41話【種目決め】
火曜日の話し合いでそれぞれの得意なことを生かせる種目が決まった。
あとはより多くその種目が選ばれるのを待つだけだ。
と、みんなは思うだろう。
種目はそこの専門分野の人達とそうじゃない人達が平等になるように考えなければ、精査の段階で落とされる。
このように厳重な精査をしている。
種目をえらぶ方法はクジだ。
くじを引く人は一番大事な物が掛かっている部活だ。
だから、今年は書道部だ。
そして、クジを引く部活の特権として種目を一つだけ選べる。
そこが肝だ。
より多く自分たちが得意なものを折り込むことが出来る。
まぁ、そんなのは関係ないが………。
◇◆◇◆◇◆
「ホントにいいの?」
司は心配そうな目で涼介を見た。
「あぁ、俺がやりたい」
「わかった
話はこっちからしておくよ」
司の了承を得たところで全ての準備が整った。
◇◆◇◆◇◆
「さぁ、さぁ、皆さん!!
今日は皆さんが心待ちにしていた部活動対抗リレーの種目決めのお時間です!」
元気な声が学校のスピーカーに響き渡る。
カメラで中継し全学年のクラスのテレビに映しているため声に合わせて体を動かしていた。
「本日種目決めのためにお呼びしたゲストはぁぁぁこちらです!!」
声とともに手をこちらに向けた。
カメラも一緒にこっちを向いたため、俺たちの姿を全校生徒が見ているのだろう。
多少は緊張するが堂々と話すしかない。
「初めましてこんにちわ
一年二組中村凛華です。
今日は立会人として呼ばれました」
隣の凛華は堂々と自己紹介を見せたため、年上としてはこちらも堂々とやるしかないだろう。
後でからかわれるし。
「本日書道部部長代理として急遽呼ばれました。
二年五組橘涼介です。」
もちろん嘘だ。
自分からこれに出るために司に頼んだのだ。
「本日はよろしくお願いしますね!」
「よろしくお願いします」
司会の生徒の人が楽しげに話すのをこちらも返す(ほとんど凛華が受け答えした)というのを何度か繰り返したところで種目決めに移った。
「まず最初にこれだけは入れておきたいという種目を教えてください」
ここからは涼介のターンだ。
「えーと、うちの部活は書道部ということで、こちらの種目でお願いします」
事前に了承を貰っている種目の内容とルールが書かれているものを司会の人に渡した。
「では、決まった種目を読みます
早書き。
【内容】その場で発表された言葉を習字・書道のいずれかで書く。
【ルール】
・審査員を8人用意して、そのうち5人がOKを出したら合格。
・二字熟語の文字を5つ合格貰ったら終わり。
・書道部やそれに準ずる部活は8つ合格を貰わなければいけない
ということです!
これを何種目目に入れますか?」
いつ自分達の得意な種目を入れるかで勝敗というのは決まってくる。
だから、こういうのは大事だが、生憎ほかの種目がまだ決まっていないため、難しいところだ。
「3種目目に入れてください」
しかし、ノータイムで堂々と涼介は答えた。
「早い!
故に尺か短くなるかもしれない」
涼介がノータイムで答えたことに対して、笑いどころなのか分からないが司会の人がよく分からないリアクションをした。
「このままでは想定よりも早く終わる可能性がありますが、まぁ、次行ってみましょう!!
どうぞこちらの箱の中の物を引いてください!」
マイクを片手に司会の人が箱を涼介に差し出してきた。
涼介は一呼吸置いて、箱の中に手を入れた。
10秒ほどして紙を1枚取り出した。
「さぁ、2種目目が決まりました!
読み上げます!」
司会の人は涼介から紙を受け取るとそれを広げた。
「長距離水泳対決
【内容】指定された距離を泳ぎきったら終わり。
【ルール】
・一般の部活は1500m、水泳部は2000m泳ぐこと。
・一般の部活は三人まで交代が認められている。
・水泳部は二人まで交代できる。
・立っても良いが1度立つと10秒動いてはいけない。
おぉっとこれは水泳部が決めたものなのかかなりハードなものだ
引いた涼介さんはこの種目をどう思いますか?」
「さすがに1500mも泳ぐのはキツイですね」
もちろん嘘では無い。
元々水泳をやっていた涼介にとっても1500mはキツイ。
「ですよね!
交代を認められていると言っても1人あたり平均500mも泳がなくてはいけませんからね」
こんなふうに1つ引いては読み上げコメントを言うやり取りを繰り返した。
ちなみに決まった他の種目は以下のものだ。
フリースロー勝負
【内容】ゴールに向かってバスケットボールを投げる。
【ルール】
・投げる位置はどこでも良い。
・一般の部活は先に10本決めたら終わり。
・バスケ部は14本決めたら終わり。
・出場者は一名のみ。
はや縫い対決
【内容】糸と針で布を縫う。
【ルール】
・50cm×30cmの布を0.1mm〜1.5cm間隔で布の外側を一周するまで縫う。
・手縫いのみ認められており、ミシンなど機械の使用は禁止。
マラソン対決
【内容】トラックを走る。
【ルール】
・女子はトラックを二周したら終わり。
・男子はトラックを二周半したら終わり。
・交代はなし。
という感じだ。
「これで種目は全部出揃いました!
順番は水泳対決→フリースロー→習字・書道→はや縫い→マラソンの順番です!
練習のために各部活には水泳のコースと体育館のバスケットゴールと習字・書道のための空き教室の使用が認められると思うので覚えておいてください!
本日お越しくださいましたお二人には感謝です!
ありがとうございました」
「ありがとうございました」
司会に合わせてこちらも二人で礼を言って終わった。
◇◆◇◆◇◆
放送室から出ると凛華はいつもの感じで話しかけてきた。
「いやぁ、まさか先輩がこんなのやるなんて意外でしたよ」
「司が体調不良だったから仕方なくでたんだよ」
「ホントですか?」
凛華はこちらの顔を覗き込むように見てきた。
「あぁ、そうだよ」
涼介は顔を背けながら答えた。
「まぁ、先輩がそう言うならそう言うことにしておいてあげます
ついでに五種目全てが私達の考えていた種目になったことも偶然にしておいてあげます」




