ラブホ
高校で出会ったひとつ上の先輩。
二年も付き合ったのに。
勝手に他の女のとこに消えて…
わたしは、使い捨てのオモチャ。
でも、そう言えるのは今だから。
最初は、女々しくすがった。
離れたくなかったから…
大切な出会い、大切なひと、
と思ってたから。
あいつが卒業して大学生になったとき、
わたしは正直、不安だった。
今までとは違って同じ学校に、いない。
一人暮らしをはじめ、家も離れた。
大学で、テニスサークルに入ったと言った。
いかにも軽い感じ…
わたしは、考え直してって言ったけど
簡単に聞き流された。
頭にさらに不安が増していく。
毎日のように連絡したけど、
笑って大丈夫、大丈夫ー、と
いつも答えは同じ。
でも、メールの数が減った。
たまに届くメールの文も、
一行か二行だけ、短くなった。
使う絵文字もいつも、同じやつ。
明らかに前と違う。
わたしは気づいていたよ、
最悪のことに…
歩くと空気が冷たく感じはじめた
晩秋のある日、
わたしが学校から帰ってると
携帯がなった。
でると小さく、別れて、と言われた。
やっぱり、と思ったけど、
「…なんで?」
「気になる人がいるんだ」
言葉にされたら、きついな。
覚悟はできてたけど…
やっぱり、ショックだった。
「わたし、ダメなとこ治すよ」
わたしは、すがりつく。
「無理しなくていい。おれなんかのために…」
今ならわかる。
無理したら迷惑だっただけ…
あいつはそのときには、二股してた。
で、そっちに行きたかっただけ。
知ったのは一週間後だった。
友達が偶然、見かけて写メを送ってくれた。
彼女はまだわたしたちが付き合ってた
と思ったみたいで…
題名には、浮気スクープとあった。
写ってたのは、茶髪のギャルみたいなこ。
黒髪ぱっつんの、地味なわたしとは、
ま反対。
ふたりで仲良く、ラブホに入る瞬間だった。
気になる、から一週間でこれって
…ありえないよね。
完敗。
でも、
その後も、まだ戻れるのを期待したわたし。
あんなやつの、どこがいい?
早く忘れよう…
最低なやつなんだよ。
頭では、わかってる。
でも、心が、イエスと言わないの。
反応しない…
完全に、壊れていた。
辛いその先には、
また、幸せが待ってる。
そんな迷言を、見たり聞いたりした。
だけど、
それは、キレイゴト。
辛いその先には、
さらに辛いことが待ってるだけ。
ちゃんと言い直して、書き直して。
人生論なんか、結局、成功したから
幸せになれたから語れるんでしょ?
わたしは、溺れたまま
もがくけど、さらに沈むばかり。
呼吸の仕方さえ忘れてしまいそう。
気がつくと過呼吸が始まった。
く、苦しいよ…
誰か…
助けて。