33話【2人きりの家】
朝涼介の家に行く時とは違い2人は無言で再び涼介の家に着いた。
「あー、とりあえず飯にするか?」
「そ、そーですね
私家から少し材料を持ってきましたよ」
「それは助かる
ありがとう」
学校帰りに買い物を行こうと思っていたため、三連休だと食料が足りなくなる時があるため、とても有難かった。
そんなことを思っていたら凛華がこちらを見て驚いていた。
「どうしたんだ?」
「いや、先輩からありがとうって聞けるなんて思ってなかったので」
「そうか?
俺はありがとうとかお願いしますとか助かるとかごめんが言える人間だと自分では思ってるぞ」
「うわぁ
なんかそれすごい偽善者っぽい人間ですね」
最近の若者はそういう言葉が言えなくなっていると聞くが自分は言おうと思っていたのだがどうやらそれは若者にとっては嘘くさく見えるらしい。
「最近の奴らはめんどくさいな」
「いや、先輩もその最近のヤツらに入りますからね!
ていうか、先輩の方がめんどくさいですから」
凛華とそんな会話をしていると先程までの緊張が嘘みたいに消えて無くなっていた。
「まぁ、とりあえず作りますね
先輩はまたソファーに座ってスマホでもいじっててください」
「いや、なんか落ち着かない気分だし、手伝うぞ」
「んー、まぁいいですよ
なら、野菜切ってください
みじん切りで」
「りょーかいした
ちなみに何を作ろうとしてるんだ?」
「ハンバーグですよ」
「そーか」
ハンバーグは好きな料理の分類に入るのでとても楽しみだった。
◇◆◇◆◇◆
それから2人は2人でハンバーグを作り、食べた。
リビングは防音性が高いため、外で強い雨が降ってようが雷がなろうがあまり聞こえることは無かったため、快適に過ごせた。
「風呂入るだろ?」
「はい……だけど、ほんとに泊まってもいいんですか?」
夜に家に読んだ時点で泊まることは口にしなくてもそのこと自体は確定していた。
「気にするな、どうせ家には俺しかいないしな」
冷静になって考えるとそれはそれでヤバい状況だということを涼介は気がついていなかった。
しかし、凛華はその言葉を聞きすぐに気がついたのか顔を赤くしていた。
「……………」
「?……!?」
涼介も凛華の顔を見てから気がつき、リビングに妙な空気が流れた。
「とりあえず、風呂洗ってくるわ
先に入っていいぞ」
「わ、分かりました」
◇◆◇◆◇◆
家で男女2人きり、それも美少女と。
そう思うと自分の家のリビングという慣れ親しんだ場所のはずなのに落ち着けなかった。
「さて……」
涼介は立ち上がると客間の掃除を始めた。
人が泊まることを考えていなかったため、掃除をしていなかった。
「これは……急がないとな」
物置になっているとかそういう訳では無いがホコリがすごい舞っている。
ヤバいな、この状況だと最悪あいつを俺の布団で寝かせて俺がリビングで寝るか……
そう思っていた時だった。
「きゃっ」
という声と共に「バタン」大きな音が聞こてた。
お風呂場から叫び声が聞こえた。
何事かと涼介は慌ててお風呂に向かった。
「どうしたんだ!?」
脱衣所の扉を勢いよく開けそう叫んだ。
本当に緊急時ならお風呂も開ける覚悟はあるが、とりあえずは状況を確認してからその判断をするべきだと思った。
「え……あっ、すみません……
また雷の音が聞こえてビックリしてコケちゃいました」
「あー、そうか……ならよかった」
涼介は安堵の溜息を漏らした。
さすがに自分の家で客人に何かあったら……と考えると申し訳がたたないと思っていたため、何事も無かったため安心したのだ。
「怪我はなかったか?」
コケたと言っていたので一応怪我をしていないか心配した。
これで怪我してたら司に殺されるしな……
「はい…怪我はないです
心配してくれてありがとうございます」
「いや、俺も突然入ってきて悪かったな……」
まだ扉があるとはいえ、女子が入っているお風呂の脱衣所まで来たのだ普通だったらイケナイ状況だろう。
「いえ、心配して来てくれたってことはわかってますので…大丈夫です
それに……」
「……それに近くに誰かがいた方が安心するので…」
いつものウザ絡みしてくる凛華とは違い今のしおらしい凛華は涼介の心の中にある庇護欲を牡蠣立たせた。
「お前が良ければだが、話し相手になってくれないか?
一人だと寂しくてな……」
もちろんそんなのは嘘だ。
いや、嘘では無いかもしれないが、普段から一人でいるため一人は慣れている。
「ふふ、いいですよ先輩
私優しいんで……話し相手になってあげます」
凛華からの了承を得ると涼介はお風呂場の扉に背中を預けた。
扉は向こう側が見えないようにはなっているがシルエットは見えるようなものなのでこうして、背中を預けていれば少しは安心できた。
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