15.魔王の間へ
ガァァァンッ!!
【朔】の右腕から放たれた『高周波ブレード』の一撃が、『セグメント・アイ』の露出した中央コアを完全に両断した。
【システム通知:クリティカルデリート】
対象個体:『セグメント・アイ』の消去が完了しました。
獲得データ:『高密度プロセッサ・コア』× 1、『超硬質プラント合金』× 4
空間エラー率:42% ➔ 28%(※中継ユニットの沈黙により、エリアのエラー率が低下しました)
「ふう……、これで第2層のセグメント制御も完全に沈黙したな」
ブレードの先端からシュウッと冷却蒸気を吐き出しながら、【朔】はわずかに荒れた呼吸を整える。
先ほどの『メモリエラー・パルス』の反動と、先ほどからの連続稼働による熱が、胸の【コア】の内側からじりじりと伝わってきていた。
【システム警告:コア熱負荷ステータス】
現在熱量:89%(※危険領域)
推奨処置:速やかな冷却サイクル、または【勇者の腕輪】の出力一時停止。
「……やばいな。あと一歩でハードウェア自体が熱暴走を起こしかけてやがる」
【朔】が左手首の【勇者の腕輪】に触れると、青白い光が少し不安定に明滅していた。
そこに、【エレナ】が心配そうに駆け寄ってくる。
「朔さん、大丈夫ですか……!? 顔色が……あ、いえ、金属のフレームからものすごい熱が漏れてます!」
「ああ、ちょっとオーバークロックの使いすぎでな。だが、そろそろ見えてきたぞ」
【朔】が顎でしゃくったその先。
プラント区画の最奥に鎮座していたのは、これまでのいかなるゲートよりも巨大で、重厚な幾何学模様のロックが幾重にも張り巡らされた漆黒の特大ゲート――『旧都中枢・メインサーバー室』の入口だった。
ゲートの表面には、ただの物理的鍵ではなく、圧倒的な魔力とデジタルコードが融合した巨大な「超大型セキュリティ・ウォール」が浮かび上がり、塔全体のエネルギーをその身に集約させている。
その奥底から伝わってくるのは、世界全体の理を歪ませ、すべてのシステムエラーを意図的に引き起こしている「黒幕(塔のマスター・プロセス)」の重々しい鼓動だった。
【システム通知:最深部エリア警報】
アクセス先:『旧都中枢・メインサーバー室(塔の根幹)』
最終防衛存在の反応を確認:『統括管理AI・バグマスター(コード・アイン)』
ステータス:戦闘準備を推奨します。
「……やっとお出ましだな。この世界のすべての理不尽なバグをばら撒いている元凶が」
【朔】は左手首の腕輪を強く握り締め、胸の【コア】の冷却リソースを限界まで絞り上げる。




