国ばかりだったので、自治を認めた上で州とし、まとめて合州共和国にしました。人口や税収によって出せる代表者の数を決めて、首長を決めました。初代は私になりました。五年に一度代表者を集めて首長を決めていく予定です。主要都市の名前にちなんで、モ・オコソノホ合州共和国としました。
私が治めるモレント州には収入や治安が敵わないと、結局、自治を認めていた州も法などをモレント州と同じにするようになり、内陸部は、本当の意味で一つになりました。
内陸部の合併を始めてから八年、北の海に面する自治都市アリロナが、私たちとの合併を申し込んできました。元々自治都市だったので、違和感なく合併できました。
その後、他の海に面する国々も合併を申し込んできました。『国王』と名乗っていた人には、州知事を任せました。時にはすぐに市民によって、州知事を下ろされた『国王』もいましたが、それが共和国というものです。
十四年かかりましたが、大陸を統一しました。それを機に、ソラナス共和国となりました。我が家の名前とは誇らしいですね。
私は、首長を三期勤めましたがちょっと疲れていました。
「一人首長が続くと王国のようだ」
「首長に限らず上が変わらないと腐敗につながる」
尤もらしいことを並べ立て、首長も州知事も最高三期までで、次までには二期あけることを決議しました。これで辞められます。
間をあけてる間に新大陸へ逃げます。後は任せた長男と孫よ。
私はやっと、会長の作る『牛丼』とやらを食べに来ることができました。末の妹ミディアとは初対面です。あの頃のナディアにそっくりで、会長が天使ちゃんと呼ぶ気持ちもわかります。
その天使ちゃんは、今日、嫁に行きます。
彼も元貴族で元奴隷なんだとか。
他の大陸では、まだそんなことしているのですね。会長とともに農家を楽しんでいるというナイスガイで、会長の老後も安泰ですね。
はて? 老後っていつからなんだ? 会長はとっくに世界の平均寿命を越えています。
そうそう『牛丼』はとても美味しいものでした。会長は現在、冷蔵庫なるものを開発中だそうです。
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〜パパの老後〜
先月、娘ナディアの長女カルメンが出産した。男の子だった。昨日、末の娘ミディアが、出産した。男の子だった。
違う大陸には、他にも曾孫がいるが、会ったことのない曾孫もいる。飛行機がないので、それもしかたのないことだ。
妻は残念ながら十年前に他界してしまった。
長男は、数年前に会いに来てくれて、末の娘の結婚式に出席した。そのまま、この大陸で鉄道王になった長男の次男家族と夫婦揃って暮らしている。
次男は妻の他界を聞いて、その一年後にワシの顔を見に来てくれた。その時に連れてきた孫が八人で、ワシより子沢山であった。次男の嫁さんに『牛丼』をたくさん食べてもらった。
三男は妻の臨終に付き合ってくれた後、この大陸は制覇したと言って、どこかの大陸へいってしまった。その大陸は、ここから、船で二ヶ月かかるそうだ。結婚したと手紙がきたので、三男が一人で死ぬことはなさそうだと安心した。
四男は、商船を二十隻も持っているそうで、孫や曾孫を連れて、一年に一度顔を見せてくれる。
ナディアは、ナディアの夫がこの大陸の統一を目指して政治家になったのでその手伝いで大陸中を走っている。同じ大陸にいるので年に数度は会いに来てくれる。
長男の次男はいい仕事したな。うん!
ワシは今日七十一歳になる。ワシは末の娘家族と農家を楽しんでいる。とうとう前世の年を越えた。ワシにとっては、ここからが新しい未来だ。まだまだ楽しもうと思う。
転生させてくれたのが神様であるなら、是非ともお礼を言いたいものだ。
~ fin ~
お付き合いいただきましてありがとうございました。
パパが娘を全面的に助ける話にしたかったはずが、開拓物語になってしまいました。
自分的には、書いてて楽しかったのでよしとしています。
よろしければ、感想いただけますとうれしいです。